縛り72,ピッケル持ち込み禁止
どんだけ更新間隔空いてんねんって話ですね……
さて、再び撤退して作戦会議。本当なら対策できることが分かった時点でその場で簡単に情報を纏めてもっと進みたいところなんだけどね。リンドウちゃんのスキルって要は薬の範囲や効果を強化するっていうものだから、事前に準備しておかないと使えないんだよね。今回使った痺れ薬もいろいろ作ってる間に出来たものらしくて、今は手持ちの素材で作れるだけ作ってるところだったり。
「ううん、魔法に反応するタイプのモンスターって、これちゃんと情報流しとかないとかなり危ないよね?」
「まあ危ないだろうな。俺らはそこまで魔法に頼るわけでもないが、相手が飛んでることも併せて相当厄介だったしな」
「でもいろいろほとぼり冷めるまで街から離れとこうって言って新情報出してたら本末転倒だよね……」
「そういやそうだったな……」
というわけで、リンドウちゃんがせっせと生産活動にいそしんでる間に、僕とクロとスミスさんはリンドウちゃんの成果と関係ない部分の行動予定を相談中。
老師は体を動かしたりないって言ってそこら辺を走りに行っちゃった。モンスターに手出ししないよう繰り返し伝えたんだけど理解してくれてるかなあれ。
「でも今後もその手の敵が出てくる可能性を考えると弓矢使う人を攻略組が積極的に引き込むようになるならなってほしいっていう思いも有るんだよね。今は敬遠されがちだし」
「それなら情報の出所を町の人から聞いたっていうことにしておいてもらえばいいんじゃないかい? 広めるのだって結局は他の人を頼るつもりなんだろう?」
「そっか、それもそうだね。じゃあクロ任せた!」
「結局俺かよ…… アレクサンドロスさんに伝えた上で、出所誤魔化しとくよう頼めばいいんだよな?」
ため息を吐きながらも、素直にウィンドウを操作し始めたクロだったけど、なかなか連絡を取る様子もなくしきりに首を傾げている。
「どうしたの?」
「なんか、『圏外』って表示が出ててウィスパーチャットかけらんねえ……」
「わーお。一応聞くけどランキングとかそういう話ではないよね?」
「どう考えても違うだろ。意味は何となく分かるがどういう仕様なんだこれ」
「実は無線通信とか?」
「やけにローテクだなおい」
圏外ってそういう意味ではすでに死語だと思ってたよ。僕やクロが生まれたときにはすでに携帯端末が接続できない場所なんて無いようなものだったからね。
「これって結構な問題だよね。情報共有がすぐに出来るのと出来ないのって相当な差が有ると思うし、距離なのか場所なのか、それとも何か他の条件なのか。ちゃんと検証しないと……」
「やること減らすはずがもろに増えてんな……」
「まあその辺も問題提起だけしてアレクさん達にぶん投げる方針で」
「いつになるんだそれ」
と、そこでそれまで一人何やらウィンドウを操作していたスミスさんが口を開いた。
「ところで、僕の方ではアレクサンドロスさんにもウィスパーチャットを送れることになっているんだが、どういうことだろうね?」
「え? クロがからかっただけって訳じゃないんだよね?」
「いやいやそんな意味分からねえ嘘つかねえよ!? 本当に圏外って出て繋がらねえんだって!」
「じゃあそういう仕様ってこと? 繋がるかどうかに個人差が有る……?」
一対条件は何だろう? 条件を緩和する方法は有るのか、無作為ってことは流石にないよね? スキルの隠し効果とか、何かのステータスが影響するとか?
「終わりましたよー。難しい顔してますけどなにかあったんですか?」
「あ、リンドウちゃんお疲れ様! 別に今考えなきゃいけないことでもないから大丈夫だよ」
「そうなんですか? じゃあ早速再チャレンジですね!」
「ちょっと待とう? 肝心な部分の作戦立てれてないからね!?」
なんだろう、リンドウちゃんがいつになくはしゃいでるというか、ノリノリというか……
普段はなかなか戦闘では活躍できないからそれでかな? 毒物で敵を倒すことに快感を感じるだとか、コウモリから新しい毒が作れそうとかそういう理由だったらどうしよう……
頭をよぎった怖い想像を、ひとまずそれ以上考えないことにしてリンドウちゃんから報告を受ける。
「七回分かあ。範囲とか効果は前回とおんなじ?」
「はい。どうしても手元の材料ではこれしか作れなくて……」
「いやいやリンドウちゃんが謝ることじゃないよ。というか多くて驚いてるくらいだからね?」
「今度からもう少しいろいろな材料をストックしておくようにしますね」
「聞こうよ」
いろいろ試してみた中の一つみたいな感じだったから、最悪再現不可能とか、普段ならわざわざ採集しないような雑草が材料に含まれてるとかっていう可能性も疑ってたからね。七回分も作れたのは正直かなりの嬉しい誤算。
「七回かー。クロならどう使う?」
「あー、挟み撃ちにされたときとかに備えてある程度は温存すっかなあ。ある程度集めて一掃するのもあり得るとはいえ、無限湧きだと一掃しても意味ねえしな」
「やっぱりある程度慎重に使うべきだよね。主目的がレベリングなら迷わずありったけ使って定点範囲狩りなんだけど」
「今回はどっちかというと探索重視だしな。目減りするリソースは温存で安定だろ」
「じゃあ基本的には僕と老師を中心に撃墜する方向で行こうか。あと、この後はその他のモンスターで極端に厄介なのが出てこない限りは基本的にいちいち外まで撤退して作戦練り直すっていうのは無しで行くからね」
アイテムの使いどころも決まり、後は隊列とコウモリの対処を確認したら出発だね。他の敵に関しては今のところ情報が無いから臨機応変に対応しようとしか言えないし。
基本的にスミスさんとリンドウちゃんを安全な位置にっていうのは変わらないけど、金属装備でがちがちのクロよりも僕が先導して、老師は今まで通り……?
「あ、老師を呼び戻すの忘れてた」
「おい」
「いや、さっきから何かが足りないような気はしてたんだよね。迷子になってないと良いけど。クロ」
「分かった。圏外っていうのが相手との距離なのか自分の現在位置なのかの確認もかねてだろ?」
うんうん、話が速くて助かるね。意図をっ察してくれたクロが老師にウィスパーを送る。今度は問題なくつながってるみたいかな?
僕らの会話によく分からない顔をしているリンドウちゃんにさっきの出来事を説明する。
「なんだか、意外と不便なんですね」
「そうだね~。こういうところを意図的に不便にするゲームはかなり珍しいと思うよ」
というか、ゲーム中でもある程度外部ツールを使えるのが安全面とか、急な用事とかへの対応のために当たり前になってるから、個人間のチャットに距離制限を設けても外部メールで対処されちゃうだけなんだよね普通は。外部と隔離されたデスゲームならではの仕様って感じだね。
「洞窟に向かうんだな!?」
そして土煙を巻き上げながらすごい勢いで老師が戻ってきた。うん、やる気満々なのはリンドウちゃんだけじゃなかったんだね。老師は元からこうな気もするけど。
「その前に作戦の確認くらい聞いてくれるよね? 老師以外は二回目になっちゃうけどもう一回一通り確認しとくよ」
「分かった!」
「実を言うとさっきはアレクサンドロスさんに連絡を取っていたからあまりしっかりとは聞けてなかったからもう一度説明してもらえるのは助かるよ」
「え、ごめんスミスさん!」
「まあ聞いてもあまり貢献できないことには変わらないから連絡の方を優先したのは僕だからね。アレクサンドロスさんはこちらの要望通り町の人に聞いたという体で攻略グループの互助組織的なものに伝えておいてくれるそうだよ」
「よしっ、これで懸案事項が一つ減ったね。ありがとうスミスさん」
さっき決めたリンドウちゃんのスキルの仕様方針をもう一回伝えて、それを受けた上での洞窟内での隊列を提案してみんなに承認してもらう。
「後ろにはクロがいるから大抵は大丈夫だと思うけど、もしコウモリの群れとかに襲われて対処が難しそうなら迷わずにスキルを使ってね」
「はい! 分かりました!」
「あと老師は絶対に先走らないでね、ダンジョンっていうのがどういうものかはっきりしてない以上トラップとかあるかもしれないんだから」
「おう!」
注意事項に良い返事。後は行動が伴ってくれれば言うことなしだね。
「そういうお前こそ今日うっかりミス多いぞ? 本当に先頭変わらなくていいのか?」
「うっ、大丈夫だよ。というか全身ガチャガチャ言わせてる人よりは絶対ましだから!」
うん、でも何が有るか分からないんだもんね。ちょっと落ち着きが足りてない自覚を持って気を付けないと。
誤字脱字表現の間違い等有ったら指摘お願いします。




