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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
21/99

骨の秘密

連合暦20年3月25日、

3人は、ジェイルの家へ向かう馬車の中にいた。

パイン:((しょうがないだろ、幽霊とか嫌いなんだからさ。))

パインは昨日の件を思い出し、むすっとした顔をして

外を眺めていた。

パイン:((アリスは無いのかよ?))

アリス:((私?、んー、痛いのは嫌いかな。))

パイン:((痛いの好きな人なんて、普通いないだろ、、、。))

アリス:((ところで、サールって苦手な物は無いの?))

サール:((えっ、私ですか?

    そうですね、ヘビとか嫌いですね。))

アリス:((へっ?、なんで?))

サール:((子供の頃に森で、頭の上にヘビが

    落ちてきたんですよ。それからですね。))

アリス:((へーーー。そうなんだ。))

この時、アリスの目がキラッと光ったのに

気付いた者はいなかった。

ジェイルの屋敷への道中そんな会話を続けていた。

そして、ジェイルの屋敷へと到着した。


ポールが現れると、ポールに先導され屋敷の奥へと案内された。

長い廊下だった。

そこは別の建物へと繋がっていた。

サール:「ここって、何かの研究所なんですか?」

ポール:「はい、その通りでございます。」

アリス:「えっ?何で分かったの?」

サール:「ああ、あそこに書いてあったんですよ。」

そう言って、指差す。

そこには、看板があり、

 ロミュラン研究所

と書かれていた。

サール:「何の研究をされているんですか?」

ポール:「それについては、所長から説明がございます。」

そして、所長室と書かれた部屋の前に到着した。


ポール:「こちらでございます。」

そして、扉を開け、「お入り下さい。」と一礼する。

3人が中へ入ると、そこには虎の仮面を被った人がいた。


パイン:「ジェイルが所長だったのか。」

ジェイル:「えっ?、何故分かった?」

ジェイルは困惑していた、今回は完全に顔を覆う仮面を

被っているというのに、、、。


パイン:((こいつ、本当に分かってないのか?))

サール:((みたいですね。))

アリス:((えっ、何で分かったの?))

パイン:((アリスも分かってないのか、、、。))

サール:((えーとですね。

    我々の知っている人で、あんな仮面を被る人は、

    ジェイル以外にいないし、

    ジェイルに呼ばれてここに来たからですよ。))

アリス:((なる。))


パイン:「お前が呼んだんだろ。」

ジェイル:「あぁ、そうだったな。」

そう言って、仮面を脱ぐ。

パイン:((それにしても、何をしたいんだろうな。))

サール:((そうですね、行動がよくわかりませんね。))

ジェイル:「まあ、座れ。」

3人が席に座るのを確認すると、ジェイルは口を開いた。


ジェイル:「私が求めた骨があるだろ。」

パイン:「ああ。」

ジェイル:「ドラゴンって知ってるか?」

パイン:「伝説とか伝承とかに出て来るあれか?」

ジェイル:「そうだ。」

サール:「まっ、まさか、

    その骨がドラゴンの骨だというのですか?」

ジェイルは、黙って頷く。

サール:「何を言ってるんですか、

    ドラゴンなんて存在しませんよ。

    そもそも、今までにその痕跡さえ

    見つかっていないのですよ。」

ジェイル:「ドラゴンの研究家がいるのは知ってるな?」

サール:「何人もいるのは、知ってますよ。

    しかし、、、。」

ジェイル:「当家は先祖代々ドラゴンの研究を

     趣味で行っていた。」

3人:「えっ?」

アリス:((すごーい。))

サール:((趣味って、、、。))

パイン:((先祖代々、、、。))

ジェイル:「2年前、私が研究所の所長に就任した。

     私も、最初は信じていなかったが、過去の資料を

     読み漁るうちに、もしかしたら存在するかも

     しれないと思うようになったんだ。

     そして、この巻物を見つけたんだ。」

そう言って、巻物を机の上に広げた。

パイン:「この巻物は?」

ジェイル:「魔晶石とドラゴンの骨を交換した取引記録だ。

     これには更なる交換を求めていると書いてあった。」

サール:「全ての始まりは、この記録だったのですね。」

ジェイル:「あぁ、そうだ。」

ジェイル:「私も、ドラゴンの骨には期待していなかった。

     たぶん、偽物だろうと考えていたのだが、

     この取引記録から骨を追跡し、

     最後の持ち主を特定した。

     その骨を入手してから考えが変わったんだ。

     ドラゴンは存在する、魔獣王討伐に使えないかとね。

     そして1年前に魔晶石を持って屋敷に向かわせた。」

ジェイル:「ポール、あれを、、、。」

ポールが移動式台を押しながら部屋に入ってきた。

台の上には、大きな何かが乗っていた。

しかし、布が被されていた為、何かは分からなかった。

アリス:「あっ、かわいいーーーっ。」

布にデフォルメされたドラゴンが描かれていた。

ポール:「よろしければ、差し上げましょうか?」

アリス:「えっ、ほんとにほんと?」

ポールは、1度頷くと、その布を捲った。

そして、綺麗に折りたたむとアリスに渡した。

アリス:「やったーーーっ!!。」

アリスはその布に頬ずりすると、飛び上がって喜んだ。


布の下から現れたのは、先の尖った象牙のような物だった。

その大きさは、握りこぶしぐらいある。

サール:「これが、ドラゴンの骨?」

ジェイル:「いや、ドラゴンだと確証があるわけではない。

     調査の結果、歯だということは分かった。」

パイン:「歯だって!!

    だとすると、とんでもない大きさだぞ。」

ジェイル:「あぁ、これだけ大きな動物は今までに

     発見されていない。

     伝説のドラゴンの可能性が高い。

     そう考えたんだ。

     そして、本当かどうかを確認するために、

     他の骨との交換を考えたんだ。」

サール:「なるほど。」

ジェイル:「そして、あの女性。

     シェリルという名前なのだが、

     彼女は、その骨があった場所に

     子供のころに行った事があるそうだ。

     しかし、記憶の混乱があるのか、

     その場所を思い出せないようだ。」

パイン:「まさか、その場所を探せって言ってるのか?」

ジェイル:「さすがに情報が無さ過ぎて、それは無理だろう。」

サール:「ですね。」

ジェイル:「お前達が屋敷を探索したときに、入れなかった扉が

     あっただろ?」

パイン:「あぁ、あの通路の途中にあった

    魔法陣の描かれた扉か?」

ジェイル:「そう、それだ。

     あの扉の先に複数の転移の魔法陣が在ったのだが、

     その中で1つ、飛んだ先にある魔法陣が

     どうしても動かないんだ。

     我々と一緒に行って、

     その魔法陣を幻獣に見てほしいんだ

     そして動かない理由が分からないか

     聞いてほしいんだ。」

パイン:「また、シロか、、、。」

サール:「なんか、悲しいですね。」


この後、3人はジェイル、ポールと共に、ズールの屋敷へと

向かうことになった。

ズールの屋敷の入り口で、パインは門にしがみつき、

首を左右に振りながら騒いでいた。

パイン:「えーーーっ、俺やだよーーーっ。

    ゾンビとかスケルトンとかの巣だったところに

    入りたくないよ。

    シロがいればいいんだよな。

    別に俺が行かなくてもいいだろ。」

ポール:「ネクロマンサーが浄化されたので、

    ゾンビやスケルトンは、もういませんよ。」

パイン:「いや、それでも、、、。」

アリスは、ニヤニヤしながら、言った。

アリス:「パイン、怖いんだーーーっ。」

パインは、その一言で、我を取り戻した。

パイン:「うーーーーっ。くそっ、分かったよ。

    行けばいいんだろ、行けば、、、。」

そして、納得がいかない顔をしながら、例の扉へと向かい、

転移の魔法陣から移動した。

そこは、洞窟の中だった。

少し歩くと、問題の魔法陣があった。


アリスがシロを召喚すると、シロは魔法陣を眺め始めた。

アリス:「シロちゃん、どう?」

シロ:「簡単にゃ。血の刻印がされてるにゃ。」

ジェイル:「血の刻印?それは何だ?」

シロ:「魔法陣のまんにゃかにある印が血で描かれているにゃ。

   使えるのは、その血の血族だけにゃ。」

サール:「ほう、そんなことが出来るのですか。」

ジェイル:「ズールの血族なのか?」

シロ:「それは、やってみにゃいと、分からにゃいにゃ。」

ジェイル:「そうか。まあ、飛べたとしても、

     この先に何があるか分からないしな。

     もう少し屋敷の書物を調べてみることにするよ、

     何か分かるかもしれないしな。

     すまないが、何か分かったら連絡するので、

     その時は、また力を貸してほしい。」

パイン:「わかった。」

ジェイル:「お前じゃない、シロだ。」

シロ:「アリスがやれっていうにゃら、手伝うにゃ。」

ジェイル:「頼む、アリス。」

アリス:「はーい。」

アリスは、笑顔で答えた。


パイン:「むううううう。」

パインは、自尊心を傷つけられたのか、

その場に座り込んでしまった。


アリスがパインにゆっくり近づくと、パインの肩に手を置き

慰めるように声をかけた。

アリス:「パイン、、、。」

そして、ニコニコしながら、パインの頭をかきむしった。


C:「どーもー。Cです。」

A:「アシスタントのAです。」

A:「今回からタイトルが初めてじゃなくなったんですね。」

C:「あぁ、初めてのお使いを使ったんで、終わりみたいだよ。」

A:「その為の初めてシリーズだったんですか、、、。

  タイトルにそんな秘密があったとは、、、。

  てか、安易すぎる。」

C:「まあまあ。それより、今回の骨の秘密ですが、

  こんな秘密があったんですな。」

A:「でも、本当にドラゴンなんて、いるんですかね?」

C:「どうだろう?

  記録には、目撃情報とかもあったらしいけど、

  見間違えってこともあるし、話題づくりの偽情報とかも

  あるかもしれないしね。」

A:「伝説とか伝承とかは?」

C:「大抵の場合、ああいうのは、話を面白くするために、

  大げさに書かれているんだよ。」

A:「ふーん、そうなんだ。Cは、ドラゴン否定派?」

C:「うーん、どっちでもないかな。

  もし、本当にいるなら

  何か証拠がでてくるんじゃないかな?」

A:「なるほど、今後、証拠が出て来るかが問題だね。

  私としては、夢があるし、

  いてほしいと思ってるんだけどね。」

C:「たしかにね。

  まあ、今後に期待しましょう。

  さて、そろそろ、時間ですので、また次回ってことで。

  それでは、また会いましょう。」

A:「またねー。」

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