初めての宝探し1
3人は、宝探しの申し入れに悩んでいた。
パイン:((どうしよう?))
サール:((何か裏がありそうな感じもしますよね。))
パイン:((そうなんだよな。
こんな重要なこと、簡単に話してもいいのかって
疑っちゃうよな。))
サール:((でも、あの像は年代物ですよ。
裏の掘り込みもかなり昔のようですし。))
パイン:((そうか。))
その時、コゴーロが話し始めた。
コゴーロ:「悩んでいるようじゃの?
依頼料は、見つけた宝の3割でどうじゃ?」
パイン:「えっ」
パイン:(もし、金貨100枚みつけたら30枚、、、。
1000枚だったら、300枚、、、。
それだけあったら、あんなことや、そんなこと、
そうだ、こんなこともできるな、、、。)
アリスは、パインのにやけ顔を見逃さなかった。
アリス:((なに、ニヤニヤしてるのよ。))
パインはその声にハッとする。
パイン:((いや、その、、つまり、、、。
なんだな、、、。
この話、受ける方向で考えないか?))
サール:((そうですね。
乗ってみるのも悪くないですね。))
アリス:((私は問題なーし。))
パインは、コゴーロを見ると口を開いた。
パイン:「引き受けます。」
コゴーロ:「そうか、引き受けてくれるか。
ならば、この地図をやろう。」
そして、地図を渡された。
コゴーロ:「よろしく頼んだぞ。」
パイン:「分かりました。」
3人は、傭兵協会へと戻り、クエストを完了させ、
報酬として銀貨2枚を受け取った。
パイン:((銅の傭兵コインって、現物じゃないんだ。))
サール:((そうですよ。
傭兵同士の奪い合いが起きないように
記録のみになっているんです。))
そんな話をしながら、天馬の尻尾亭へ戻ると、
地図の場所について話し合った。
パイン:((この地図なんだけど。))
地図を出す。
その地図には、左下に川、右下に1本の木、右上に山、
山の近くに洞窟のような穴があり、穴の上に×印が
描かれていた。
パイン:((どうやって、この場所を探すかだな。
だれか地理に詳しい人知らないか?))
アリス:((んー、そんな人知らないな。))
サール:((私も知りませんね。))
アリス:((そうだ、傭兵協会に相談してみたら?
困ったときの傭兵協会。))
サール:((そうですね、あそこなら何か分かるかも
知れないですね。))
パイン:((いってみるか。))
サール:((待って下さい。念のためこうしましょう。))
サールは、地図を別の紙に書き写した。
しかし、×印は書かなかった。
そして、それを持って再び傭兵協会へと向かった。
3人は、傭兵協会の受付へと来ていた。
パイン:「この地図の場所を探しているのですが。
分かりませんか?」
受付嬢:「位置特定ですね。
係りの者を呼びますので、しばらくお待ち下さい。」
サール:((こんなサービスあったんですね。))
パイン:((サールも知らなかったのか、、、。))
サール:((仕事の時は、地図が配布されますからね。))
パイン:((なるほどね。))
そして、しばらく待たされる。
現れたのは、ジーナと名乗る女性だった。
ジーナ:「この地図がどれだけ正確か分かりませんが、
似たような地形は3箇所確認できますね。
ただし、どれも洞窟のようなものは、
確認できません。」
これも傭兵王カインの成しえた功績の1つだった。
傭兵王カインは、壺の探索をクエストにするときに、
詳細な地図の作成を行った。
それを細分化して記号を付けて管理したのだ。
そして、その膨大な量の地図は全て傭兵協会で管理され、
定期的に更新する事によって、
常に最新の情報を知ることができた。
さらに、地図のエキスパートを育成することによって、
傭兵達のサポートを行った。
パイン:「3箇所ですか、それはどこでしょうか?」
ジーナ:「地図をお渡しすることも可能ですが、
1枚の地図に対して青銅貨3枚になります。」
パイン:((げっ、お金とられるのか。))
サール:((情報はお金になりますから、当然ですね。
ここは、ケチらずに地図をもらいましょう。))
パイン:((そうだよな。))
さらに、手数料として青銅貨1枚を要求され、
結局、銀貨1枚の出費となった。
パインは名残惜しそうに銀貨を見ると、それを渡した。
ジーナは、3枚の地図に○印を付け、パインに渡した。
3人は、天馬の尻尾亭に戻ると地図を吟味した。
パイン:「どうやら、カルラド近辺に1箇所、
カルラドとクライムの中間あたりに、1箇所、
そして、ルシードの近くに1箇所あるみたいだな。」
サール:「良く見てみると、一番一致しているのは、
カルラド近辺のやつですね。
老人の家にも近そうですし、ここが本命ですね。」
パイン:「より、明日、ここを探索してみよう。」
サール:「ですね。」
そして確認するように、2人はアリスを見た。
シロ:「ゴロゴロ、、、。」
シロは、アリスに喉を摩られて、気持ちよさそうに
喉を鳴らしていた。
アリスは、2人に気がつくと「はーい。」と答えた。
連合暦20年3月23日、
3人はカルラド近辺の地図の場所に向かった。
サール:「この地図の場所で間違えないと思うのですが、、、。」
例の地図に似通っていた。
しかし、見回した限り洞窟のようなものは見当たらなかった。
パイン:「とりあえず、地図で洞窟のある場所に行ってみよう。」
サール:「そうですね。」
アリス:「はーい。」
3人は、地図で洞窟が描かれた場所へと近づいた。
サール:「あれ?」
パイン:「どうした?」
サール:「いや、あそこなんですが、なんか変な感じが。」
そう言って、指差す。
パインはそちらを見るがよくわからない。
パイン:「もっと近づいてみよう。」
サール:「ですね。」
3人はそこに近づく。
そして、入り口を見つけた。
北側にあるそれは、遠くから見ると
ただの平らな壁のように見えた、
しかし、近づいてみるとなだらかに湾曲しており、
死角にあたる西側に1人が入れるぐらいの穴が
ぽっかりと口を開けていた。
サール:「うまく作られていますね。
これは、人為的に作られたと思ってよさそうです。」
パイン:「当たりってことだな。」
サール:「そうですね。」
アリス:「やったーーにゃん、、、。
あれ?、シロのがうつっちゃったかな、、、。」
パインとサールは、何も言わなかった。
サールがパインの剣の先に明かりを灯した。
そして洞窟の中を照らした。
壁は何かで削った跡がある。
一目で人為的であることが分かった。
そして3人は、穴に入ると、その洞窟を進んだ。
しばらくの間、分岐は無かった。
そして、広めの空間に出た。
奥の方には、石で出来た祭壇の様な物があった。
サール:((祭壇ですかね?))
パイン:((そんな感じだな。))
アリス:((あっ、なにか置いてある。))
そう言って、アリスが走り出す。
パイン:((まて、アリス。))
パインがアリスの後を追う。
サールも少し遅れて走り出した。
パインがアリスに追いつくかと思ったその時、
「ガコッ、ガラガラガラ、、、。」
という音と共に、アリスの足元の床が消えた。
パインがアリスの手を掴むと、思いっきり引いた。
アリスがゴロゴロと転がりながらサールにぶつかった。
サール:「いてててて、、、。」
サールが起き上がり、パインを見た。
パインは踊っていた。
片足を上に上げ、両手を持ち上げて左右に振り、
腰を手と反対側にそらしながら、
「ヨッ、ヨッ、ヨッ、、、。」
と声を発していた。
そして、バランスを崩して落ちた。
サール:「パインーーー!!。」
その声が、エコーがかかったように反響する。
サールが穴に近寄る。
穴の中をみると、片手で穴の端に手を掛けている
パインを見つけた。
すぐにパインを引き上げると、2人で穴の底を覗いた。
穴の底には、槍のように先端がとがった岩が剣山のように
突き出していた。
そして白骨化した骨が所々に落ちていた。
パインは1回身震いすると、口を開いた。
パイン:「やばすぎだろ。これ、、、。」
サール:「えぇ、パインが消えたときは、焦りましたよ。」
パイン:「あっ、アリスは大丈夫か?」
2人は、アリスに近寄り、確認する。
アリス:「ふにゅーーーっ。」
アリスを見ると、目を回していた。
その時、「ガラガラガラ、、、。」という音と共に
穴が塞がった。
パイン:「すごい大掛かりな仕掛けだな。
よほど重要なものを祭っているらしい。」
サール:「何を祭っているのでしょうか。
気になりますね。」
パイン:「ああ。」
サール:「アリスが起きるで、休憩しませんか?」
パイン:「そうだな。」
2人は、アリスの横に腰を下ろした。
しばらくすると、アリスが目を覚ました。
アリスにうかつな行動をしないように念を押すと、
気を取り直して、慎重に進んだ。
注意して床を見ると、床に切り込みが見える。
注意して進めば問題は起こらなかっただろう。
その他の仕掛けは見当たらなかった。
そして、無事に祭壇へとたどり着いた。
祭壇の上には、鍵のようなものが置いてあった。
パインは、それを警戒しながら慎重に手に取ると、
それを使う場所があるのではないかと辺りと探し始めた。
そして、祭壇の反対側にそれはあった。