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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
98/162

縛り96,投げ技使用禁止

前書きに書こうと思ってたことって前がきを書く段階になると忘れてるんですよね……


サブタイをひねるなら、『恐怖! 怪人パンチラ男 対 妖怪ベルト切り!!』ですかね。いや、ベルト切断は採用されませんでしたけど。

 装備の外見に関して大不評なことが分かった訳だけど、そんなことは今は関係ないのでそのまま勝負を始めることになった。

 しかしあれだね。全身ちぐはぐのクソダサ装備で平然と街中を歩くクロにまで文句を言われるなんて、何がそんなにダメなんだろう。統一感あっていいと思うんだけどなこの装備。


「どうした? かかって来ないのか?」


 明後日のことを考えてたら、様子を見てると思われたみたいだね。いけないいけない。集中しないと。

 やっぱりあれかな? アクセサリーの類が一つも無いから見た目がパッとしないとか? 装備枠を埋めるのは本来なら最優先なんだけど、僕の場合慎重にならざるを得ないししょうがないよねそこは。なんせ装備を増やすのリスクが大きいから……


「すぅ…… ふっ」

「あっ」


 地面を足装備が踏みしめる音が聞こえた次の瞬間にはボスの姿は視界を越えて上へ。相手に強力な対空技が無いなら人間の死角である頭上を取るのはセオリー通り。

 というか完全に対処が遅れてるね! 本当ならタイミングを合わせてこっちも飛ぶか、大きく後ろに下がって間合いを外すべきところだったのに!


「はあっ!」


 大剣のリーチを生かしての、向こうの切っ先が一方的に届く位置から振り下ろし。初手からダイナミックに攻めてくるね! しかもスキルに頼らず自力で動いてるよ。

 ギリギリで避けて反撃したいところをグッと我慢する。しっかり一歩下がって避けたところへ案の定追撃が来た。大剣を後ろに投げ出すようにして無理矢理横回転を加えての空中回し蹴り。これもスキルじゃないって間違いなく変態だねこの人!?


「まだまだっ【スカイシュート】!」

「当たらないよっ【アッパースラっ!?」

「【一旋】!!」


 完全に体勢を崩し切ったと思ったらそこからスキルのモーションを利用しての飛び蹴り。それも避けて反撃しようとしたところで、さらに無理矢理にスキルでの回転切りが飛んできてまんまと一発貰ってしまった。

 というか気持ちわるっ! 動きが不自然過ぎてびっくりするんだけど! 自分の体の感覚が有るゲームでそういうことする人そうそういないよ!?


「まず一発…… うおぅっ!?」

「ふぁるこぉぱぁんっ!!」


 スキルを活用した変則的で切れ目のないコンボが強みだっていうなら今以上の攻め時はないからね! 五秒か、あるいは三秒か、再使用可能までに貰った分利息付きで返すよ!

 慌てて大剣を盾にしたところを、隙間にねじ込むようにボディーブロー! 脇を締めて抉るように!


「ぐっ、ふうぅ……」

「まだまだ!」

「! 【バックステップ】! 【スカイシュート】!」

「あちゃっ!」


 ボディーに一発入れて、怯んだところに連撃を叩き込もうとしたんだけど欲をかいた報いはスキルでのお返しが一発。体が動かなくても、体勢が崩れててもスキルなら動けるんだね。僕らのパーティーだと老師以外そういう系統のスキル使わないからなあ。


「うおぇっ、ふう…… ふう…… 残念だったな」

「まあすぐに終わっちゃってもつまらないからね」

「ふうう。このゲームのプレイヤーにはイノシシ武者しかいないのかと錯覚しそうになるぜ。ストライカー二人とかバランス悪すぎだろ。ともあれこれであと一発だ!」

「一発も三発も変わらないし、勝つのは僕だよ」

「口では何とでもいえるがな」


 今の攻防の反省点は、きっちり一撃当てたと判定される攻撃にするためにちょっと大振りで動きも雑だったことだね。勝敗を決める上では牽制にしかならない一撃だとしても、きっちり当てていく動きで対応する余裕を与えないようにしなきゃ。

 そしてリーチのある武器でもない以上殴るのがベターだっただけで僕は別に格闘スタイルメインじゃないし、その数え方だとクロもだから三人だね!


「じゃあそろそろ決着をつけようか」

「こちらの呼吸が整うのを待ってくれるなんて随分な余裕じゃないか。この状況ならこっちは相打ち狙いでも良いって分かってるだろうによ」

「またまた、もう一発貰う気なんてさらさらないでしょ?」


 別に余裕ぶってるわけじゃなくて、実を言うと今だって必死に頭を動かしてるんだけどね! コンボの動きを組むにあたって参考にしたゲームが有るはずで、どこかで見たことが有る気がするんだよあんな感じの動き方! なんだっけ? ヒントは大剣あるいは長剣使いの女性キャラが出てくるアクションあるいは対戦格闘ゲームで、スカート装備…… これじゃまったく絞り込めてないね!?


「行かせてもらうぞ! れっつら天誅!!」

「!」


 対人戦でテンションが上がると、有るよね、そういうこと。一人モニターの前で独り言、みたいな。ただ、相手にも聞こえることを忘れるべきじゃなかったよ。べつに、美少女キャラのセリフをおっさんが言うのが痛いとかでは全然なくて……


 躍りかかるような大剣の一薙ぎからの後ろ回し蹴り――スウェーバック。中段の平突き――半身で避ける。浴びせ蹴り――腕で捌きつつ半歩移動して回避。ここまで一切スキル無しの自力。

 ボスの表情にほんの少しの焦りが見える。攻撃が決まらないこと自体は想定外ではないとしても、僕の動きには余裕が有りすぎるもんね。


「【スカイシュート】!」


 足をこちらに向けて超低空のドロップキック――軽くジャンプ。足が地面に触れた瞬間に、【ステップ】で【スカイシュート】の挙動をキャンセルして平行移動。座標バグじみた立ち上がりからの切り上げ――スライディングで斜めに抜ける。

 たぶん今使ったスキルはコンボ終了までに再使用可能になるように組んでるはず。つまり後十秒弱くらいは攻め続けてくるわけだね。


「【ミドルキック】!」


 ここで初見のスキル。こっちにジャンプしながら回し蹴り。最早ミドルキックでもなんでもないよね。ガードして一撃と判定されたらたまらないからこれも後ろに回避。

今更だけど多分飛び蹴り系統のスキルと回し蹴り系統のスキル、移動スキルと大剣のスキル、みたいな感じでモーション補正系でガチガチに固めた構成だね。


  大剣での回転するような上下の二連撃――上を屈んで避けて下段への一撃はジャンプ……ではなく大きく後ろにバク転して回避。


「くっ、【スカイエッジ】!」


 対空無敵昇龍!! いや、そんな感じのモーションっていうだけだけど。間合いは切れているので難なく回避したところで、四つ。最初のスキルの再使用はまだ間に合わないから、空中でがら空きのところにカウンターを叩き込む――なんて言う訳ないよね!


「【スプラッシュブレイド】!!!」


 五つ目、MP消費型の属性攻撃スキル。水を纏った大剣が鋭角に振り下ろされ、それを避けても逆巻く水が相手を巻き込んで属性ダメージと自分方向へのノックバックを与える――ことはなく、水流は僕の装備に触れるとそのまま消えた。僕のHPの3%どころか1%分のダメージが有ったかも怪しいね。


「貧弱貧弱ぅ!」

「バカな!?」


 やむにやまれず精神力極振りしてる上に半魔法装備で固めてる僕をなめないことだね! 本職じゃない人の魔法攻撃なんて効くわけないよっ!

 とはいえ、今のスキルで着地を決めたボスの体制は万全、スキルの再使用までの時間も二秒を切ってるし間合いも近い。ここからが勝負だよ!


 二段横蹴り――両手を駆使してパリィ。手袋さまさまだよ! 空いた間合いを詰めるように踏み込み切り――背中側に回るように体を捌いて回避。下段蹴り――足の裏で衝撃を殺しつつ後ろへ。 大剣の投擲!


「なんんのぉおお!」


 ナイフを使ってカチ上げ。大剣は辛うじてのけ反った体の上を通過。僕の体勢も大分苦しい。あと二つ!!


「【クイックドロップ】!!」


 ジャンプして宙返りしつつのかかと落とし、ただし重力加速度はちょっと無視するものとする――横に転がって回避、即座に跳ね起きる。

 ……次でラスト。


「【ステップ】」


 このゲームの【ステップ】は別に万能の回避スキルじゃない。使ってる間無敵になるなんて話も聞かないし、移動スキルなのに再使用に時間の制限が有るから乱発できるわけでもなく、スタミナも減る。

ただし、足が地面に着いてさえいれば割といつでも発動出来て、慣性さんがちょっと融通を効かせてくれる。


「【トルネードッキィーーーーッック】!!!!!!」


【ステップ】さんの力で無理矢理に位置取りと構えを整えての、最後の攻撃。たぶん元々は足を振り抜く形で左右の連続蹴りをを放つようなスキル。それが魔改造されて空中をぐるぐる迫って来る。

Q,竜巻旋風脚? A,,いいえ、何故か縦回転が加わってます。



 完璧な、美しいコンボとモーションだった。その時僕には確かに、戦闘用のラフな男物のズボンじゃなく、可愛らしいスカートと、その奥に秘められた浪漫が見えていた。白地に青の水玉だった。

 でも、完璧だからこそ、美しいモーションだからこそ、この勝負に彼の勝ちはあり得なかった。だって僕は、彼の動きを、コンボを、戦う前から知っていたから。

 コンマ一秒の迷いもなく、最速のスライディング――紙一重で回し蹴りが僕の髪の毛を掠める。暴風が何かをとらえることはなく、しかしもう止まることも出来ない。派生させたりキャンセルしてこちらに対処するようなスキルもこのゲームには・・・・・・・存在しない。


「「ボスゥっ!!」」


 スカート捲り犯たちの悲鳴のような声援が遠く聞こえる。ボスのスキルが終わる間際、なにかを、あるいは全部を悟ったように笑みが浮かぶ口元……


「っ!!!」


 に、腰を入れたアッパーカットが突き刺さった。歯がぶつかる乾いた音。


「ぐっふぅうっぅっ!?」


 ボディー! ボディボディボディボディー! 抉り込むように! 相手の肺の中の空気を全て絞り出すようにっっ!!


「……っ! ……っ! っ!!?」


 ガードが完全に解けたところへアッパー!! からのぉっ!!


「ちぇすとぉっ!」

「ぐっぶうぅぅっ!」


 体重を乗せた右ストレートで吹っ飛ばす!

 あ、あとこれはオマケ!


「【マナバレット】!! フルパワー!!!!」


 よしっ! スッキリ勝ったところで改めてお仕置きと事情聴取の時間だね!


格闘技の用語とか、格闘ゲームの用語が半端に出てきてしまって読みづらかったらごめんなさい。注釈ちゃんとつけようと思ってたんですけど、分かり辛い単語がどれかもう分からなくなってます。

とりあえず一部


半身はんみ ――相手に対して体を斜めに向けること

スウェー ――上体を後ろに逸らす回避方法。ボクシングとかでよく見るやつ。

対空無敵昇龍 ――昇竜拳と同じコマンドで放てる格闘ゲームの技で、ジャンプしている相手に有効なものを対空昇龍。発動中無敵になるものを無敵昇龍と呼ぶとか呼ばないとか。



あ、後あれです。この作品は実在のゲームとはそこまで関係ありません。少なくともパンチラボスが参考にしたゲームは実在しません。ユーレイちゃんが「ルナティックアッパー!! コンビネーション発動!!」 とか叫んでそうだとしてもきっと気のせいです。

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