2バイトのオモイ
また、次の日が来た。この日は何やら様子がおかしい。いつもの“収獲”がいつまで経ってもやってこない。すると、看守長があわただしげにやってくる。
「君、逃げろ」
看守長はがちゃがちゃと鍵を開けようとする。しかし、そんな看守長の足を何かが貫いた。看守長は3mほど吹き飛ばされ、唸り声を上げる。
その何かがやってきた方面、少女から見ると左手から見たことのないものが現れた。
マグカップを逆さにしたような丸いフォルム。素材は金属のようで、色は銀をベースに、頭頂部は青く、腕なようなものが二本生えており、それも青色だ。目のような黒い点が二つあり、そのすぐ下にディスプレイのようなものがある。そこには、
『助けに来た』
とだけ、書いてある。少女は、ひらがなはかろうじて読めるが漢字は読めない。
「ごめんなさい、漢字読めないの」
その何かはしばらく硬直し、左右を見て、
『たすけにきた』
と表示しなおした。
少女は何故かその何かが自分に害がないと一目見たときから感じていた。
「なんで?」と聞くと『あとで』とそれは返す。
そのロボットのようなものは目から熱線を出し、たちどころに牢屋を破壊してしまう。ああ、さっき看守長さんの足を貫いたのはレーザーか、と気付いた時、看守長のことを思い出し、少女は牢屋から出て看守長のもとへ駆け寄る。
看守長は辛そうにはしているが命に関わるほどの怪我をしていなかった。その時、ロボットが少女を抱き寄せ、いきなり走り出した。
いや、走り出したというよりいきなり飛んだ。