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1バイトのオモイ
一週間に1度、看守長がやってくる。彼だけは少女に好意的だ。
「気分はどうかね?」
少女は少し嬉しそうに答える。
「まぁまぁです。やっぱりきられるときは痛いです。」
「そうだよな。今日は痛み止めを持ってきたんだ。秘密裏に開発された薬だから、隠れてお飲み。」
看守長は瓶詰めの薬を少女に渡し、ニッコリと笑い牢屋を去っていった。
「時間だ。起きろ。」
看守の声に少女は起きる。先日貰った薬を飲んだから今回は大丈夫だ。
いつも通り吸引が始まる。
足が斬られ、吸い込まれ、一瞬で足が生えてくるがまた斬られ、吸い込まれる。しかしいつも見せる苦しげな表情は少女には無く、むしろ嬉しそうにも見える。ただ、無限に血が飛び散る自分の足を見ているだけだ。看守は若干気味悪がり、タンクがいっぱいになるとそそくさと去っていった。
この国の肉の自給率が急激に伸びた理由。それはこの少女のような、一瞬で傷を治す改造人間の研究が成功したからだ。