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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
89/162

縛り87,高級肉焼きセット限定

ちょっと短め。

短く区切るとサブタイトル考えなきゃいけない数が増えることに気付いた……

 激突は不可避、なんて状況を素直に受け入れるのもしゃくだったので鎧を駆けあがるように足蹴にして、後ろ宙返り一回ひねりで華麗に靄に向けて構えを取る。後ろから罵声と金属音が聞こえてくるけど、二人揃ってあの場で倒れるよりは良いよね!

 一秒、二秒、三秒…… 十まで数えても追撃してきていたゴブリンが靄を通り抜けて現れることは無かった。ふうっ。


「という訳でただいま! 普通に脱出できるパターンで良かったよホント」

「無事に逃げ切れたのは何よりだが何か俺に言うことないか?」

「左が正解だったよ! どや!」

「それだけか?」

「咄嗟のこととはいえ踏んづけてごめんなさい」

「はあ…… 出てくる前に声かけろよ……」


 やれやれって態度を隠しもせずに、ほこりを払っていたクロが、ふと真顔に戻って何かを考え込み始めた。


「どうしたの? なにか気付いたことでもあった?」

「いや、今言うことでもないかもしれないんだが、こうやってなあなあで流してたら、この調子でお転婆度合いが加速していって手がつけられなくなるんじゃないかと思ってな。そうなっちまったらおじさんとおばさんに合わせる顔がねえし、面倒でも都度ちゃんと怒るべきかと思ったんだよ」

「今でもけっこうな頻度で説教されてる気がするんだけど!?」

「いや、十分なら今みたいなことが起こらないか、あるいはもう少し反省の様子が見られる気がするんだよ」


 完全に説教が始まる流れに思わず身構えたけど予想に反してそれ以上何かを言ってくることもなく、沈黙に深いため息の音が響く。


「えっと、とりあえず、中の様子とか報告して良いかな」





 改めて報告できることはそんなに多くもなかったので、さらっと終えて今後の話に。その間に、靄の色が入った時と違うことに気付いて、腕を突っ込んでみたら弾かれたり、そのことでクロに怒られたりしたけど割愛。

 たぶん誰かが脱出したら一定時間入れなくなって、ヒット&アウェーで簡単にボスを倒すっていう戦術が封じられてるんじゃないかな。


「この後、か。とりあえず差し当たって確認が必要なことは確認できてと思っていいんだよな?」

「そうだね。後は逃げるのにどのくらいのMNDが必要なのかっていう部分だけど、それは僕らだけで確認できることでもないし。ボスの種類と予想される脅威が分かってれば逃げられなくても倒せるように挑むだろうし」

「その口ぶりだと俺らで挑むのはあんまり考えてない感じか?」

「勝てると思うけど、危険に見合うメリットが有るかどうかも分からないから。僕がもう一当てして具体的な強さも把握して来ればそれは有用だろうけど、自分たちで倒さないならそこまではしなくてもいいかなって」


 順当な意見だよねこれ? なんでクロだけじゃなくスミスさんやリンドウちゃんまで意外って顔してるのさ。ちょっと拗ねるよ?


「大きな利点がある訳でも今後の為の布石でもなくただただリスクを冒すような真似はしないよ?」

「デスゲームになって真っ先にフィールドボス一番乗りを提唱した奴のセリフとは思えねえ……」

「あれはほら、景気づけって感じだし…… それに一番乗りに何かシステム的なメリットが有る可能性があの時点ではあった訳だし!」


 ああ、でも猪肉のドロップ量は多かったし、ボスからのドロップの美味しさはダンジョンの価値に直結するかも? そう考えると一回倒しとくべき? でもねえ。


「なによりね、今から出発して移動すれば、ギリギリ明日の夜は街で宿屋に泊まれるんじゃないかと思うんだけど、みんなどう?」

「そろそろ、美味しいものが食べたいです」

「肉」


 心なしか目に元気のないリンドウちゃんの呟きに被せるように、老師の短くも強い意志のこもった主張。干し肉は肉には含まれないのかな?

 声こそ上げなかったものの、クロとスミスさんもそろそろゆっくりしたいっていう気持ちは同じみたいで首を縦に振っている。


「そういう訳だから、そろそろ帰ろっか! 賛成の人挙手~!」


 僕のを含めて六本の手が挙がって、可決。肉が食べたいのは分かったから両手を上げるのはやめようよ老師……

 こうして、僕達の、もしかしたら前プレイヤーにとっても初めてのダンジョン探索は、それなりの収穫とこれまたそれなりの情報を入手して終わった。町の様子はどう変わってるかなあ? 美味しいものが増えてるといいよね!

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