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IDOLA -puella-  作者: 白野十裏(元トリ)
第6章 氏族の代表たち
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第17話 森の療養地

課題?ナニソレオイシイノ状態で改稿中~

〇第17話 森の療養地


「んなっ……はぁ、はぁっ……」

「……で、あれ……なんだったんだよ?」

 森とほぼ同化している街の入り口。

 そこで息も絶え絶えにキルとロルフはルタトを見上げる。

 同じ距離をミラを抱えて走ったというのに涼しい顔をしていつものにやにや笑いを浮かべているルタトは面倒くさそうな顔をした。

「ありゃさっき話したメトゥレー教徒の1人だな。幹部級のな。ずーっと俺様にある情報を渡せってしつこくてよ、結構腕もたつし魔物を操る力もあるしでお前さんたちと一緒じゃ面倒だから逃げたって寸法よ」

「……私の事、知ってるような素振りだったけど」

「他人の空似じゃあねぇの?案外アイツ、思い込みが激しいやつでよ、俺様も相手したくねぇのよ。……と、そんなことは置いておくとして第1の目的地に到着ー」

 目をひくように大きく手を広げ街中を指すルタト。

 普通の家くらいならすっぽりと収まってしまいそうなほど太い幹の巨木が点在し、獣道のようなそもそも道と言っていいのか分からない道が入り乱れている。

「ここは?」

「森の民の集落フォルス。薬草が有名でね」

「療養地としても有名なんだぜ。ほらほら、観光は目的を果たしてからな」

 どうやら以前にもこの街に来たことがあるのか、先頭に立って迷うことなく足を進めるルタトの後ろについてゆく。

 怪しくてうるさいチャラ男と思っていたが案外役に立つと認識を改めた。

 ひと際大きな木の前に付いた時だった。

 扉に手をかけ開けようとしたルタトに声がかかる。

「なぜこんなところにあなたが」

 振り返ったルタトは声の主を見ると意味深げな笑みを浮かべて、

「久しぶりだな。メディサさん」




 かすかに柑橘系の風味のする紅茶で口の中に残ったクッキーの欠片を飲み込む。

 案内された建物、というより樹の内部と言った方が正しい場所はフォルスの中枢だという。

 ただの樹に見えるが中は層になっており商業施設や自警団の詰所、役場などが層によって区切られ設置されている。その中でも白で統一されたこの空間は療養施設のフロアらしく所々で異国風の白衣を纏った人とすれ違った。

「……こうして直接会うのは数年ぶりですか。いろいろと聞きたいことはありますが、今回はまた違った用件のようですね」

 声をかけここまで案内してきた女性は自らをこの療養施設の長だと名乗った。

 少しふっくらとした体型でまるでみんなのお母さんとても言いたい雰囲気がある。だが後ろできっちりとまとめられた髪型とその強い光が宿る薄茶色の瞳からは並々ならぬ強い意思が感じられる。

「いろいろ、ね。まあ、それはあとでってことにしてよ、……後継者選出のための人員選出って言ったら分かってくれるか?」

「っ!?さらに質問が増えましたが……状況は理解しました。ただし、1つだけ聞かせてください。なぜ、あなたがそれに関わっているのですか?」

「そりゃぁ、勅令が下ったからさ」

「……そう、ですか。わかりました。明日の朝食後またここに来てください。それまでには選出しておきましょう」

「話が早くて助かるぜ。んでよぉ、もう1つ頼みがあるんだけどよ、他の選出候補氏族にこれを送っておいてくれねぇか?」

 ルタトが取り出したのはファルマ女帝の印で封がされた手紙だった。

「本当は城側の仕事だがちょいと面倒ごとが起きてんのはもう耳に入ってんだろ?」

「ええ、もちろん。引き受けましょう」


 

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