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IDOLA -puella-  作者: 白野十裏(元トリ)
第3章 《帝都》ミシュルナ
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第10話 ファルマ帝都ミシュルナ

……やっとか

序盤なのに……

〇第10話 ファルマ帝都ミシュルナ


 夜が明ける頃、戻ってきたシルフによるとタロカは街のほとんどが焼けてしまっているという。街の中のウェリチエ軍は殲滅したが周囲に潜んでいる可能性があり様子を見に行くことは出来なかったが被害状況を簡単に記した地図を渡してくれた。

「あー、焼けちまってる……」

 これは地図をみたレンキが発した言葉である。

 顔に笑みが浮かんでいるのにひどく沈んだ声に声がかけられなかった。

「ま、立て直すしかないね!こんなことでもなけりゃ立て直そうなんさ思わなかっただろうからね!」

「……女将さん、前向きですね」

「前向きが一番だよ、ミラちゃん。ほら、レンキ!そんな辛気臭い顔してないでさっさと新しい宿屋の間取りを考えときな!」

「女将ぃ……、無理だっての。みんながみんな女将みたくザ・肝っ玉母ちゃんってやつじゃ……いででででででででで!?」

 レンキの耳をつまんだ女将は笑顔で言う。

「聞こえの悪い耳はどこの耳だい?」

「いてて、や、やめ、ちょ、女将!わかった、考える!考えます!」

「よろしい。とびっきりのやつを頼むよ!」

「はいっ!」

 脱兎のごとく駆け出し避難している人の中に紛れるレンキ。

 見慣れた光景ではあるがこれを初めて見たときはどうしたものかとしばらく考えた記憶がある。

「……いいのか、あれ」

 隣で茫然とつぶやいたキルも同じ気持ちなのだろう。

「大丈夫です。いつものことですし、レンキさん、ああ見えて嫌がってはいないですから」

「そうか……うーん、そうなのか?でも街を全部立て直すってなると、まずは燃えた建物を処理して土地を仕切り直して、その後に建物を建てるんだし……気が早いな」

「きっとそれくらいでないと落ち込んでしまうのではと。……あの宿屋、200年以上同じ建物を使っていましたから」

「火事が多いタロカじゃめずらしいな。と、まあ、ウェリチエ兵の事はすでに連絡が行っているはずだし……」

「出発するのですか?」

「もともとその予定だったし……。確かにこの状況で出発しようってのもあれだけど……」

「女将さんたちなら大丈夫です。レンキさんもさっきああ言いながらも気にせずに行ってこいと言ってくれましたから」

「それならちょうどいい。俺もミシュルナまで同行しよう」

「あ、シルフ」

 物音をたてず背後から現れた武人は弓を肩に担ぐ。その身はすでに旅装に包まれていた。

「シルフさんも、ですか?」

「ああ。女帝陛下へ報告があってな。……なんだ、キル、2人旅を邪魔されて不満か?」

「誰がだよっ!」

「そう噛みつくな」

「噛みついてねぇよ!」

「……オウム」

「は?」

「言われたことをそのまま返してくる鳥がバロニシア王国にはいるそうだ。で、そのことから言われたままの事を返すことをオウム返しというらしい。お前の返答はいつもそうだな、と思ってな」

「……馬鹿にしてるのか?」

「まさか。いつもいつもよく人が言ったことを覚えて返してくるものだと感心してる」

「……やっぱ馬鹿にしてるだろ」

「ああ、馬鹿にしてる」

「ちくしょー!」

「ピー!」

「わわ!?」

 いきなり頭に飛びのってきたピーチクにキルは悲鳴をあげる。

「ああ、ピーチク、いくら何でもそれはダメだよ。あなた、キルの事馬鹿にしてるでしょう?」

「ピィ!」

「ダメ」

「ピイヤ!」

「くそっ、鳥にまで馬鹿にされた……」

「末期だな」

「うるせぇっ!黙れ!」



 ファルマ帝国の帝都ミシュルナは中央にレイチェを祀る神殿でもある城があり、そこから半径3キロメートルの地点を城壁で囲んだ円形をした都市だ。城壁の外にも街は広がり、端から端まで徒歩で移動しようとするとかなりの時間がかかる。

 だが、ミシュルナは世界一魔法が発展した都市である。

 白い街並みの至る所で魔法の光がはじける。

「ピィー」

 ピーチクはミラの肩で機嫌よさそうにさえずっていた。

「ピーチク……有頂天になりすぎだよ……」

「まあまあ、こっちは喜んでくれた方がうれしいし」

 その言葉にミラは苦笑いすることしかできなかった。

 ミシュルナには多くの移動用転移魔法陣が設置されている。

 そのおかげで移動は短くて済むのだが、転移した瞬間飛び込んでくる景色が変わるのがよほど楽しかったのかピーチクは城門をくぐってからも歌い続けていたのだった。

「……ピーチク、お願いだからもう少し静かにして」

「ピィーヤ、……キュルルルル」

「ピーチク……」

「ピィー」

「にぎやかでいいな。馬鹿な騒がしさでない、いい音だ」

「……誰が馬鹿な騒がしさだって?」

「馬鹿と言っただけで反応するか、馬鹿。誰、とは言わず言っただけだが……ついに認めたか、阿呆」

「……なっ」

 すぐにあのいつもの言い争いが始まる。

 ピーチクも歌っているためとても騒がしい。

 だが、その2人の言い争いもピーチクの歌もある扉の前に着た途端にとまる。

「?」

「頭がいい鳥だな。こいつとは大違いだ」

「んな!?……くっそ、覚えておけよシルフ」

「さてな。……まずは、報告を済ませてからだ」

「えっと?」

「この先が謁見の間だ」

 シルフはそう言って両開きの巨大な扉に手をかけた。


改稿間に合わねぇw


ってなわけで次の更新は2月の第2週目安で!

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