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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
11/99

初めての幻獣

これまでのあらすじ)

パインは、カイン王国で知り合ったアリス、サールと

行動を共にすることになる。

カルラド王国に拠点を移す3人。

姉ローザを探す少女リナと出会った。

ジェイルと名乗るヒーロー(?)に助けられるも

彼もリナの持っていたペンダントを狙っていた者の一人だった。

ペンダントは幻獣を呼び出すアイテムの一つだった。

ジェイルと共に召喚の儀式に立ち会う事になった3人。

無事召喚の儀式は成功するのだろうか?

何故か、ジェイルは屋敷の地下へと向かっていた。

パイン:「遺跡って、外じゃないのか?」

ジェイル:「だまって、ついて来い。」

そう言われてパインは黙る。


パイン:((くそ、何様のつもりだ、、、。))

アリス:((まーまー、パイン短気すぎるよ。))

サール:((まあ、向かうって言ってるんですから、

    黙って従うしかないでしょうね。))

パイン:((まあ、そうなんだけどね、、、。))


ジェイルは地下の廊下にある1つの扉の前で立ち止まる。

そして、扉を開けた。

部屋は、5m四方ぐらいの大きさだった。

真ん中には魔法陣が描かれている。


ポールが毛皮のようなものを持って近づいてきた。

ポール:「これを着て下さい。」

3人が受け取る。

それは、毛皮で出来た上着だった。

どうやら、遺跡はかなり寒いところにあるらしい。


全員が毛皮を羽織るのを確認してジェイルが口を開く。

ジェイル:「よし、魔法陣の中へ、、、。

     遺跡へ移動する。」


目の前が見えるようになると、そこは洞窟の中だった。

どうやら、鍾乳洞の中のようだ。

本当なら、その中は漆黒の闇に覆われているのだろうが、

魔法で作られたと思われる光が所々にあり、

あたりを照らし出していた。


しばらく洞窟を進むと、突然巨大な空洞へと出た。

すごく大きな空洞だ。

それは、ジェイルの家の敷地より広いのではないだろうかと

考えてしまうほどの広さがあった。

そこには、何十人もの人が整列していた。

どうやら幻獣を倒すために集められた戦士や魔導士達のようだ。


彼等と共にその空洞を進む。

そして反対側の端に巨大な円盤状の1枚岩が置いてあった。

部隊を待機させると、ジェイルと共に近づく。

その円形の岩の上に上がる。


サールが声を上げた。

サール:「これは魔法陣か。」

その声に反応してジェイルが答える。

ジェイル:「あぁ、そうだ。岩に魔法陣が刻まれている。」

良く見ると、その魔法陣の中心に円形の窪みがあった。


ジェイルがポールを呼び、3つの部品を受け取る。

そして、リング、勾玉の順にはめ込んでいく。

全てをはめ込むと、部隊のいる位置まで下がるように

指示を出す。

そして、月食を待った。


パイン達は最後方まで下がると話し出した。

パイン:((いったい、どんな幻獣が現れるんだろうか?))

サール:((えぇ、わくわくしますね。))

アリス:((ハーーーッ。ハーーーッ。))

アリスは口から真っ白い息がでるのを見て楽しんでいた。


しばらくすると、ポールが声を上げた。

ポール:「月食が始まります。」

全員が円形の岩に注目する。


岩の上部が淡く光だした。

複数の魔導士が祈り始める。

次第にその光が強くなって行く。

あたりの空気が冷たくなっていくのが分かる。


祈りが終わり、部隊の前に守護の壁が発動する。

守護の壁は、魔法攻撃の威力を減衰させる魔法障壁を作り出す

神聖魔法である。

そして、その障壁が部隊の四方および上方を取り囲むように

形成されていった。

さらに、障壁の四隅にいた魔導士達の上に頭ぐらいの大きさの

火の玉が浮かび上がった。

火の玉の熱で障壁内の温度が上がってゆくのが分かる。


サール:((もしかしたら、幻獣って、シヴァ?))

そこまで言ったとき、周囲が真っ白になった。

パイン:「うぁー。」

サール:「あー。」

アリス:「きゃっ。」

見えるようになると、岩の上には青白い羽衣を纏った、

女性に見える巨大な人型をした何かが浮いていた。


声が直接頭の中に入ってくる。

何故か分からないがその声を理解することができた。

  (我が名は、シヴァ。

  何ゆえに我を呼び出す。

  我を従える為か?、それとも死に行く為か?)

ジェイルが答える。

ジェイル:「我、汝を従える為に赴く。」

シヴァが辺りを見回す。

  (ならば、その力を我に示せ。)

最後の言葉とほぼ同時に、シヴァが光を放つ。

同時に回りの空間が凍りついた。

急激な温度低下によって、皮膚がチクチクと痛み出す。

障壁の外側では、細氷が光を反射してキラキラと輝いて

いるのが見える。

もしも、魔法障壁と火の玉がなかったら、一瞬で凍り付いて

いたのではないかと思えるほどであった。


複数の魔導士達が詠唱を開始した。

サールもすぐにその呪文を理解し、少し遅れて詠唱を開始する。


シヴァの光が収まったのを見て、魔法障壁が解除された。

そのタイミングで、魔導士達の頭上に大きな火の玉が

次々に出現する。

アリスの声が頭に響く。

アリス:((寒いのか、暑いのかハッキリしてよー!!))

次の瞬間、火の玉がシヴァ目掛けて飛んで行った。


一歩おくれて、サールの詠唱が完了した。

サールの頭上にも大きな火の玉が現れると、

シヴァ目掛けて飛んでいく。


初弾がシヴァに命中した。

それを合図に戦士達が次々にシヴァに突入する。

残りの火の玉が次々に命中してゆく。

サールの火の玉が当たったとき、戦士達が攻撃を開始していた。

シヴァの周りに戦士達が群がってゆくのが見えた。


パインとアリスは、魔導士達の後方でそれを見ていた。

シヴァはまるで優雅に踊っているようだった。

シヴァが左右の手を大きく振るたびに、

近くの戦士達が吹き飛ばされる。

魔導士達も次々に大きな火の玉をぶつける。

しかし、シヴァにダメージを与えているのかさえ疑問だった。

シヴァは、相変わらず優雅に踊っている。


その時、アリスの目の前に突然光が現れ、

その光が大きくなると、人の形を形成していった。

光が消えると、そこにはドレアルがいた。


パイン:「ドレアルさん、何故ここに。」

ドレアル:「どうやら間に合ったようじゃな。

     話はあとじゃ、お前達はもっと後ろへ下がれ。

     わしも加勢する。」

2人は指示に従い、後方へと下がる。


そして、次にドレアルを見たとき、

その頭上には巨大な火の玉があった。

そして、それがシヴァ目掛けて飛んで行った。

シヴァに命中する。シヴァは一瞬その動きを止めたが、

すぐに舞い始める。

サールの声が聞こえた。

サール:((最上位呪文でも効かないのか。))


このとき、パインは己の無力さを痛感していた。

なぜ、自分は戦っていないのだ。

なぜ、自分はあの中にいないのだ。

そして、思った。

自分の剣の腕では、あの中に入ることは許されないと、、、。


突然、癒しの加護の効果を感じた。

アリスの方を見ると、彼女が笑顔でこちらを見ていた。

パインは理解した。

今、自分に出来ることをやるしかないということを、、、。

パイン:((ありがとう、アリス。))

そう言うと、パインは剣を構えシヴァへ向かって走って行った。

アリス:((頑張れ、パイン!!))


パインがシヴァに向かって走ってゆく。

その時、アリスはシヴァが優雅に回転するのを見た。

シヴァの周りに取り付いていた戦士達が吹き飛ばされる。

その衝撃波が広がり次々と人々をなぎ倒してゆく。


パインはこのとき、見えない壁に激突したかと思った。

身体が壁に押されて宙に舞う。


アリスは、パインが吹き飛ばされる瞬間をみた。

時間が極限まで引き延ばされたかのように、

ゆっくりと進んでいく。

パインがこちらにゆっくりと回転しながら飛んでくる。

そして、シヴァが光を放ち始めるのが見えた。

アリスはそれが最初の光と同じものと直感した。

いま、あの攻撃を受けたら生きていることは不可能だと。

そして叫んだ。いや、声になる前に思ったのだろう。


アリス:(いやーっ!!)


突然、アリスの頭の中に声が届く。

 (ほう、古の血の契約を持つ者がおるのか。

 神も酔狂なことをなされる。

 ならば、それに従わねばならぬか。)


突然時間が戻った。

パインがアリスの横に落下する。

すぐに駆け寄る。

アリス:「パイン、パイン。」

パインの胸ぐらを掴み前後に揺する。

パイン:「ふにゃーっ。」

パインは目を回しているようだった。


シヴァのいる方向が光った。

アリスは、その光の発する方向を見た。

それは、まるで霧の様だった。

シヴァの形をしていたものが、透け始め霧のようになって行く。

そして、その霧が光を放ちながら、1つに纏まって行く。

光輝く光の玉となると、上空をふらふらと浮遊する。

意識のあるもの全てが、制止してそれを見ていた。


声が聞こえた。

 (古の血の契約を持つ者よ。

 我はその契約に従うこととしよう。

 しかしながら、汝に我を扱う力は無い。

 その時まで、我が僕を使わすこととする。

 そして、その時が来るまで待つとしよう。)


光の玉がアリスに近づいてくる。

そして、彼女の右手に吸い込まれるように入って行った。

アリス:「キャー!!」


その声で、パインが目を覚ました。

アリスを見ると右手が光っていた。

その光が収まったとき、右手には魔法陣が刻まれていた。

そして、ゆっくりと消えてゆく。


パインが起き上がると同時にアリスが崩れ落ちて行く。

それを支え、そして、抱きかかえる。

パイン:「アリス、大丈夫か?」


周りを見ると、ジェイルの仲間の神聖魔導士達がせわしなく

救護を行っていた。

前からドレアルとサールがやってくる。

ドレアルがアリスを見ると口を開いた。

ドレアル:「どうやら、気を失ってるだけのようじゃな。」

その言葉に、パインも胸を撫で下ろす。

サール:「そうですか、それは良かった。」

ドレアル:「色々と聞きたいこともあるが、

     まずは救護が先じゃ。

     話は戻ってからするとしよう。」


その後、けが人の救護を済ませると、

ジェイルの屋敷へと戻った。

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