プロローグ
センターの点数悪過ぎたから開き直って小説書きました
ほんとどうしよ……
不安定な気持ちで書き始めたので続き書くかはわかりません
書くとしても亀更新です
退屈な年月を過ごしてたある年のある月のある日のこと。
俺はふと思った。
剣士になりたいなぁ。
ここ数百年、○○が欲しいとか○○をしたいとかみたいな、俺が何かを求めるようなことなど一つもなかった。なのに今日、突然こんなことを思った。何の突拍子もなしにである。
だがしかし、おそらく世界屈指の時間を持て余してる人間であろう俺としては、これは良い転機なのかもしれない。いや、良い。
思い立ったら即時実行は実家の家訓だ。
今日をもってワタクシは剣士になります。
それから一年の月日を経た。
長いようで短い時間であった。いや、逆に短いようで長かったという可能性もあるかもしれない。そもそも他人より永い時を生きる俺の時間感覚とは正しいものなのかどうか。
そんなことはどうでもいいんだよ。
長年、住処だった地底小屋から這い出た俺は今の時代で一番メジャーな道場を訪れた。そして、そこの門下生となり、師範代の一人であるタォパォという東方からきた武術家に師事することとなった。
タォパォ氏は東方の武術だけでなくこちらの武術の研究にも余念がなく、武術においてはかなり博識であった。隠居前は魔法学ばかりに傾倒していたとはいえ、様々な戦士を見てきた俺の見識さえも圧倒するほどに。正直尊敬する。教えるの下手だけど。
説明音痴というくらいに教えるのが下手なタォパォ氏だが、その武術の腕は確かなので彼が武術をふるう様は見るだけでもかなり参考にはなった。
元々運動にもお頭にも自信があった俺はすぐさまタォパォ氏の剣技を習得していった。
そして、今日、ついに俺はタォパォ氏から……。
「もうワタシ、オマエに教えることないアル」
「マジすか」
「オマエ、天才ネ。ワタシ、オマエ以上の天才、見たことナイ」
「え、じゃあ、あれですか?免許皆伝とかそういうのですか?」
「合ってるアル。ダカラ、コレからはジブンだけのワザ探して精進するネ。わかったらはよ出ていくアル」
タォパォ氏に蹴飛ばされて道場から追い出された俺は、免許皆伝を通告された衝撃が抜け切らず呆然としていた。
そして、数秒してやっと事実を少しずつ飲み込んでいった。
「こ、これで俺は……正式に剣士に……!」
あまりにも嬉しくて街中であるにも関わらず、思わず大声でヤッターと叫んでしまった。
道場の門扉の向こうからタォパォ氏のうるさいアルという声が聞こえた。一応、謝っておいた。
この一年の修行生活の中で色んなことがあった。
タォパォ氏との出会い、タォパォ氏との稽古の毎日、タォパォ氏の死、タォパォ氏の復活、タォパォ氏の逆襲、タォパォ氏の覚醒。一番ヤバかったのは、俺が持ってきた若返り薬を間違えて飲んだタォパォ氏が全盛期の頃の肉体にまで戻った時だ。タォパォ氏が第五形態になった時もヤバかったけど、あの時は本当の本当に死を覚悟した。というか、時間制限付けてなかったら本当に死んでいた。タォパォ氏曰く、あの状態だと不死さえも殺しきることが可能だったらしい。マジ冷や汗ものである。
思えば思い出の何もかもが愛おしい。
そして、タォパォ氏……好き///
子豚さんのようなチャーミングな体型、開けてんのかつむってんのかよう分からん細目、唇の上から足下スレスレまで伸びる二本の無駄に長くて汚らしい髭。タォパォ氏の全てが愛おしすぎてヤバい。
て、俺はホモかい!?
まあ、タォパォ氏となら一緒になっても良いと思う気持ちに嘘はないんだけどな。
最近、剣士になるのをやめて女に性転換してタォパォ氏に告白しようかとすら考えるくらいに恋に悩んでいる。
だが、なるべく初志貫徹しようを家訓としている実家で生まれた俺が意思を曲げることは断じてない。
「ケッ!これで鬱陶しいテメェともおさらばできて清々するぜ!じゃあなっ、タォパォ!」
「二度とオマエの顔拝みたくないアル」
好きなのに反対のことを言ってしまう俺って凄くツンデレ。
タォパォ氏、アナタのことは百年ぐらい忘れない。今後俺達が再び合間見えることは多分ないだろう。
「さて、これからどうしようか。……弟子取るか」
弟子取ることにしました。
即時実行もそうだが、即断即決も家訓なのである。人間、いつ死ぬかわからないものだ。もし、そういう時にヤりたいことヤッてなかったらきっと後悔するだろうな、と日々思っていた親父が家訓に付け加えたらしい。だとすると、俺って不死だから適用外なんですけど。
「弟子取るんだったらどんなのが良いんだろうか」
希望を言うと、かなり素質はあるけど俺よりは無い奴。
やっぱり、どうせ師匠になるんだったら、弟子に一生尊敬されたい。貴方には敵わないですって思われたい。でも、弟子も評価されてほしい。弟子が評価されたら俺の株も上がる。
数百年前に剣聖と呼ばれてた4、5人くらいの大剣豪ら、アイツらレベルの剣士を何人も輩出して、数多くの剣豪達の生みの親とか言われたい。そうなると流派の名前も格好良くしないとな。
想像してるとワクワクしてきた。
富は飽きたが、名誉は今でも好きだぜ。
隠れて魔法使って当代の世界獣を片っ端から皆殺しにして人里で晒して、さも剣だけで狩りましたアピールしてミステリアスさを演出してみるってのも悪くないな。その時はちゃんと切り傷っぽくなるように空間ズラしで殺さないとな。
……ないな。流石にアホみたいにエルフにうるさくされるのは勘弁だ。うるさすぎて絶滅させちゃうかもしらんからな。
ドラゴン殺しで抑えておくとしよう。
古竜ともなると、自我が強くて温厚な竜ばかりだが、中々強い生命力を持つ。倒したとなったら十分に持て囃されるだろう。それで我慢するとするか。
老いぼれ共もそろそろ生きる事に飽きただろう。折角なので、俺という絶対強者が引導を渡してやる。
おっと、取らぬアルミラージの皮算用という奴か。広げすぎた風呂敷が邪魔臭くなって回収できなくなる未来を容易に想像できる。この辺で留めておくとするか。
本題に戻って、まず最初にどんな弟子を取ろうか。
強くなるのに必要な素質といえば、『質の高い肉体をもつ』『努力できる』『飲み込みがいい』である。でもそんな素養なんて簡単に見抜ける筈もない。
俺は古今東西の魔法を殆ど扱えるが、それら三つの要素を全部見抜く魔法など存在しない。精々、透視で骨格や筋肉配列といったような表面的な人体構造を確認できる程度である。いや、これは十分重要だな。でも、俺ってそういう眼力とかあんましないからパスの方向で。
ま、人生ってのは行き当たりバッタリだ。今この瞬間にも偶然、俺の欲しい人材がいきなり現れるかもしれない。そもそも、俺に残された時間なんて使いきれない程ある。贅沢に使わせてもらうとしよう。では、適当に世界でもぶらつくとするか。
さて、今の時代、知り合いは何人生きてるのだろうか。
そんなことを考えながら俺は今後の弟子探しの旅の予定に考えを馳せた。
俺が一人目の弟子を取るのはそれから七年後のことであった。
弟子は次回出ると良いですね(願望)