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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
13/99

初めての依頼

連合暦20年3月22日、

彼等は傭兵協会にいた。

パイン:「このクエストにしないか?」

サール:「そうですね、これなら近いですし、

    半日ぐらいで終われそうですね。

    それに、銅コインももらえるみたいですしね。」

アリス:「私もそれでいいよ。」

3人が手続きを済ませて、クエストに向かおうとすると、

老人が話しかけてきた。


老人:「そのクエスト受けなさるか?」

パイン:「はい、今、受けました。」

老人:「ならば、ついてまいれ。」

パイン:「えっ、何故ですか?」

老人:「わしが、それを依頼したからじゃ。」

3人:「!!」


3人は、老人に促されるまま、老人の家へと向かった。

そして、老人の家に着くと、話を聞くことになった。


老人はコゴーロと名乗った。

この家は借家であり、クエストの地区にある家が

本当の家だということだった。

2日前に畑仕事を済ませて、家に帰ると家の窓を割って

小さな魔獣が飛び出してゆくのを見たらしい。

恐る恐る家に入ったが魔獣は居なかった。

家の中はところどころが荒らされていた。

そして、家宝の像がなくなっていることに気がついた。

魔獣が盗んだと考え、このクエストを受ける者に

取り戻してもらうべく、待っていたということだった。


パイン:「なるほど、で、我々にその像を取り戻してほしい

    と言うわけですか。」

コゴーロ:「そうじゃ。

   報酬は金貨1枚でどうかな?」

パイン:「えっ、金貨1枚ですか。」


パイン:((どうだろう?金貨1枚は、魅力的すぎる。))

サール:((たぶん、魔獣が持っていると思うので、

     壺の回収と同時にできそうですよね。))

アリス:((私は、受けていいと思うよ。))

パイン:((じゃあ、引き受けるか。))


パイン:「分かりました。やってみます。」

コゴーロ:「おお、そうか。やってくれるか。

   それでは、早速、向かうとするかのー。」

4人は、クエスト地区へと向かった。

そして、老人の家に到着した。


コゴーロ:「ここが、わしの家じゃ。」

パイン:「ここに壺があるかもしれないので、

    とりあえず、中を調べさせてもらいますね。」

コゴーロ:「いま、あけるぞ。」

コゴーロは鍵を使った。


パイン:「よし、はいるぞ。」

サール:「警戒していきましょう。」

アリス:「はーい。」

3人はゆっくりと家の中へ入ると、

警戒しながら家の中を捜索した。

しかし、そこに魔獣はいなかった。

そして、外にでると、サールが口を開いた。


サール:「コゴーロさん、魔獣を見たときに

    この家の鍵は掛けていたんですよね?」

コゴーロ:「もちろんじゃ。」

サール:((不可解なことがあります。))

パイン:((なにが?))

アリス:((?))

サール:((こっちへ来て下さい。))

そして、窓のそばに行く。

窓は、割られており、その破片は外に落ちていた。

明らかに、魔獣が中から外に飛び出たときのものだと思えた。

サールは、割れた窓の枠を前後に揺するが、窓は開かない。


サール:((この家の入り口は鍵が掛けられていた。

    窓は開かない。

    そして、魔獣はこの窓から逃げ出した。

    他に出入りできるところはない。))

パイン:((まっ、まさか、不可能犯罪!!))

サール:((そう、魔獣はいったい何処から入ったのか?))


パインとサールは、腕を組み、上側の腕を顎に当てると、

考え始めた。

横で、アリスがそれを真似しようと、下側の腕を動かして、

苦戦していた。

しばらくの間、静寂があたりを支配した。


黙ってみていたコゴーロが口を開いた。

コゴーロ:「何をしているんじゃ?早く取り戻してくれ。」

サールがそれを説明した。

コゴーロ:「何をいってるんじゃ。この窓はこうじゃ。」

そう言って、窓を横にスライドする。

ガラガラと窓は横に開いた。


サール:「ぐぁ、横に開くんですか。」

パインは、その場にずっこけた。

コゴーロ:「しっかりしてくれ、コントを見るために

     呼んだわけではないぞ。

     そもそも不可能だったら、犯罪とは呼ばんじゃろ。」

アリスが「そっか」といいながらポンと手を叩いた。

コゴーロ:「さっさと、やってくれ。」

コゴーロはぶつぶつと独り言を言いながら家に入って行く。


パインとサールは、気まずい思いを残しながら、

周りの探索を始めた。

アリスはそれに続く。

畑の横は、草むらだった。

手入れをしていないのか、子供程の高さまで草が伸びていた。


その草むらの奥で何か大きなものが動いた。

パイン:「なにかいる、気をつけろ。」

アリスがシロを召喚する。

アリス:「シロちゃん、お願いね。」

シロ:「まかせるにゃー。」


その時、いきなり子供ほどの大きさの魔獣が

草むらの中から飛び掛ってきた。

シロ:「んぎゃー!!」

シロの動きは素早かった。

一声叫ぶと、すぐに動いた。

そして、アリスの後ろへと逃げ込んだ。

アリス:「えっ?、シロちゃん?」

シロを見ると、アリスの足にしがみついて、

ぶるぶると震えていた。

アリス:「えーーーーーっ。」


その時、パインはシロの動きより、一歩遅れていたが、

なかなかの反応だった。

素早く剣を振ると、魔獣を一刀両断した。

それを見ていたサールは、思った。

サール:(パイン、強くなったんじゃないか?)

パインは、幻獣との戦いで吹っ切れたのか、

迷い無く動けるようになっていた。

もともと、剣の腕は悪くはなかったのだ。

本来の実力が出せるようになったのだろう。


パインは、剣を収めるとシロを見た。

アリスの後ろで足にしがみついている。

パイン:((シロ、大丈夫か?))

アリス:((うーん、どうだろう?))

シロがアリスの意識を通して話始めた。

シロ:((びっくりしたにゃー。))

サール:((ほう、パーティー会話に介入できるのか。))

シロ:((アリスに教えてもらったにゃ。))

アリス:((昨日の夜に話したの。))

パイン:((ところで、シロ、お前幻獣のくせに弱くないか?))

シロ:((そんなことにゃい。びっくりしただけにゃー。))

パインはアリスにしがみつくシロを見ながら言った。

パイン:((まあ、そう言うことにしておくか。))

アリスがシロを帰すと、3人は捜索を続けた。


そのあと、草むらの中で、3匹の魔獣を倒しながら進んだ。

草むらが終わりに近づいたとき、目の前の切り株の上に

壺があった。

その横で、大人ぐらいの大きさの魔獣が横になっていた。


パイン:((あ、壺だ。魔獣もいるぞ。寝ているのか?))

サール:((動かないですね。寝ているのかも、、、。))

アリス:((魔獣って、寝るんだ。))

シロ:((魔獣も寝るにゃ。

   ただし、人間の寝るのとはちょっと違うにゃ。

   きっと、他の魔獣と意識を共有しているにゃ。))

アリス:((意識の共有?))

シロ:((パーティー会話みたいなものにゃ。

   意識を共有している間、うごけないにゃ。))

アリス:((なるほど。))

パイン:((ちょっと、魔獣が枕にしている物見てみろ。))

魔獣が寝ている頭のところに木で作られたと思われる円柱状の

物体があった。

サール:((もしかしたら、

    あれが、老人の言っていた像ですかね?))

アリス:((かも、、、。))

パイン:((よし、やるぞ。))

アリス:((はーい。))

サール:((いつでも。))

パイン達が取り囲むように、ゆっくりと近づく。

魔獣が起きた。

パイン達は、その場で凍りついた。

魔獣が下を向きのろのろと、アリスに近づく。

そして、上を見た。

アリスと目があった。

アリス:「ギャーーーーッ!!」

魔獣が驚いて、凍りつく。

同時にアリスがメイスをめちゃくちゃに振り回す。

その攻撃の1発が魔獣の頭にクリティカルヒットした。

魔獣はふらふらとよろめきながら、その場に倒れた。


パイン:((うは、アリス強い、、、。))

サール:((あの攻撃、すごかったですね。))

パイン:((ああ、目にも留まらぬ早業だな。

    よし、百烈棍と命名しよう。))

サール:((それ、いいですね。))

アリス:((なにそれーーっ。))

アリスが頬を膨らませて怒っている横で、

パインが壺の蓋を閉め、サールが像を手に取る。


サール:((これが、老人の言っていた像みたいですね。

    何の像なんでしょうか?

    かなり腐食していて、よくわかりませんね。))

像を色々な角度から見る。

そして、その台座の裏側に明らかに人為的な

掘り込みをみつけた。

サール:((これ、なんでしょうか?))

パイン:((どれどれ。))

アリス:((なに?))

3人がそれを見る。

パイン:((これ、地図っぽくないか?))

サール:((そんな風に見えますね。))

アリス:((よくわかんない。))

パイン:((とりあえず、老人のところに持って行って

    確認してみよう。))

サール:((そうですね。))

アリス:((はーい。))

そして、3人は壺を回収すると、老人の元へと戻った。


コゴーロ:「おぉ、取り戻してくれたか。

     そうそう、これじゃ、これじゃ。

     これが、盗まれた像じゃ。」

サール:「ところで、この像の裏にある地図のようなものは

    なんですか?」

コゴーロ:「見たのか?」

パイン:「えぇ」

コゴーロ:「しょうがないの、教えてやるわい。」

老人は、しぶしぶというより、

進んで教えてくれているようだった。


コゴーロは、紙と墨汁を用意すると、

像の上側と下側を持ち、くるくると回しだした。

そして、2つに分解する。

パイン:「えっ、それって、2つに分かれるのか。」

コゴーロ:「そうじゃ。」

そして、その地図のようなものが書かれた面に墨汁をつけると、

版画のように紙に押し付けた。

サール:「なるほど、版画だったんですね。」

分解したもう一つも同じようにする。

そして、出来上がった紙を3人に見せる。

それは、確実に地図だった。


コゴーロ:「この地図は、代々我が家に伝わる宝の地図じゃ。」

3人:「宝の地図、、、。」

コゴーロ:「そうじゃ、祖先が何かを隠したようじゃが、

     この場所がわからん。

     この×印のついたところじゃ。

     どうじゃ、探してみんか?」


3人は、驚いた。

その思わぬ申し入れに戸惑うばかりであった。


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