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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
19/99

初めてのお使い3

残り時間1:17

扉の先は通路だった。

パインがそう思ったのは、廊下とは違い、

装飾や絵画などの飾り気が一切無かったため、

ただの通路いう表現が正しと思っていた。

無機質な通路を慎重に進んで行くと、右側に扉があった。

その扉には、魔法陣が描かれている。


サール:((この魔法陣は?))

サールは何かを考えているようだった。

しばらくすると、サールが言った。

サール:((わかりました。

    これは、施錠の魔法陣ですね。))

パイン:((なんだそれ?))

サール:((扉や箱などに鍵をかける魔法陣です。

    特定の物、言葉や動作などを鍵として設定することに

    よって、開かないようにできるんです。))

パイン:((へー、魔法って、すごいな。))

アリス:((で、鍵は分かったの?))

サール:((それは分かりません。))

アリス:((じゃあ、ここにいても意味無いよね。

    ぜんしーーーん。))

アリスは右手の拳を上に突き上げた。

サール:((そうですね、何か重要な部屋だとは思うのですが、

    先に進めば何か手がかりが有るかもしれません。))

パイン:((わかった、先に進もう。))


残り時間1:11

通路を進んだが、そこは行き止まりだった。

パイン:((この先は壁だな、どうなってるんだ?))

パインがドンドンと壁を叩く。

しかし、壁はびくともしない。

パインは振り向くと壁にもたれかかり、困った顔をした。

パイン:((どうしたらいいんだ、先へ進めない。))

サール:((さて、どうしましょうか。

    先ほどの部屋の鍵を見つけないと

    いけないんですかね?))

その時、「ガチャ、ガラガラガラ、、、。」という音がすると、

その扉が横にスライドした。

パインはバランスを崩しながら半回転して受身を取ろうとした。

そして顔面から何かにぶつかった。

パインは必死にそれにしがみつく。

なんとか体勢を立て直して、顔を上げた。

そして、そのまま崩れ落ちた。


アリス:((あらら。))

そういって、パインに近づき、つんつんと突く。

アリス:((せっかくゾンビさんが助けてくれたのに

    これじゃあ、意味無いね。))


パインが失神している間、残りの3人で部屋を探索した。

その部屋は、書斎のようだった。

部屋の周りには沢山の書棚が並び、部屋の奥には机と椅子が

置かれていた。

書棚には沢山の魔道書が収められていた。

サールは、魔道書を手当たり次第に眺めていた。

アリスは、パインの傍で何かをやっていた。

ポールはすでに閉まった扉を調べていた。

アリスが、机の方へと移動を開始する。

その時、扉が開く音が聞こえた。


ポール:((どうやら、しばらく壁に触っていると

    開くようですね。))

サール:((なるほど、そう言う仕掛けだったんですか。))

アリス:((へー、簡単な仕掛けだったんだ。))


そう言いながら、アリスは机に近づくと、

開いていたボロボロの本を手に取った。

その頁には、

  妙薬がついに完成した。

  なんとか間に合いそうだ。

  妻に明日、実行することを告げた。

  あとは全てを妻にまかせよう。

と書かれていた。


アリス:((これ、日記じゃないかな?))

パイン以外がアリスの元に近寄る。

サール:((どれですか?))

アリス:((これこれ。))

そう言って、サールに日記を渡す。


サールがその頁を読み、次のページを捲る。

そして、それ以降を慎重に捲って行った。

サール:((そうみたいですね。

    開かれていた頁が最後みたいです。))

そして、最初の頁から読み始めた。


ーーー

妻の方も、順調に進んでいるようだが、

素材の入手に時間のかかるものがあるようだ。

厄介なのは種から育てなければならない物があることだ。

妻と話し合ったが、どう考えても時間が足りない。


もう最後の手段を実行するしかないのだろう。

執事に収拾を指示したが、入手困難な物も多数ある。

本当に間に合うのだろうか?


材料が次々と集まってきたが、魔晶石の集まりが悪い。

全てをつぎ込んでも集めなければならない。

なんとしても集めなければ。


魔晶石の入手には目処がついた。

あの貴重な骨の一部と交換することだ。

まあ、いまとなっては、あの骨の研究よりも、

もっと重要なことがあるのだ。

惜しんでいる暇は無い。


ついに、魔法陣が完成した。

実験している時間はない。

しかし問題は、生贄をどうするかだ。

やはり、あの方法しかないのだろうか?


やはり、あの方法しかないと結論付けた。

全てを捨てても必ずやり遂げる。

残された道はもう無いのだ。


妻があの方法に反対し、どんな説得にも応じなかった。

仕方なく妻をあの部屋に閉じ込める事にした。

あの部屋に居れば、いずれ分かってくれるだろう。


妙薬の完成もあとわずかだ。

このために全てを注ぎ込んできたのだ。

絶対に成功させるしかない。


妻の説得に時間がかかってしまったが、

なんとか納得させることができたようだ。


妙薬がついに完成した。

なんとか間に合いそうだ。

妻に明日、実行することを告げた。

あとは全てを妻にまかせよう。

ーーー

ここで、日記は終わっていた。


サール:((一体、どんな魔法陣を作ったのでしょうか?

    それに、妙薬とは何か?

    最初に書かれている時間が無いというのも

    気になります。))

ポール:((この日記は、途中からのようですし、

    これより前の日記があるかもしれません。))

アリス:((そうだね、それを探そう。))

サール:((まだ、時間もありますし、そうしますか。))

そして、3人は日記を探し始めた。


そうこうしている間に、パインが目覚めた。

パイン:「ふわぁ~。よく寝た。

    ん?あれ?ここはどこだ?

    ん?なんだこれ?

    んぎゃ。」

サール:((騒々しいですね。いったいどうしたんでしょう。))

サールがパインに近寄る。

そこには、正座したゾンビがパインを膝枕していた。

パインは気絶しているようだった。

サール:((えっ、なんで?))

アリス:((あぁ、ゾンビさんにお願いして、

    パインに膝枕してもらってたの。))

サール:((いったい、どうやって?))

アリス:((ひ・み・つ。))

サールは最初、一体どうやったのかが気になったが、

今はそんなことを考えている場合ではないと思い直し、

考えるのをやめた。

そして、パインの両足を持って引きずると、

ゾンビから引き離した。

サール:((アリスさん、もうやったらダメですよ。))

アリス:((はーい。))

そして、3人は日記探しを再開した。

しかし、日記は発見できなかった。


ポールが時間を気にするように言った。

ポール:((そろそろ、先へ進みましょう。

    時間がなくなってしまいます。))

サール:((そうですか、しかたないですね。

    アリスさん、パインを起こしてあげて下さい。

    次の扉を調べましょう。))

サールが思い直したように言った。

サール:((あっ、優しく起こしてあげて下さいね。))

そう言ってアリスを見ると、

丁度ゾンビを引っ張って来ているところだった。


残り時間0:25

サールがパインを起こし、4人で次の部屋へと入った。

その部屋は、目的の場所だった。

部屋の中心には、魔法陣が描かれ、その中に揺り椅子に座った

ローブを被った人がいた。

ポールが言った。

ポール:((ここのようですね。

    危険ですので、魔法陣には近づかないでください。))

3人は、顔を見合わせると頷いた。

そして、アリスにシロを召喚するように頼んだ。

アリスは少し離れると踊り始め、それが終わるとシロが現れた。


シロ:((やっぱり外はいいにゃー。))

アリス:((シロちゃん、魔法陣の中に入って、

    ポールさんの言葉を伝えてあげて、、、。))

シロ:((はいにゃ。))

シロが魔法陣の中へと入って行く。

しばらくすると、シロが言った。


シロ:((この人、殺してくれって言ってるにゃ。))

アリス:((えっ?))

ポール:((なんと。))

パイン:((なんだって。))

サール:((んー。ネクロマンサーを殺すということは、

    きっと浄化するってことでしょうかね。))

ポール:((まずは、交渉を、、、。))

シロ:((わかったにゃ。))

ポールが交渉内容を示し、それをシロが伝えた。

シロ:((ダメにゃ、殺してくれとしか繰り返さないにゃ。))


すると、揺り椅子に座っている人の手がゆっくりと上がる。

そして、1方向を指差した。

全員がその方向に注目した。

そこには、魔法陣が刺繍された黒い布が垂れ下がっていた。

パインがそこを調べると、布の奥に通路があり、

その先に扉があった。

パイン:((その扉に入れって事かな?))

サール:((たぶん、そうなんでしょう。))

パイン:((嫌な予感もするけど、入るしかないんだろうな?))

サール:((そうですね。))

アリス:((はいろー!!))

アリスだけが上機嫌だった。

4人で相談した結果、入ることを決めた。


残り時間0:18

扉を開けると、光が入り込んできた。

部屋に入ると、暗闇に目が慣れていたせいなのだろうが、

まぶしいくらいに明るかった。

しばらくすると、目が慣れてきた。

そして、辺りを見回した。

その部屋は、壁一面、真っ白だった。

入ってすぐのところに机があり、ミイラ化した遺体があった。

横には、何かを栽培していたのだろうと思われる花壇のような

物もあった。

その傍には本棚が置かれ、本が大量にあった。

部屋の奥には魔法陣が描かれおり、淡く光を放っていた。

魔法陣の上にベットが置かれ、

1人の女性が眠っているように横たわっている。


パイン:((あの女性、まさか生きているのか?))

サール:((どうでしょう?

    ネクロマンサーの屋敷ですしね。))

アリス:((でも、顔色をみると、生きているみたいだけど。))

パインがベットに近づこうとしたが、サールがそれを止めた。


サール:((あの魔法陣は発動しています。

    うかつに近づくのは危険ですよ。

    それにあれを見て下さい。))

そう言って、一点を指差す。

そこには、1匹の蝶が羽を広げ、飛んでいるように、

空中に静止していた。

パイン:((なんだこれは?))

アリス:((いったい、どうなってるの?))

ポール:((・・・。))

4人は、それを呆けたように眺めていた。


この女性は一体誰なのだろうか?

そして、この奇妙な魔法陣は?

ズールは、一体何求めていたのだろうか?

謎は深まるばかりであった。

残り時間0:15

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