骨の秘密
連合暦20年3月25日、
3人は、ジェイルの家へ向かう馬車の中にいた。
パイン:((しょうがないだろ、幽霊とか嫌いなんだからさ。))
パインは昨日の件を思い出し、むすっとした顔をして
外を眺めていた。
パイン:((アリスは無いのかよ?))
アリス:((私?、んー、痛いのは嫌いかな。))
パイン:((痛いの好きな人なんて、普通いないだろ、、、。))
アリス:((ところで、サールって苦手な物は無いの?))
サール:((えっ、私ですか?
そうですね、ヘビとか嫌いですね。))
アリス:((へっ?、なんで?))
サール:((子供の頃に森で、頭の上にヘビが
落ちてきたんですよ。それからですね。))
アリス:((へーーー。そうなんだ。))
この時、アリスの目がキラッと光ったのに
気付いた者はいなかった。
ジェイルの屋敷への道中そんな会話を続けていた。
そして、ジェイルの屋敷へと到着した。
ポールが現れると、ポールに先導され屋敷の奥へと案内された。
長い廊下だった。
そこは別の建物へと繋がっていた。
サール:「ここって、何かの研究所なんですか?」
ポール:「はい、その通りでございます。」
アリス:「えっ?何で分かったの?」
サール:「ああ、あそこに書いてあったんですよ。」
そう言って、指差す。
そこには、看板があり、
ロミュラン研究所
と書かれていた。
サール:「何の研究をされているんですか?」
ポール:「それについては、所長から説明がございます。」
そして、所長室と書かれた部屋の前に到着した。
ポール:「こちらでございます。」
そして、扉を開け、「お入り下さい。」と一礼する。
3人が中へ入ると、そこには虎の仮面を被った人がいた。
パイン:「ジェイルが所長だったのか。」
ジェイル:「えっ?、何故分かった?」
ジェイルは困惑していた、今回は完全に顔を覆う仮面を
被っているというのに、、、。
パイン:((こいつ、本当に分かってないのか?))
サール:((みたいですね。))
アリス:((えっ、何で分かったの?))
パイン:((アリスも分かってないのか、、、。))
サール:((えーとですね。
我々の知っている人で、あんな仮面を被る人は、
ジェイル以外にいないし、
ジェイルに呼ばれてここに来たからですよ。))
アリス:((なる。))
パイン:「お前が呼んだんだろ。」
ジェイル:「あぁ、そうだったな。」
そう言って、仮面を脱ぐ。
パイン:((それにしても、何をしたいんだろうな。))
サール:((そうですね、行動がよくわかりませんね。))
ジェイル:「まあ、座れ。」
3人が席に座るのを確認すると、ジェイルは口を開いた。
ジェイル:「私が求めた骨があるだろ。」
パイン:「ああ。」
ジェイル:「ドラゴンって知ってるか?」
パイン:「伝説とか伝承とかに出て来るあれか?」
ジェイル:「そうだ。」
サール:「まっ、まさか、
その骨がドラゴンの骨だというのですか?」
ジェイルは、黙って頷く。
サール:「何を言ってるんですか、
ドラゴンなんて存在しませんよ。
そもそも、今までにその痕跡さえ
見つかっていないのですよ。」
ジェイル:「ドラゴンの研究家がいるのは知ってるな?」
サール:「何人もいるのは、知ってますよ。
しかし、、、。」
ジェイル:「当家は先祖代々ドラゴンの研究を
趣味で行っていた。」
3人:「えっ?」
アリス:((すごーい。))
サール:((趣味って、、、。))
パイン:((先祖代々、、、。))
ジェイル:「2年前、私が研究所の所長に就任した。
私も、最初は信じていなかったが、過去の資料を
読み漁るうちに、もしかしたら存在するかも
しれないと思うようになったんだ。
そして、この巻物を見つけたんだ。」
そう言って、巻物を机の上に広げた。
パイン:「この巻物は?」
ジェイル:「魔晶石とドラゴンの骨を交換した取引記録だ。
これには更なる交換を求めていると書いてあった。」
サール:「全ての始まりは、この記録だったのですね。」
ジェイル:「あぁ、そうだ。」
ジェイル:「私も、ドラゴンの骨には期待していなかった。
たぶん、偽物だろうと考えていたのだが、
この取引記録から骨を追跡し、
最後の持ち主を特定した。
その骨を入手してから考えが変わったんだ。
ドラゴンは存在する、魔獣王討伐に使えないかとね。
そして1年前に魔晶石を持って屋敷に向かわせた。」
ジェイル:「ポール、あれを、、、。」
ポールが移動式台を押しながら部屋に入ってきた。
台の上には、大きな何かが乗っていた。
しかし、布が被されていた為、何かは分からなかった。
アリス:「あっ、かわいいーーーっ。」
布にデフォルメされたドラゴンが描かれていた。
ポール:「よろしければ、差し上げましょうか?」
アリス:「えっ、ほんとにほんと?」
ポールは、1度頷くと、その布を捲った。
そして、綺麗に折りたたむとアリスに渡した。
アリス:「やったーーーっ!!。」
アリスはその布に頬ずりすると、飛び上がって喜んだ。
布の下から現れたのは、先の尖った象牙のような物だった。
その大きさは、握りこぶしぐらいある。
サール:「これが、ドラゴンの骨?」
ジェイル:「いや、ドラゴンだと確証があるわけではない。
調査の結果、歯だということは分かった。」
パイン:「歯だって!!
だとすると、とんでもない大きさだぞ。」
ジェイル:「あぁ、これだけ大きな動物は今までに
発見されていない。
伝説のドラゴンの可能性が高い。
そう考えたんだ。
そして、本当かどうかを確認するために、
他の骨との交換を考えたんだ。」
サール:「なるほど。」
ジェイル:「そして、あの女性。
シェリルという名前なのだが、
彼女は、その骨があった場所に
子供のころに行った事があるそうだ。
しかし、記憶の混乱があるのか、
その場所を思い出せないようだ。」
パイン:「まさか、その場所を探せって言ってるのか?」
ジェイル:「さすがに情報が無さ過ぎて、それは無理だろう。」
サール:「ですね。」
ジェイル:「お前達が屋敷を探索したときに、入れなかった扉が
あっただろ?」
パイン:「あぁ、あの通路の途中にあった
魔法陣の描かれた扉か?」
ジェイル:「そう、それだ。
あの扉の先に複数の転移の魔法陣が在ったのだが、
その中で1つ、飛んだ先にある魔法陣が
どうしても動かないんだ。
我々と一緒に行って、
その魔法陣を幻獣に見てほしいんだ
そして動かない理由が分からないか
聞いてほしいんだ。」
パイン:「また、シロか、、、。」
サール:「なんか、悲しいですね。」
この後、3人はジェイル、ポールと共に、ズールの屋敷へと
向かうことになった。
ズールの屋敷の入り口で、パインは門にしがみつき、
首を左右に振りながら騒いでいた。
パイン:「えーーーっ、俺やだよーーーっ。
ゾンビとかスケルトンとかの巣だったところに
入りたくないよ。
シロがいればいいんだよな。
別に俺が行かなくてもいいだろ。」
ポール:「ネクロマンサーが浄化されたので、
ゾンビやスケルトンは、もういませんよ。」
パイン:「いや、それでも、、、。」
アリスは、ニヤニヤしながら、言った。
アリス:「パイン、怖いんだーーーっ。」
パインは、その一言で、我を取り戻した。
パイン:「うーーーーっ。くそっ、分かったよ。
行けばいいんだろ、行けば、、、。」
そして、納得がいかない顔をしながら、例の扉へと向かい、
転移の魔法陣から移動した。
そこは、洞窟の中だった。
少し歩くと、問題の魔法陣があった。
アリスがシロを召喚すると、シロは魔法陣を眺め始めた。
アリス:「シロちゃん、どう?」
シロ:「簡単にゃ。血の刻印がされてるにゃ。」
ジェイル:「血の刻印?それは何だ?」
シロ:「魔法陣のまんにゃかにある印が血で描かれているにゃ。
使えるのは、その血の血族だけにゃ。」
サール:「ほう、そんなことが出来るのですか。」
ジェイル:「ズールの血族なのか?」
シロ:「それは、やってみにゃいと、分からにゃいにゃ。」
ジェイル:「そうか。まあ、飛べたとしても、
この先に何があるか分からないしな。
もう少し屋敷の書物を調べてみることにするよ、
何か分かるかもしれないしな。
すまないが、何か分かったら連絡するので、
その時は、また力を貸してほしい。」
パイン:「わかった。」
ジェイル:「お前じゃない、シロだ。」
シロ:「アリスがやれっていうにゃら、手伝うにゃ。」
ジェイル:「頼む、アリス。」
アリス:「はーい。」
アリスは、笑顔で答えた。
パイン:「むううううう。」
パインは、自尊心を傷つけられたのか、
その場に座り込んでしまった。
アリスがパインにゆっくり近づくと、パインの肩に手を置き
慰めるように声をかけた。
アリス:「パイン、、、。」
そして、ニコニコしながら、パインの頭をかきむしった。
C:「どーもー。Cです。」
A:「アシスタントのAです。」
A:「今回からタイトルが初めてじゃなくなったんですね。」
C:「あぁ、初めてのお使いを使ったんで、終わりみたいだよ。」
A:「その為の初めてシリーズだったんですか、、、。
タイトルにそんな秘密があったとは、、、。
てか、安易すぎる。」
C:「まあまあ。それより、今回の骨の秘密ですが、
こんな秘密があったんですな。」
A:「でも、本当にドラゴンなんて、いるんですかね?」
C:「どうだろう?
記録には、目撃情報とかもあったらしいけど、
見間違えってこともあるし、話題づくりの偽情報とかも
あるかもしれないしね。」
A:「伝説とか伝承とかは?」
C:「大抵の場合、ああいうのは、話を面白くするために、
大げさに書かれているんだよ。」
A:「ふーん、そうなんだ。Cは、ドラゴン否定派?」
C:「うーん、どっちでもないかな。
もし、本当にいるなら
何か証拠がでてくるんじゃないかな?」
A:「なるほど、今後、証拠が出て来るかが問題だね。
私としては、夢があるし、
いてほしいと思ってるんだけどね。」
C:「たしかにね。
まあ、今後に期待しましょう。
さて、そろそろ、時間ですので、また次回ってことで。
それでは、また会いましょう。」
A:「またねー。」




