表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
英雄の誓い
42/99

ベンヌの本

パイン達は、クライム王国の傭兵協会にいた。

ハルバールの屋敷の位置はすぐに分かった。

傭兵協会で位置を確認したのもあるが、パインがその場所を

知っていたのだ。


パイン:((ハルバールの屋敷は、子供の頃にお化け屋敷って

    呼んでいた場所なんだ。))

サール:((お化け屋敷ですか。))

パイン:((あぁ、誰も住んでいないのに、たまに明かりが

    点くことがあったんだ。

    それで、お化け屋敷って呼んでいた。

    実際には定期的に管理していた人が来ていただけ

    だったんだけどな。))

サール:((そういえば、

    クライム国はパインの故郷でしたね。))

パイン:((あぁ、それにしても懐かしいな。))

アリス:((パインの実家みてみたいな。))

パイン:((えっ?、いいけど、先にハルバールの屋敷に行こう。

    ニコさんを待たせるのも悪いし、、、。))

サール:((そうですね。その方がいいでしょうね。))

ジェイル:((さっさと行って、終わらせよう。))

アリス:((はーい。))

そして、5人はハルバールの屋敷へと直行した。


ハルバールの屋敷は、住宅街の真ん中にぽつんとあった。

5人はよく手入れされた庭を通り玄関へと到着した。

扉には、鳥の形を模したドアノッカーが付いていた。

パインがそれを使う。

 「コン、コン、、、コン、コン」

屋敷の中を歩く音が聞こえる。

そして、静かに扉が開いた。


現れたのは、1人の中年の女性だった。

???:「あんれまぁ、こんだらところへ何のようだぁ?」

パイン:「いえ、傭兵協会のほうから来ました。」

???:「ほうから?、もしかして、詐欺じゃねえだろな?」

サール:「いえ、カイン王から依頼されて調査に伺いました。」

???:「あぁ、そっだな話あったな。

    んで、リーダーの名前教えてくりゃ。」

パイン:「パインです。」

???:「それだぁ。その名前だぁ。

    あたしゃが、ニコだぁ。」

パイン:「貴方がニコさんですか。」

ニコ:「んだ。

   んだども、こんだらところへ、なんのようだぁ?」

パイン:「ハルバールの行方を捜すための調査なんですよ。」

ニコ:「そうだったな。とりあえずはいるべよ。」


サール:((どうやら、我々が本当にカイン王から依頼されて

    来た者か確認したようですね。))

パイン:((あぁ、なんか試されている感じがした。))

パイン達は屋敷の中へと入った。


ニコ:「すまなかった。

   本人かを確認させてもらった。」

パイン:「訛りも演技だったんですか?」

ニコ:「あぁ、ヴァニッシュの連中が動いていると報告が

   あったのでな。」

パイン:「ヴァニッシュ?」

ニコ:「ヴァニッシュは魔獣王に味方する者達のことだ。

   その連中が魔獣王討伐隊の邪魔をしたり、

   討伐に関係する者を襲ったりと、混乱を起しているんだ。

   理由は分からないが、この屋敷も狙われているという

   情報が入ってきている。

   彼らのことは、傭兵協会では無に帰すものという意味で、

   ヴァニッシュと呼んでいるんだ。」

アリス:「それって、魔獣王に組する者達のことだよね?」

サール:「たぶん同じ者達のことだと思いますよ。」

ジェイル:「ヴァニッシュか、なんか、いいな。

     よし、我々もそう呼ぼう。」

サール:「そうですね。名前は同じ方が混乱しないですからね。」

パイン:「ところで、

    何故、カイン王はその話をしなかったのだろう?」

サール:「そうですね。何故でしょう?」

ジェイル:「そうだな、気になるな。」

アリス:「きっと、忘れてたんだよ。」


パイン達が悩んでいると、ニコが話し始めた。

ニコ:「ヴァニッシュの件は、極秘事項なんだ。

   私はカイン王の勅命を受けて動いている。

   ヴァニッシュについても話すように指示されていた。

   ヴァニッシュは、どこにでもいるんだ。」

パイン:「どこにでもいる?、どういう意味ですか?」

ニコ:「バニッシュは人々の中に紛れ込んでいるんだ。

   そして、指示があれば牙を向く。

   カイン王は傭兵協会の中にもヴァニッシュがいると

   考えているようだ。」

パイン:「なるほど、そういうことでしたか。

    ところで、ニコさんの話し方って女性って感じが

    しないんですが、まさか、、、男?」

ニコ:「あぁ、ばれてしまったか。

   もう少し、話し方に注意しないといけないな。

   そう、私は男だ。」

アリス:「えぇーーっ。そうだったんだーー。」

ニコ:「まあ、この話は、終わりにしよう。

   屋敷の中は、勝手に調べてもらってもかまわない。

   しかし、勝手な出入りは禁止だ。

   必ず私の許可を取ること。

   あと、中の物は当時のままになっている。

   家の中の魔法陣や魔法の品は使わないこと。

   以上を守ってくれ。」

パイン:「はい、分かりました。」

そして屋敷の中を調べ始めた。


パイン達は1階にあった部屋にいた。

そこは、壁際にレンガ造りの暖炉が1つあり、

くつろぐ為のソファーが置かれていた。

ジェイルは、暖炉を熱心に調べていた。

パインがそれを見て声をかけた。

パイン:((ジェイル、暖炉が気になるのか?))

ジェイル:((あぁ、ニコさんが当時のままと言っていただろ。

     失踪があったのが22年前の2月中旬。

     つまり、真冬だったんだ。

     それなのに、薪が新品だ。

     確かに使った跡はあるが暖炉を焚かない理由が無い。

     つまり、当時この暖炉は使われていなかったんだ。

     ということは、この暖炉には使わなかった理由が

     あるんじゃないかと思ってな。))

ジェイルがなにやら呟くと、暖炉の中に明かりが灯った。

そして、暖炉の中へと入ると、中を丹念に調べてゆく。

暖炉の中は煤で汚れていた。

しかし、1箇所だけ後からはめ直したと思える汚れていない

レンガがあった。

そのレンガを慎重に外す。

それは、想像以上に軽かった。

暖炉の中から這い出ると、皆が集まっていた。

ジェイル:((このレンガなんだが、軽すぎる。

     中が空洞かもしれない。))

そう言ってジェイルがレンガを振った。

しかし、中に何か入っているような音はしなかった。

サール:((とりあえず、割ってみるしかなさそうですね。))

パイン:((割るなら、ニコを呼んでくる。

    後で、何か言われたくないからな。))

そして、部屋を後にした。

しばらくすると、パインがニコを連れてきた。

ジェイルが事情を説明し、ニコの承諾の上、

レンガを割ることになった。


割る担当は、パインになった。

パイン:「さて、なにが入っているのかな、、、。」

パインがレンガを割ると、何かを包んでいると思われる布の

塊が現れた。

ジェイル:「なるほど、それで音がしなかったのか。」

パインが布を外してゆく。

そして、現れたのは、鳥が描かれたメダルだった。

パイン:「これは何なんだ?」

ニコ:「それは、、、。」

ニコが驚いた顔でそれを見た。

ニコ:「それは多分、屋根裏部屋の鍵だろう。

   屋根裏部屋に扉があるんだが、

   どうやっても開かなかった。

   その扉には丸い穴があいていたんだ。」

パイン:「なるほど、何か隠したいことがあったんだろうな。

    その部屋に手がかりがあるかもしれない。

    すぐに行って見よう。」

そして、6人は屋根裏部屋へと向かった。


その扉には鳥の絵が描かれていた。

見たことも無い鳥だった。

パインは、これがベンヌなのかと考えた。

そして、丁度巣が描かれたあたり。

たぶん卵に見立てているのだろうが、

その位置に丸い穴が開いていた。

そこに、メダルをはめ込む。

すると、音も無く扉が開いた。


まず、パインが中の様子を確認した。

それは部屋というよりも、収納という狭さだった。

幅1m、奥行き2mというところだろうか?

そこに机が1つ置かれていた。

机の上奥には本棚があり、本が隙間無く入っていた。

机の上に蜀台を見つけたので、それに火を灯す。


そして、本棚の本の背表紙を確認していく。

その中の1冊に目を留めた。

その本には、「ベンヌ」と書かれていた。


表紙を捲ると、そこには


 我が一族の子孫のために、これを残す。


と書かれていた。

書かれた日付もはいっていた。

それは、今からおよそ100年ほど前だった。


次の頁を捲ると、そこには羽を広げた鳥の絵が描かれていた。

その横には、鳥に祈りを捧げる人が描かれていた。

その鳥は、大きくそして光輝いていた。

羽を広げたその鳥は、横に描かれている人の3倍はあるであろう

大きさだった。

次の頁も絵だった。

その絵では、鳥の大きさは人の10倍はあろうかという大きさで

描かれている。


パイン:「おいおい、こんな巨大な鳥はいないよな。」

サール:「そうですね。誇張して描かれているようですね。」

ジェイル:「さっさと、次の頁捲ってくれ。」

パイン:「すまん、すまん。」

そして、次の頁を捲る。

そこには、魔獣と戦う炎を纏った幻獣と思われるものと

空を飛ぶ鳥が描かれていた

それは、壁画で見た絵に似ていた。


パイン:「これ、魔獣と幻獣とベンヌだよな?」

サール:「幻獣は、たぶんイフリートじゃないですかね?」

シロ:((そうにゃ、イフリート様にゃ。))

サール:((やはりそうですか、、、。))

パイン:((とすると、魔獣王と戦うにはイフリートとベンヌが

    必要ということなのか?))

シロ:((イフリート様は、前の戦いで傷ついたにゃ。

   復活するには人間の歳月で、あと千年は必要にゃ。))

ジェイル:((どういうことだ?))

シロ:((それは、言えないにゃ。自分で調べるにゃ。))

サール:((つまり、こういうことではないでしょうか?

    前の魔獣王との戦いでイフリートが魔獣王を封印した。

    しかし、その戦いで傷つきイフリートも眠りについた。

    そんな感じがしっくりきますね。

    しかし、アリスにはシヴァが来た。

    それには、きっと意味があるんですよ。))

パイン:((サールは、幻獣はイフリートでなくても良いと

    言いたいんだよな?))

サール:((そうですね。

    ただし、横にいるベンヌですが、

    それは必要なのかもしれません。

    実際の鳥かあるいは、それに代わるものが、、、。

    そして、ハルバールは、ベンヌに関わっていると

    言うことですね。))

ジェイル:((なるほど、やはり、ハルバールを探すのが

     魔獣王討伐に必須ということか。))

サール:((そうですね。))


生死不明のハルバールを見つけることが出来るのか?

ベンヌとは何なのか?

そして、この本には何が書かれているのだろうか?

A:「この本を読み進めてゆくと、ベンヌについて

  分かるんでしょうね。」

C:「たぶん、そうじゃないですかね?」

A:「Cさんは、いつも、はっきりしませんね。」

C:「いえ、色々と注意を受けているので、、、。」

A:「ヴァニッシュというのと魔獣に組する者は、

  同じでいいんですか?」

C:「たぶん、そうなんじゃないですかね。

  同じような団体が複数あっても意味が無いですし、、、。

  目的が同じなら一緒に行動すべきですよね。」

A:「たしかに。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=714265189&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ