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4バイトのオモイ
少女は目を覚ました。傷は治っている。気を失った場所から動いていないようだ。
ロボットは少女の隣で少女のことを見ている。
『だいじょうぶ?』
「うん平気。私いくら怪我しても死なないしこの痛み止めのおかげで痛くもないの」
ロボットは少し驚いたようであった。なんとも人間臭い無機物だ。
ロボットがディスプレイに大量の文字を表示する。内容はこうだ。
自分は未来から来た遠隔操作型ロボット。あろ人に頼まれて少女のことを助けに来たらしい。一度に500バイト以上の文字は出せないものの、文字による通信ならある程度可能なようだ。最終目標はこの国の総理大臣を無力化し、少女をアメリカへ届けること。
『きみのなまえは ユリ だ』
「ユリ」
『なまえがないのはふべんだ さぁ、いこう』
「申し訳ありません、発見できませんでした」
「構わん。私は、娘の居場所を手に取るようにわかるのだ…」