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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
79/162

縛り77,レザーシリーズ防具禁止

今回書き直したり各順番前後したりが多かったのでどこかぽっかり抜けてないか不安です。

チェックはしましたがもし変だと思うところが有ったら教えてください。

それ以外の感想ももちろん大歓迎です。一言でも励みになります。

 カン カン

 ツルハシがリズム良く音を奏でる。今は採掘してる人が一人だから耳に心地いい程度だけど、大人数が採掘するようになったら洞窟だと酷いことになるんだよね。音もそうだし、場合によっては集めた鉱石を奪う目的でのプレイヤーキルとか、鉱石の取り合いとか。


「どう? スミスさん」

「含有量はあまり高くはないようだけど、鉄が含まれてるのは間違いなさそうだよ」

「対応するスキルが無くても採掘するだけなら問題なさそうな感じかな?」

「それか、【鍛冶】のスキルが採掘にも対応しているかだね」

「あー、そっちの方が濃厚かな。後で老師にもいろいろ試してみてもらわないとだね」


 その老師はというと、これから先使う武器を検討するためにいろいろとドロップ品を持ち替えているクロと楽しそうに模擬戦をしてる。リンドウちゃんはそれを観戦中。あーもう、そんな使い方したら武器を新しくしてもまた速攻でダメになっちゃうでしょうが!


「ねえスミスさん、鉄が手に入るなら武器の修理も可能だったりする?」

「材料が有っても炉が無いからね。たき火程度の火力では流石に鉱石から鉄を精錬するのは無理だと思うよ」

「まあそうだよね。う~ん、場合によってはダンジョンの外で武器を落とすモンスター狩りまくる必要があるかなこれは」

「鉛や錫みたいに加工しやすい金属が取れれば間に合わせの補修ぐらいは出来るかもしれないけどね」


 ダンジョン中でも一応武器に分類されるアイテムを得ることは出来るんだけど、ツルハシなんだよね。それも店売りよりも攻撃力と耐久値の低い粗悪なやつ。いくら悪くないドロップ率があったとしても戦闘で使えばあっという間に消耗が進んで数が足りなくなるのは間違いないよね。それにそもそも戦闘向けじゃないし、使うとしても本来の用途で使いたいからクロの新装備候補からは外してもらってる。

 そんなわけで、クロの新装備候補は変装の時にも使ったコボルト産片刃の剣、平原のゴブリンからドロップするこん棒、使ってない人がそのまま持ってた初期装備のナイフ、スミスさんの遊び心の産物な材質不詳の鞭の四種類。


「うおおおっ【正拳】っ!」

「ちいいいいぃっ!」

「もらったあ!」

「なんのまだまだあ!」


 で、今はクロは一通り触った上で攻撃力的には本命の片手剣で老師と模擬戦をしてるんだけど……


「【クイックブロー】! 【波濤捻り貫手】!」

「んなっ!?」

「【正拳】!」

「待て待てぇ! なんだよ今のスキル!」

「問答無用! 【弧月脚】ぅっ!」

「問答無用じゃなぁあいっ!!」


 【鉄拳】をかけた状態の拳と剣を打ち合わせる音どころか、防音対策ゼロの工事現場から響いてきそうな何かを削るような音を立て始めた老師の背中にドロップキックをぶちかまして無理矢理模擬戦を中断させる。

 反動を利用してバック宙をきめ、着地と共に人差し指をクロに突きつける。つまり有名なゲームの『異議あり!』のあのポーズ。失礼だからよい子は真似しちゃだめだよ。


「模擬戦で新しい武器の耐久度減らしてどうすんの! ちょっとは自重しようよ!?」

「あー、すまん、いつの間にか熱くなってたわ」


 クロの持ってる片手剣は見るからにボロボロ。同じものがもう一振りあるけど、逆に言えばこれとあと一本がダメになったらそれで打ち止めなんだから試す途中でボロボロにするなんて言語道断なのに…… 刀剣類は鈍器と比べて繊細なものだっていうことを今日こそ言って聞かせないと。

 決意を新たにしていると、老師がむくりと起き上がり、頭を掻きながらとぼけたことを口にした。


「で、何が問題だったんだ?」

「老師に関しては何もかもだよ!?」


 武器の使い心地を確かめるのが目的なんだから、模擬戦の形を取ってるとはいえクロの攻撃は避けるなり逸らすなりで対処すれば事足りるところを、老師はよりにもよって【鉄拳】の効果をフル活用して真正面から迎撃してた。【鉄拳】で強化された老師の拳が剣よりも硬かったからこそクロの剣は刃こぼれしまくりの様相を見せてるわけだけど、いくら硬くても素手は素手。老師の手もみみずばれや切り傷だらけになっていた。

 それに僕も知らなかった老師の新スキル。通常戦闘でもスキルを使い倒してるしそろそろ覚えててもおかしくないとは思ってたけど、報告すっ飛ばしからの仲間に向けてブッパ。

 敵襲に備えてのスタミナ温存もしなきゃいけないことまで加えると仏様でも怒りだしかねない連続コンボだよ……


「つまり?」

「スキル覚えたら味方に撃つ前にちゃんと教えようね。あと仲間の武器を壊しちゃダメ」

「なるほど分かった!」


 老師の方が年上だよね…… リアルを詮索するのはあまり良いマナーじゃないって分かってはいるんだけど、実は凄く老け顔な中学生男子だったりしない? 大丈夫?


「砥石になるものは有るからとりあえず使える状態にすることは出来るけど、それをすれば相当刃が減るし、切れ味はともかく小さな歪みや金属疲労は戻せないと思ってくれ」

「研ぐことは出来るんですね。それも【鍛冶】スキルの恩恵ですか?」

「それも無いとは言わないが、刃物を研ぐぐらいはリアルでも有る程度やっていたからね。包丁だって繰り返し研ぎながら使う刃物だろう?」


 ここに来てスミスさんの生活力が思っていたよりずっと高いことが発覚。包丁を研いだ経験が刃物を研ぐのに戸惑いも支障もないぐらいに有るって、実はこの中の誰よりも料理の経験も豊富なんじゃない?

 昨日ムカデ肉の調理を試みたときの、飯マズとかそういうレベルの話じゃない悲惨な結果が思い浮かんだ。うん、結局スキル無しで出来ることには限界があるよね。とりあえず【料理】スキルの習得方法が判明したらスミスさんにはぜひとも習得して欲しい所だよ。


「で、使うのは片手剣で確定?」

「いや、どうにも軽くて振ってる手ごたえが無いのがなあ」

「まあクロの筋力なら片手で振るような武器だしね」

「でも盾を使ってるわけでもねえのに片手で持つメリットはねえだろ? いっそ左手でもう一本持って二刀流すっか?」

「手数が二倍で消耗速度も二倍、さらに普段の二倍の雑な扱いになって四倍の消耗速度だね」

「しないから圧力かけるの止めろ。でも前で敵を引き付けるなら防御力もそうだが火力が無いとどうにもならないだろ」


 クロのスタイルは現状アタッカーともタンクともつかない、強いて言うならソロでの長時間レベリングなんかには向いてなくもないような、中途半端な構成になってるからね。他に前衛を支えられる人がパーティーにいないから壁役をやってもらってるけど、この機会に先を見据えた育成方針を立てていきたいところなんだよね。


「いっそタワーシールドでも持つ? ヘイト取るんじゃなく物理的に後衛との間を塞ぐ方針で。『盾(鈍器)』みたいな使い方すれば立ち回りも今とあんまり変わらないし」


 思い浮かぶのはナンダゴンドさんとのPVP、盾と鎧を装備して重量を武器にするのは自分と同サイズか、それより小さい敵には攻撃手段として十分なんだよね。


「いや、どちらかというと攻撃面を伸ばしたいな。というかタンクは将来的にスキル無しでは絶対無理が出るだろ」

「う~ん……」


 スキル構成や立ち回りの話は分からないからか、スミスさんは作業に戻り、リンドウちゃんも物は試しとツルハシを振るってる。後で解説した方が今後の為になるかな?

 しかし、火力かあ。


「ここまでの話の前提をひっくり返すようなこと言っていい?」

「前提ってどれだ?」

「片手で剣を使ったら火力が落ちるっていうところ」

「そりゃ落ちるだろ?」

「両手で持っても攻撃力が変わる訳じゃないじゃん?」

「ダメージは変わるだろ?」

「大事なのはDPSだし?」


なんなら片手剣の方が単発のダメージ自体高い可能性もあるよね。このゲーム、ステータスの攻撃力がシンプルにSTRと武器攻撃力の合算だし。筋力極振りで高倍率スキルが多いナイフを持つのが一番火力高い説がβ版ユーザーの間でまことしやかに囁かれてたよ。


「あー、肉質やら攻撃回数やらの関係も有るもんな。そうなると気にするべきはムカデの対処か? あと火力が落ちないにしても左手フリーにしとくのはもったいないよな」

「何かアイデアある? 僕一応バックラー持ってるけど」


 クロノスくんに上げようと思って取り置きしてる分、クロのスタイルには合わないと思って出してないけど有ることには有るんだよね。


「いいや、それには及ばねえぜ! 今すべてに対する最適な解を思いついた!」


 そう言ってクロは並んだ武器からゴブリンのこん棒を左手に持ち、片手剣と合わせて二刀の構えを取った。

 クロの防具は有るものを使う方針で上から下まで統一感ゼロ。そこに右手の片手剣はともかく、見るからに粗雑なつくりの左手のこん棒。構えはやや腰を落としての仁王立ち。


「うん、流石にダサすぎないかな!?」

モンハン出ましたね。ルンファ4が終わってないので今のところ買う予定は有りませんが。

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