初めての宝探し2
パインは、右手に鍵のようなものを持ち、
祭壇の後ろの人工的な穴を見ていた。
パイン:((この穴に、これを挿すのか?))
サール:((罠の可能性も考えられます。
他に無いか確認してみましょう。))
アリス:((はーい。))
3人は、他に無いかを探したが、
それらしいものは見つからなかった。
パイン:((どうやら、これだけみたいだな。
挿してみるしかないのか?))
サール:((みたいですね。
覚悟を決めましょう。))
アリス:((・・・。))
パイン:((分かった。いくぞ。))
パインはゆっくりと鍵のようなものを差し込んだ。
「ガコッ」
スイッチが入るような音が聞こえた。
3人は、何か変化が無いかと辺りを見回す。
突然、「ゴゴゴゴゴゴ、、、。」と言う音と共に
壁が奥へ引っ込む様に動いた。
そして、通路が出現した。
パイン:((すごいな。
だけど、こんな大掛かりな仕掛け意味があるのか?))
サール:((そうですよね。
隠すだけならもっと簡単な仕掛けでいいですよね。))
アリス:((きっと、作った人の趣味なんだよ。))
パインは、そんなことは無いだろうと思いながらも、
アリスの発言を否定できなかった。
3人は、慎重に出来上がった通路に入った。
そして、すぐに右に曲がる。
そこからの通路は思いの外、広かった。
3人の中で一番身長の高いパインが
両手を広げたぐらいだろうか。
天井も手を上に上げてもギリギリ届かなかった。
通路は何回もうねうねと曲がっていた。
まるで、方向感覚を狂わすのが目的の様に、、、。
その後、通路は真っ直ぐになった。
それは、思ったよりも長かった。
そして、終点が見えた。
アリス:((あれ扉かな?))
パイン:((みたいだな。))
サール:((えぇ、そんな感じに見えますね。))
3人は扉のように見える物に近づいて、それを見た。
そこには、記号のような文字のようなものが彫られていた。
サール:((これは、古代文字か?))
パイン:((古代文字?))
サール:((今の文字の遥か昔に使われていた文字ですね。
博物館とかに行くと見れますよ。))
パイン:((いったい何て書かれているんだ?))
サール:((残念ながら、私には読めません。))
突然シロが割り込んできた。
シロ:((わかったにゃーん。))
アリス:((シロちゃん、読めるの?))
シロ:((伊達に長く生きてないにゃ。))
アリス:((シロちゃん、すごーい。))
パイン:((さすが、シロ。))
サール:((すっごいですねーーーっ。))
シロが召喚されていたら、鼻高々だっただろう。
サール:((で、なんて書かれているんですか?))
シロ:((それは、教えられないにゃ。))
3人は、ずっこけた。
パイン:((おいおい、なんだよそれ、、、。))
アリス:((シロちゃーん、、、。))
シロ:((だって、シヴァ様が言うなって言ったにゃ。))
アリス:((もーーーっ。))
シロ:((でも、ヒントをくれたにゃ。))
アリス:((えっ。))
パイン:((なんだって。))
サール:((なんですか?それは、、、。))
シロ:((右下の方を良く見るにゃ。))
サール:((右下?))
パイン:((右下だって?))
3人は、右下の方を注意深く見た。
そこには、人が描かれており、その頭の上に丸い何かがあった。
パイン:((この絵、精霊魔道士が火の玉を出したところに
見えるんだけど。))
アリス:((そうそう、わたしも、そう見える。))
サール:((もしかしたら、炎系の魔法がスイッチになって
いるのかもしれないですね。))
パインとアリスがサールに注目する。
サール:((その前に、これを記録しておきましょう。))
そう言うと、紙とペンをとりだして、写し始めた。
全てを写し終えると、サールが言った。
サール:((試しに、やってみますね。))
そして、詠唱を開始した。
サールの頭の上に火の玉が現れる。
突然、扉が光った。
パイン:「うぁ。」
サール:「あっ。」
アリス:「えっ。」
目の前が真っ暗になる。
周りが見えるようになると、そこは別の場所だった。
3人は危険が無いか、警戒するように辺りを見回した。
そこは何処かの遺跡ではないかと思われた。
所々にある柱は崩れ、在ったであろう天井も崩れ、
地面に落ちていた。
パイン:((ここは、どこだ?))
サール:((どうやら、炎の魔法に反応して転移の魔法が
発動するようになっていたみたいですね。
まさか、そんなことが出来るなんて
聞いたこともありませんでした。))
アリス:((ここ明るいね。))
その一言で、パインが上をみる。
遥か上空に岩が見えるところを見ると洞窟の中のようだった。
光が差し込んでいないにも関わらず、そこは明るかった。
サール:((えぇ、光の魔法のようですが、術者もいないのに
いったいどうやってるんでしょうか?))
パイン:((サールにも分からないのか。
古代の魔法かなにかなのだろうか?))
サール:((その可能性は高いですね。
あっ、あの花は、見たこと無い種類ですね。))
そう言って、サールはその花に近寄る。
サールは、花を取ると、見たり、触ったりしていた。
サールは興奮気味に言った。
サール:((万能薬をもってくればよかった。
食べられないじゃないか、、、。))
パイン:((えっ?))
アリス:((えーーーっ、食べるの?))
サール:((えぇ、魔法薬の素材になるか確認するためです。))
パイン:((へぇ、そんなことするんだ。))
この時、パインは精霊魔道士には成りたくないなと思った。
アリス:((魔法薬の素材、、、。))
アリスは、三角帽子を被った老婆が、
火にかけ、ぐつぐつと煮立った大釜に
「ひぃーーっ、ひっひっひっ。」
と言いながら、
色々な素材を投げ入れているところを想像していた。
パイン:((さて、先へ進んでみるか。))
サール:((えぇ、そうしましょう。楽しみですねー。))
アリス:((はーい。))
3人は注意深く辺りを確認しながら進んで行った。
そして、崩れた壁の向こうに祭壇のようなものを見つけた。
アリス:((あっ、あれ、祭壇?))
その時、突然、祭壇の後ろの壁が
「ズドーン」という音と共に崩れた。
そこには、石に見える大人ぐらいの人型の物が、
ゆっくりと動いていた。
アリス:「ギャーーーーッ!!」
アリスは尋常じゃないスピードで、祭壇から離れた。
パインとサールも祭壇から離れる。
パイン:((何だ?あれは?))
サール:((ゴッ、ゴーレム!?))
パイン:((ゴーレムって?))
サール:((木、土、石、鉄なので人型を作って、
それを従わせる古代術式の1つです。
今ではその術式も失われてしまっており、
研究対象になってるんですよ。
まさか、それに出会えるとは、、、。))
パイン:((へーーー。))
サール:((これは、何としても、無傷で捕らえなければ。))
パイン:((捕らえるって?
いったい、どうやって?))
サール:((任せて下さい。))
そう言って、呪文を唱えた。
すぐに効果が現れる。
みるみるゴーレムの周りに糸のようなものが現れて
拘束していく。
ゴーレムが見えなくなるほど糸が巻きついた時、
「グォーーーッ」という、唸り声のような音を発した。
次の瞬間、「ブチブチブチ、、、。」と言う音と共に、
拘束が消え去った。
サール:((うぁ。))
パイン:((げっ。))
そして、ゴーレムはサールの方を向くと、
目の前の柱や壁を破壊しながら、近づいてきた。
サール:((まずい、一旦さがりましょう。))
パイン:((ああ、それがいいな。
アリスは?))
パインがアリスの気配のする方を見ると、遥か彼方で
柱の後ろから顔を覗かせているのを発見した。
パイン:((アリスのところまで後退だ。))
サール:((はい。))
2人は、アリスのところまで全速力で走った。
そして、ゴーレムの方を見た。
ゴーレムは、追って来ていなかった。
パイン:((追って来ないのか?))
サール:((どうやら、祭壇を守っているようですね。))
アリス:((ふぅ。よかった。))
3人は車座になって、対策を話し合った。
サール:((まさか、拘束の呪文が効かないとは、、、。
出来れば捕獲したかったんですが、
無理そうですね。))
パイン:((倒すしかないって事か。))
サール:((えぇ、倒すしかないです。))
パイン:((しかし、どうやって?
石みたいだし、剣も魔法も効きそうに無いぞ。))
サール:((えぇ、木で作ってウッドゴーレムは炎系、
土で作ったマッドゴーレムなら、
風系の呪文で何とかなると思うのですが、
石や鉄で出来たゴーレムは、
魔法耐性が高いらしいので、
倒すまでに魔力が持つかどうか、、、。))
パイン:((打つ手無しということか、、、。))
しばらくの間、沈黙が続く。
突然、シロが静寂を破った。
シロ:((倒し方、知ってるにゃ。))
パイン:((本当か?))
シロ:((嘘なんてつかないにゃ。))
パイン:((どうせ、また話せないんだろ?))
シロ:((話せるにゃ。))
パイン:((なら、教えてくれ。))
シロ:((パインには、教えられにゃいにゃ。))
パイン:((なんだって?))
シロ:((パインは、前に見下した目で見たにゃ。))
パイン:((おいおい、根に持っているのか?
別に見下した分けじゃないぞ。))
シロ:((シロにはそう見えたにゃ。))
アリス:((まあまあ、シロちゃん、ごねないの。))
シロ:((アリスに免じて、許さないこともないかにゃ。))
パイン:((頼む、シロ。))
シロ:((にゃあ、お願いしますにゃ。と言うにゃ。))
パイン:((・・・。))
アリスがパインを見るとムスッとしていた。
アリス:((パイン。))
パインがアリスを見ると、アリスは首を横に振っていた。
パイン:(くそ、しょうがないな、、、。)
パイン:((シロ、お願いします。))
シロ:((ちゃんと、にゃをつけるにゃ。))
アリス:((シ・ロ・ちゃ・ん。))
パインがアリスを見ると怒った顔をしていた。
シロ:((やばいにゃ、アリスが怒ったにゃ。
ゆるすにゃ、すぐ、教えるにゃ。))
3人は、シロの次の言葉を待った。
シロ:((ゴーレムの額の文字にゃ。
それを消すにゃ。))
サール:((なるほど、ゴーレムの額の文字が弱点ですか。))
パイン:((さて、問題は、どうやって文字を消すかだな。))
その後、3人は入念な計画を立てた。