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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
12/99

初めての召喚

これまでのあらすじ)

パインは、カイン王国で知り合ったアリス、サールと

行動を共にすることになる。

カルラド王国に拠点を移す3人。

少女(リナ)の持っていたペンダントは

幻獣を呼び出すアイテムの一つだった。

ジェイルと共に召喚の儀式に立ち会う事になった3人。

召喚の儀式は成功するが、幻獣シヴァはアリスの中に

消えていった。

幻獣シヴァは、アリスに(しもべ)を遣わす。

僕とは一体?

そこには、ジェイル、ドレアル、パイン、サールの4人がいた。


ジェイル:「いったい何が起こったんだ?

     突然、シヴァが光の玉になってアリスの中に

     入って行った。

     これって、どう考えても、おかしいだろ。

     呼び出したのは、私だぞ。」

ドレアル:「まあ、まあ、落ち着くのじゃ。

     あの嬢ちゃんが目を覚ましたら、

     なにかわかるじゃろ。」

ジェイル:「ポール、ポールはいるか?」

ポール:「はい、いま参ります。」

そして、扉が開いたとき、ポールと共にアリスが立っていた。


パイン:「アリス!!」

アリスは何故か虚ろな顔をしていた。

そして、ポールに促されるように椅子に座る。


パインが再び声をかける。

パイン:「アリス、大丈夫か?」

アリスがハッとしたような顔をする。

アリス:「あっ、パイン、ごめんなさい。

    私、なにか変なの。

    私の中に何かいる。」

ジェイル:「シヴァなのか?」

アリス:「分からない。

    遠くの方と、そして近くに。」

ドレアル:「それとは話せるのか?」

アリス:「遠くの方のは、よくわからない。

    近くのなにかの考えが流れ込んでくる。

    だけど、よくわからないのよ。」

ドレアル:「こまったのー、アリスちゃんのみが

     頼りなのじゃがのー。」

突然、アリスが立ち上がる。

全員がアリスに注目する。

アリス:「あっ、分かった。なるほど、そうするのね。」

困惑していたアリスの顔が真顔になった。

踊りのような動きをする。

アリスが動きを止めたとき、

右手の甲に魔法陣が浮かび上がった。

魔法陣が光る。

アリスの近くに靄のようなものが広がると、

次第に色が濃くなってゆき、何かの形を形成していった。

次の瞬間、何かがそこにいた。

アリス以外の全員が呆然とそれを見ていた。


それは、大きさは子供ぐらいで、2本足で立つ、

真っ白い猫のような顔をした何かだった。

???:「にゃー、やっと出れたにゃー。」

アリス:「キャー、かわいい。」

アリスがそれに抱きつく。

???:「やめるにゃ、、苦しいにゃ、、、。」

アリスがハッとして、力を緩める。


ドレアルが口を開いた。

ドレアル:「おぬし、シヴァなのか?」

???:「にゃ?」

そう言って、それは、自分を指差す。

ドレアル:「そうじゃ、おぬしじゃ。」

???:「シヴァ様のわけが無いにゃ。

    見てわからにゃいか?」

ドレアル:「ならば、おぬし、何者じゃ?」

???:「何者?何をいってるのかよくわからないにゃ。」

ドレアル:「では、名前はなんというのじゃ?」

???:「にゃまえ?それはまだ無いにゃ。」


ゲームなら、ここで名前入力が出たことだろう。


突然アリスが声を上げる。

アリス:「シロ!!。

    そう、シロちゃんにしよう。」

パイン:(そのままじゃんか、、、。)

サール:(見たままですか、、、。)


アリスが「シロちゃーん」と言いながら、それを強く抱きしめる。

シロ:「くっ、くる、、、しい、、、にゃーーーっ。」

シロは、アリスの腕の中で両手両足をバタバタしながら

もがいていた。


それを見ていたドレアルが、

「さて」と言って話の取っ掛かりを作る。

アリスが力を緩める。


ドレアル:「それでは、シロとやらに尋ねたい。」

シロ:(にゃに、シロに決定にゃのか?

   まあ、どうでもいいかにゃ。)

シロ:「にゃにかにゃ、分かる範囲で答えるにゃ。」

ドレアル:「何故シヴァは戦闘をやめた?」

シロ:「契約を結んでいる者を見つけたからにゃ」

ドレアル:「それが、アリスだったと?」

シロ:「そうにゃ。」

ドレアルがアリスを見る。

アリス:「えっ、そんな契約結んだ覚えがないよ。」

ドレアル:「まあ、そうじゃろうな。」

ドレアルは、少し考えると話を続けた。

ドレアル:「確か、シヴァは古の血の契約と言っておったの。

     それは何なのだ?」

シロ:「残念にゃがら、それは知らないにゃ。」

ドレアル:「そうか。

     では、何故シヴァではなく、

     おぬしがアリスの中にいるのだ?」

シロ:「シヴァ様もアリスの中にいるにゃ。」


全員:「!!」


アリスは、思い当たることがあった。

アリス:「遠くにいる何か、、、。」

ドレアル:「なるほど。」

シロ:「アリスには、まだシヴァ様を呼び出すほどの

   力が無いにゃ。

   それで、自分がその代わりにゃ。」

ドレアル:「どうすれば、シヴァを呼び出せるのだ?」

シロ:「にゃにゃにゃ、それはいずれ分かるにゃ。」

シロは言葉を濁した。

ドレアル:「では、召喚士という言葉を知っているか?」

シロ:「人間がつけた、にゃまえかにゃ?」

ドレアル:「そうだ。」

シロ:「それにゃら、アリスがそうにゃ。」


全員:「!!」


ジェイル:「なんだと、くそ、私がなりたかったのに。」

シロ:「お前には無理にゃ。」

ジェイル:「なぜだ?」

シロ:「お前には資格が無いにゃ。」

ジェイル:「資格とはなんだ?」

シロ:「ちょっと待つにゃ。」

シロが何かを考えている。

シロ:「すまないにゃ。

   シヴァ様が答えるにゃと言ったにゃ。

   自分で調べるにゃ。」

ドレアル:「おぬしはシヴァと話せるのか?」

シロ:「それは無理にゃ、聞こえるだけにゃ。

   シヴァ様は全て見ているにゃ。

   そして、指示を与えるにゃ。」

ドレアル:「なるほど。」

シロ:「もういいかにゃ、アリスが疲れてるにゃ。」

アリスを見るとぐったりとしている。

シロ:「もう、もどるにゃ。」

シロは、霧のようになると、次第に消えて行った。

パイン:「アリス、大丈夫か?」

アリス:「えぇ、ちょっと、疲れたみたい。」

そう言ったかと思うと、アリスは寝てしまった。


ドレアル:「大体のことは分かったな。」

サール:「謎がまだ、残っていますがね。」

ドレアル:「この件、ここだけの秘密に

     したほうがよさそうだな。」

サール:「そうですね。」

ジェイル:「あぁ、俺からも頼む、

     幻獣契約に失敗し、

     さらには付添いの者が召喚士になるなど、、、。

     こんな話が広まったら、

     ロミュラン家の名に傷がつく。」

パイン:「分かった、そうしよう。」

アリス:「んがーーーーっ。」

アリスの絶妙なタイミングのイビキを聞いて全員が笑い始めた。


その日は、解散となり、ジェイルの屋敷に一泊した。


連合暦20年3月21日、

パイン、アリス、サール、ドレアル、ローザは、

ポールが走らせる馬車の中にいた。


ローザ:「やっと、リナに会えるのね。」

ドレアル:「そうじゃな。」

パイン、アリス、サールの3人はあの男の事を思い出していた。

もし、あの男がローザの父親だったとしたら。

3人は、何と言えばよいか、まったく分からなかった。

ドレアルだけは、いつもと変わらない様子だった。


そして、馬車が止まった。

5人が馬車から降りる。


アリス:「ん?、ここどこ?」

パイン:「あれ?、天馬の尻尾亭じゃないのか?」

サール:「どこでしょうか?」

3人が考えていると、ドレアルが1軒の家の中へ入って行く。

しかたなく、4人はあとに続く。


ドレアル:「おー、先生。どうかの?」

男:「あっ、ドレアルさん、おはようございます。

  えぇ、もう大丈夫ですよ。」

ドレアル:「会えるかの?」

男:「はい。」

そう言って、部屋へと案内してくれた。

ドレアルがローザに入るように指示する。

ローザが扉を開ける。

中にいた全員がこちらを向いた。


リナ:「ローザお姉ちゃん!!」

ローザ:「リナ!!」

そして、抱き合う2人。感動の再会であった。


パイン、アリス、サールは、2人の後ろにいる男女を見た。

横になっている男は、見覚えがあった。

そう、ペンダントを持っていた、あの男だった。


ドレアルの提案で、4人は部屋に入るのをやめた。

親子水入らずにしたほうがよいというものだった。


4人は、天馬の尻尾亭へと戻った。

そして、ドレアルに疑問をぶつけた。


ドレアル:「まあ、待て。順を追って話す。」


ドレアルが言うには、

先ほどの男女は、ローザとリサの両親だった。

2人は、クライムでのペンダント探索を終え、

そのペンダントをローザに託すと、

次のペンダントの探索の為、カルラドでペンダントの

捜索を行っていた。

そして、無事ペンダントを見つけ、帰路についたが、

途中で魔獣の襲撃を受けた。

そこで、2人は別々に逃げることになってしまったそうだ。

待ち合わせ場所を天馬の尻尾亭にして、、、。

男は、不眠不休で逃げた。

そして先に店に着いた。

もうろうとする意識の中でアリスをローザと間違えて、

ペンダントを渡そうとした。

ドレアルは、ペンダントに描かれた魔法陣が異質なものだと、

直感した。

警備兵に男を医療所に運ぶように指示して店にもどった。

3人が観光にいっている間に、ローザの母親がやってきた。

それで、2人で男のところへ行った。

その間に母親に事情を聴いた上で、

明日、ペンダントをジェイルに渡すことを約束して借り受けた。

転移の玉をつけた上で、アリスの手に渡った。

転移の玉をつけたのは、魔導士としての好奇心だったらしい。

朝、ジェイルが現れなかったら、アリスと一緒にジェイルに

会いに行くつもりだった。


パイン:「行き倒れで処理するとかいってませんでしたか?」

ドレアル:「別に、死んだとはいっておらんがのー。」

アリス:「私の癒しの祈りを止めましたよね?」

ドレアル:「癒し系は、傷を治すが睡眠不足は直せんよ。」

サール:「んー、我々の勘違いということですか、、、。」

アリス:「でも、何はともあれ、無事でよかった。」

パイン:「ああ、そうだな。」

サール:「そうですね。」


パイン:「ところで、あの玉はなんだったんですか??」

サール:「あれは、転移の玉ですね。

    転移の玉のあるところに移動できるというものです。

    それで、あの玉を持っていてもらったのですよ。」

パイン:「サールは、知っていたってことか、、、。」

サール:「何も聞かれなかったので、知っているのかと、、、。」


そこに、ローザとリナが現れた。

後ろには、両親が立っていた。


両親:「皆さん、ありがとうございました。」

ローザ:「ありがとうございました。」

リナ:「ありがと。」


パイン:「いえいえ、あまり役には立ってませんが、、、。

    本当に皆さん無事でよかったです。」

アリス:「お体はもう大丈夫なんですね?」

父親:「はい、ぐっすり寝たら回復しました。」

サール:「それは、なにより。」


その後しばらく雑談が続いた。

彼等が故郷のコーラル村に帰ることを聞かされた。


そして、天馬の尻尾亭の入り口に皆が集まる。

父親:「本当にありがとうございました。

   村に立ち寄ることがあったら、ぜひ尋ねて下さい。」

パイン:「こちらこそ、ありがとうございました。」

そして、天馬の尻尾亭から離れていく。

4人は、それを名残惜しそうに眺めていた。

突然、リナが振り返る。

リナ:「アリスお姉ちゃーん、バイバーイ!!」

アリス:「バイバーイ!!」

そう言って、手をぶんぶん振るアリスが印象的だった。


このとき、パイン達を監視する男達がいることに、

誰も気がついていなかった。


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