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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
82/162

縛り80,ポケモンの笛戦闘利用禁止

風邪でダウンしてさえいなければ……

ちょっと短めです。

まだ辺りも真っ暗な時間に起床。朝日の射さない洞窟の中だから昼の十二時だろうと真っ暗さに変化はないんだけどね。

半端に眠いとぼやくクロと交代して見張りに立ち、何とはなしにラジオ体操第一。

ほら、踊ると攻撃力が上がるだとか、そんな感じのノリで何かバフ効果つくかもしれないじゃん? そうじゃなくても筋トレで筋力のパッシブスキルが鍛えられるならラジオ体操でも続けてれば何かの効果が有るよねきっと。


「何か飲むかい?」

「う~ん、あったかいものよりは水の方が気分かな」


 僕がラジオ体操している間に起きてきていたらしいスミスさんが、ヤカンを火にかけながら聞いてきてくれたけど、気分的には夜の見張りと言うよりも早起きしてこれから一日だからね。朝の一杯は水かオレンジジュースか冷たい牛乳か、とにかくシャキッと目が覚めた気分になれるものが良いよね。


「昨日の、二手に分かれるという話だけど僕がユーレイ君に同行しようかい?」

「えっ、いいの!?」


 コーヒーのようなものを飲んでいるスミスさんの向かいに腰かけて、ぼんやりしながらやっぱり二組に分かれたいなと改めて考えていたら、スミスさんから思いがけない嬉しい申し出が。思わず歓迎するような返事しちゃったけど、僕一人じゃ後ろを完全にカバーすることは出来ないんだよね……


「その代わり、行動範囲は洞窟の入り口付近で、しばらくはクロ君達とも互いにカバーに入れるくらいの距離を保って、チャットを常につないでおくこと。それくらいまでやればそうそう危険なことにはならないだろう?」

「うん、いやその条件でも僕は全然大歓迎なんだけど…… でも、僕一人じゃスミスさんを守りきるのは難しいからやっぱり駄目だよ」

「その、ここのモンスターの攻撃っていうのは僕の強さで受けた場合そこまで危険なものなのかい? どうにも一発や二発で取り返しがつかないことになるほどだとは思えないんだよね」

「え? いや、物理攻撃も魔法攻撃もそこまでのものじゃないよ。でもそういう問題じゃないんじゃないかな…… アイテム採取の護衛なら後逸はさせちゃダメじゃない?」

「それはパーティー単位での話だろう? この人数ならむしろ採取目的の人も戦闘に加わる方が一般的じゃないのかい?」

「それはそうなのかも……? いやでも、う~ん……?」


 確かに、スミスさんのところまでモンスターがたどり着いたところですぐに危険なほどのダメージを受けることは無いと思う。というかそんな瞬間火力のある敵との戦いに今の状態で老師を出陣させるのは無理って言いきれるくらいに耐久力自体は大差ないし。

 だから、スミスさんにモンスターが近づかないようにするっていうのは、リスクの回っていうだけじゃなくて、多分に護衛するんだから当然っていう僕やクロの考え方によるものが大きいんだとは思う。


「でもやっぱり、危険なほどではなかったとしても攻撃されれば痛いし……」

「今まで確かに僕は一発も攻撃を受けずに済んでいるよ。素晴らしく丁寧に守ってもらっていると思う。でもね、だからと言ってそれが当たり前のことだと思ったことなんてないんだ。確かに日常的に痛い思いをすることは多くないし、痛みに強いだなんて到底言えるものではないが、それを理由に君たちにばかり危険を冒させるつもりにはなれないんだ。なにより、痛いのは君たちだって同じだろう?」

「それはそうなんだけど。でもそうだとしてもやっぱり駄目だよ! 僕が対処に動ける状況じゃなかったら一発一発は大したことなくても延々攻撃されることになっちゃうんだから!」

「まあそれはそうだろうね。そんなに何十発もの攻撃をただ耐えられるとは思っていないよ。そこそこ大振りな攻撃なら十発も食らえば危ないんじゃないかと思ってる。だけど、例えば、これを使ったら?」


 スミスさんがそう言って取り出したのは、回復量が割合ではなく、固定値に近いタイプのポーション。クロが使うにはもう型落ちな回復量でも、最大HPが低い人が使えば今ある一番回復量の高い割合系のポーションよりも大きく回復できる一品だね。たぶん五割とは言わなくても四割以上は回復できちゃうと思う。

 再使用に要する時間が三十秒くらいだったはずだから、一分でスミスさんのHPを削りきるような猛攻にさらされない限りはしばらく耐えられる計算。理論上は大丈夫っていう計算になっちゃうねこれ。


「う~ん、確かに、耐えられるといえば耐えられると僕も思うけど、やっぱりそれでも耐えられるだけだよ」

「うん、それも考えると、挟み撃ちになった場合は一度無理やりにでも敵の横をすり抜けて逃亡なり応戦なりするべきだと思う。道を塞いでくるようなモンスターは今のところいないし何とかなると思っているのだけど、どうだろうか」

「うん、何とかなると思うよ。でも、リスクが段違いに跳ね上がることには変わらないよ? スミスさんは本当にいいの?」

「よくなければこんなことを言い出したりはしないよ」


 そう言ってにっこりとほほ笑んでくれるスミスさん。

思いつきじゃなく、ちゃんと考えた上での協力の申し出、うん、すごく嬉しいね。ここまで言ってもらったんだから僕もそれにこたえるために頑張らなきゃ。


「と、まあここまで話しておいてなんだけど、別行動でリスクが高くなるのは残りの三人も一緒だからね、クロ君たちが起きてきてから意見を聞かないことには決められないかな」


 気合を入れなおしているとスミスさんからもっともな発言が。気がせいていたことを窘められたみたいでちょっと恥ずかしいね!

 早くみんなを起こしていい時間にならないかなー。

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