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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
78/162

縛り76,ハンマーでのスコア稼ぎ禁止

セーフ! 一か月経ってないからセーフ!!

書くの遅すぎて泣きそうだよ畜生めぃ!

 結局一応まだ使えるし、修理するよりも新調する方が性能的にも妥当っていうことでクロの武器問題に関してはとりあえず現状維持に決まった。

それに伴って作戦もちょっと見直し。動きの速い敵への対処に関しては僕と老師が倒すことにして、クロは専ら足止めだね。手が回らなければリンドウちゃんがスキルで処理することになるから、巻き込まれないよう気を付けよう。


「お、また行き止まり。昨日と違って今日は好調だね」

「何もない行き止まりにぶつかることを好調と言うならだけどな」

「いやいや、今回に限ってはそうじゃなくても好調って言えるかもだよ? ほらあれ」


 行き止まりの壁際から一歩はんくらいの距離を開けて、いかにも金属が含まれてますっていう外見の角柱が鎮座してる。直径はだいたい五十センチくらいで、高さは一メートルくらいは有るかな?


「どうなってるんだこれ」

「生えてるんじゃない? にゅっと」

「それまたえらくファンタジーな…… どういう理屈だよ」

「時間が経てばまた採れるとするならこの方が自然じゃない? こう、にょきにょきと育つ鉱床、みたいな」

「まあゲームだしって言っちゃえばそうなんだがなあ……」

「ゲームとしてじゃない解釈を考えるならダンジョンには鉱石やモンスターを何らかの生成する仕組みが有って、鉱石は壁の中や地面の下で生成されて押し出されてるとか?」

「そもそも私金属掘るところってどんなふうになってるのか知らないんですけど、これは変なんですよね?」


 リンドウちゃんの抱いた疑問に、クロと二人でで首を傾げる。


「金属の採掘か。現実だと確か超音波で埋蔵量調査して機械掘り、じゃなかったか」

「言われてみれば遠足で科学博物館行ったときにそんなの見たような気もするね。でもあれ石油の話じゃなかったっけ?」

「金属系は違ったか?」

「「…………」」

「いずれにしても今は関係ないよね。人力で掘るわけだし」

「そもそも見える位置には既に金属がほとんど無いから機械で調べるって話だよな」

「多分変だけどこの世界ではこういうものってことで納得するしかないかなこれは」

「だな」


 モンスターをハントするシリーズの中期ナンバリングのやつの採掘ポイントとかもこんな感じだったけどそういう部分を掘り下げて説明してくれるタイプのゲームでもないし、そっちも原理の究明っていう点では参考にならないよね。

 とりあえず、いろいろと試してみないことにはこれ以上の情報は増えそうにないし、考えるより行動する方針で行ってみようか。


「一、順当にスミスさんがツルハシで掘れるか試してみる。二、筋力の高いクロがツルハシで掘れるか試してみる。三、クロが力づくでハンマーでの粉砕を試みる。さあどれ!」

「おい変な選択肢混ざってるぞ」

「ちなみに大穴は五のこういう姿のモンスターないしトラップだね」

「四どこ行った」


 話題の切り替えにもスムーズについてきてくれるのはありがたいけど、ツッコミよりも意見を出したり検討したりする方に力を注いでほしいよね。老師はさておきリンドウちゃんもスミスさんもちゃんと考えてくれてるみたいなのに。


「それじゃあ多数決取るよー! 一が良いと思う人手を挙げてー!」


 手を上げたのはクロとスミスさんの二人。STRとDEXで採掘に重要なのはDEXの方って考えたってことかな。


「次、二が良いと思う人!」


 リンドウちゃんはこっち。まあ掘る動作は力の方が直感的に重要そうだもんね。


「三が良いと思う人!」


 老師が手を上げた。ちゃんと話聞いてたんだね。この選択肢についてはツルハシとハンマーの形状や個性の違いを考えて選ぶかどうかなんだけど、たぶん老師の場合破壊力が高そうっていうだけで選んでるよね。


「よしっ、一が二人で多数派だな」

「いや、僕は三だよ? ちゃんと手も挙げたじゃん」

「いやなんでだよ…… てことは二択で決選投票か?」

「クロがやる派が三人で、ハンマーでやる派が多数派なんだし三で良くない?」

「それ言ったらツルハシでやる派が多数派で、その中でスミスさんがやる派の方が多数派だろうが」

「むう、仕方ないね。リンドウちゃん、シンキングタイムは三十秒でいい?」

「えっ? 私ですか!?」


 なんで自分に話の矛先が向いたのか分からなくてリンドウちゃんは困惑気味。


「だって二に投票したのリンドウちゃんだけだし、他の人よりも考える時間欲しいかなって」

「言われてみれば、責任重大ですね」

「と見せかけてクロが三に宗旨替えする可能性もあるから気にしなくて大丈夫だけどね!」

「いやそれはねえ、ことも無いかもしれねえな」


 反射的に否定しようとして、すんでのところで思いとどまるクロ。全力で否定しちゃうとリンドウちゃんが責任感じちゃうもんね。もちろん意見を変える可能性が有るのはクロだけじゃないんだからそこに言及すれば済む話なんだけど。


「じゃあ決めるよー。スミスさんがツルハシで掘るのがいいか、クロがハンマーで砕くのがいいかのどっちかに手を挙げてね! スミスさんがツルハシで掘るのがいいと思う人!」


 緊張の一瞬。クロが部活動で培った動体視力を総動員してリンドウちゃんとスミスさんの動きを見つめてるのが分かるよ。もしリンドウちゃんが三にしててスミスさんが一のままなら潔く三の方に手を挙げちゃおうって狙いだろうね。

 そして、リンドウちゃんの手に動きは…… ない! それだけじゃなくスミスさんも手を挙げてないね。これは決定かな?


「俺だけかよちくしょう!」

「一票だね。じゃあクロがハンマーでチャレンジするのがいいと思う人!」


 やけくそ気味に手を挙げたクロを軽く流して集計。残り四人全員が手を挙げて、めでたく決定。リンドウちゃんもほっとしてるみたいだし、大団円だね。


「なんでよりによって一番型はずれなやつを選ぶんだよ。決まったからにはやるけどさあ」

「失敗する可能性が高い奴から順に試した方が手間がかからないと思って」

「おい! 失敗すると思ってるんじゃねえか!?」

「失敗した上で大きなリスクは無いだろうっていう判断も同時に有るから大丈夫!」

「あー、ちなみに、老師は置いとくとしてスミスさんはどうしてこっちにしたんですか?」


 がっくりと肩を落としたクロだったけど、すぐに立ち直ってスミスさんに質問を投げかけた。僕もそこはちょっと気になってたんだよね。意見を変えるならクロかなー、って漠然と思ってたというか。


「結果が同じなら軋轢が無いほうがいいかと思ってね」

「でもスミスさん投票の時目閉じてたよね?」


 リンドウちゃんがどっちに手を挙げるか分かってたってこと? 僕としてはツルハシさんがアイデンティティーを全否定されたこの結果にけっこう驚いてるんだけど。


「本人には言えないだろうけれど、僕がどっちに上げたとしても、リンドウ君が手を挙げていたらそっちが三票になっていただろう?」

「あー、そこはノーコメントかな」


 まあ、リンドウちゃんに責任感じる必要はないと言った手前、ねえ? 僕だって別にどうしても三の方が良いって訳でもなかったし。せいぜいそっちの方が面白いかなーくらいなものだからね。

 クロと顔を合わせて気まずさを共有。どちらからともなく脱力して苦笑い。


「しゃあねえ。やるか」

「破片が飛び散ったりして危ないかも知れないから僕達はちょっと離れてるね!」

「おい! その理屈だと一番危険なの俺なんだが!?」

「クロは防具あるし大丈夫だよ! たぶん!」


 ため息をついてハンマーを構えたクロに一声かけて割と思いっきり距離を取る。僕もなんだかんだ軽装の部類だし、他の三人に至っては防御力は装備品頼み、特に老師は素早さ重視のペラペラ装甲だしね。


「で、何回試せばいいんだ?」

「一撃で壊せるとは思わないし、状態見つつ三、四回くらい?」

「まあそんなもんか。でも一発全力で叩き込んでもひび入ったり欠けたりしなかったらやめるぞ?」

「うん、まあ別にそれでもいいよ。ステータスや装備が整った時に再チャレンジはしてもらうかもだけど」

「はいはい。じゃあやるぞ。ふんっ!」


 暗がりの中でクロがハンマーを横なぎに叩き付けて、鈍い音が響く。そして一拍開けて、何か硬くて重いものが地面に落ちて転がるような音。

 クロはと言えば、ハンマーを振りきった・・・・・体勢で固まっている。


「あー……」

「えっと、ごめん?」


どうやら、僕たちの予想に反して一撃で壊れちゃったみたいだね。


……クロのハンマーが。

モンハン、ノベライズ版(の最初のシリーズ)だとモンスターが現れる地形の共通傾向で似通った地形になってるだけで別の狩場(つまり短期間でリポップしてるわけじゃない)っていう解釈だったりします。ゲームの公式の方にまではアンテナ伸ばしてないんで公式かどうかは分かりません。

システム的なことに対する解釈が面白い作品でした。懐かしい……

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