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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
72/162

縛り70,ゴージャスボールのみ使用可

次回更新はおそらく火曜日以降になります。

 視界が色褪せて、ただでさえ薄暗くて見えづらかった敵の姿がますます見えづらくなる。

 ストレスとかダメージの限界とかそういうんじゃなく、盾にかかってる呪いの効果ね。いわゆる命中率ダウンってやつ? 呪い耐性と装備品の相乗効果の兼ね合いで、真っ暗闇じゃなくて色褪せてぼやけるっていうところに落ち着いたんじゃないかなって予想してる。

 まあちょっとぶれたモノクロ写真くらいの見難さだし、ピンポイントで急所を狙う訳じゃなければ十分だよね。なんて、そう思ってた時期が僕にもあったよ。周囲が暗いとこんなに見づらいなんて!あと距離感掴みづらいからシルエットが重なってると割と何が何やらわからないよ!

 まあその分底上げされた魔法防御力で盾で受けようとしなくても十分にダメージ抑えられてるからこれでいいよね!


「名人流秒間十六連打ー!」

「なんか、いつになく雑だなおい」

「どうせ当たらないし多少雑に狙っても良いよね? むしろ狙いを付けないほうが射線読まれにくいかもってのもあるし?」

「あと十六は盛りすぎだろ」


 声に出さなくても発動できるとは言っても結局発動のプロセスは頭の中で踏んでるから波動拳コマンドぐらいの時間はかかるから仕方ないね。というかコントローラーのボタン連打するようなペースで撃ってたら一番弱い呪文とはいえ速攻でMP尽きるよね。


「あーもう! ごめんけどこれ以上のヘイト管理は無理! 個体差なさすぎて見分けつかないもん!」

「おし、じゃあやるか」


 見分けつかないのは視界が悪くなるような装備付けてるからじゃないかって? 動いてなければ間違い探しをする余裕も有るかもしれないけど入れ替わりながら飛び回ってるんだから視界の悪さなんて誤差だよ誤差。


「おりゃっ!」


 クロが再び集団に突っ込むようにして天井付近までジャンプ。今度はふらつくこともなく剣を振りまわして、逃げ遅れたコウモリの一匹に当てることに成功した。

 クロの攻撃を受けたコウモリはそのまま地面に落ちて、飛び上がってくる様子は無さそう。羽を怪我させたか一撃で倒せたかはよく見てなかったけど、一発当てればとりあえず無力化できるみたいだね。


「よしっ!」

「思った通り耐久は低いみたいだね。問題は、数が多いこととまだ追加が来そうなことかな」

「次が来る前に落とせるだけ落とすか……」

「えっ、次が来るまでって多分あと十秒も無いよ!?」

「ふんっ!」


 止めようとしたときにはすでにジャンプの体勢に入っていたクロが慣れて来たみたいでもう一匹撃墜。それは良いんだけどクロが集団に突っ込んでるとその付近には打ち込めないからさらにヘイトが稼げなくなるのは正直良くない。

 というか奥から全くヘイト稼げてない追加分が来てるからね!?


「もう一回間に合わせる!」

「ちょっと待とうよ!?」


 クロが調子づいてるのは歓迎したいんだけど、モンスターの特徴も不透明なうちから前に出られると怖いんだけど!?


「っと、そろそろ限界か。どうすっかな」

「そろそろ限界かじゃないよ!? ヘイト稼がなきゃいけないこっちの身にもなってよ!」

「あ」

「あってなにあって!?」

「いや、そういや俺今タンクじゃないのなって」

「アタッカーだよ!? というかタンクだったことあった!?」


 いや確かに一番前でヘイト稼がせることが多かったけども! スキルで挑発してるわけでもないんだからその分殴るしかないわけで、やっぱりタンクじゃなくてアタッカーだよねそれ。タンクって何だっけ。アタッカーってなんだっけ……


「まあ数が減らないとヘイト稼ぐことも出来ないから判断を責めるつもりはないけどどうすんのこれ」

「攻撃対象以外からはヘイトが向かないパターンだったらよかったんだがそう甘くも無いか。俺へのヘイトが消えるまで待ってから各個撃破繰り返すか?」

「こっちのダメージが心配だけどそれしかないかな……」

「とりあえず回復はしとくか」


 モンスターが誰を攻撃するかのパターンも最新のゲームだけあって、複雑で多様っていうのがだんだん分かって来てる。各モンスターごとのパターンを把握することが後衛を守りつつ戦うためには必須と言ってもいい条件なんだけど、前衛だけだからって何も考えずに殴れるわけじゃないんだよね


「何が問題って十匹以上もいるとこっちが攻撃してヘイト稼ぐのと向こうが攻撃してヘイト稼ぐ速度がトントンくらいになっちゃうことだよね」

「どうにかしてもうちょっと減らすか?」

「どうやって?」

「石投げつけるとか……」

「洞窟が崩れそうだからやめて。とりあえずヘイト稼ぐから下がっててー」

「おう、分かっ……」

「え?」


 後ろに下がろうと後ずさりを始めたクロの体が唐突に傾いてそのまま倒れる。

 躓いて転んだ? それなら受け身ぐらい取るし無言なのはおかしい。

 じゃあまさかダメージを受け過ぎて……


「落ち着こう、それは無いよね」


 さっきゆっくり回復するタイプのポーション飲んでたしそもそも僕だってまだ五十発くらいしか食らってないんだから、半数ぐらいの攻撃がいまだにこっちに向いてる現状クロが百発も被弾するわけないし。

 となると、状態異常? 眠りか麻痺か、あるいは気絶かその辺りかな。僕がなんにも感じてない以上クロにだけ新しい攻撃を仕掛けたと考えるよりは、今も受けてる衝撃波の効果だと考える方が自然……って不味いねこれ!?


「と、とりあえず【マナバレット】!」


 一方的にクロに攻撃してるのをやめさせないと。いやもうこうなっちゃったらクロに攻撃してる間に倒すほうがいいのかなこの数に攻撃され続けたらどうなるか分からないしそれはダメだよねそもそもなんで攻撃を続けてる僕じゃなくってクロの方に攻撃が向いてるんだろうモンスターのパターンをちゃんと把握しなきゃ。

 焦って思考がまとまらない。クロには悪いけどちょっとの間耐えてもらって一旦落ち着

こう。

深呼吸。吸ってー、吐いてー。


「よし、まず考えるべきは状態異常についてだね」


 僕まで倒れちゃうと撤退すら厳しい状態になるからその可能性が高いならクロを担いで盾にしながら撤退かな。老師が控えてるけど僕とクロを背負っての移動は厳しいだろうし。

 でもこれに関しては十中八九『気絶』だと思う。僕はたいして感じてないけどクロはダメージの割に衝撃が大きいって言ってたから、打撃系の攻撃で昏倒することがあるのと同じように、頭部に受けると意識を持ってかれることがあるんじゃないかな。

 で、僕はダメージも衝撃もあんまり受けないから、たぶん大丈夫。


「老師!」

「出番か!?」

「いや、その前に倒れちゃったクロを回収して欲しいんだよね」

「なんだ、殴りに行くんじゃないのか……」

「うん、とりあえず僕が一回引き付けるからその後でお願い」


 引き付けるとは言ったけど、どうやって引き付けよう。クロがいまだに狙われてるのはきっと『距離』がターゲットの鍵の一つになってるからって考えるのがよさそう。最初も前にいたクロを狙ってたし、クロにタゲが移った理由もジャンプして近づくっていう行為に大きなヘイトが設定されてたと考えればつじつまが合うし。

 でもモンスターの群れのほぼ真下にいるクロより近づくって、ジャンプ? すべてのモンスターのタゲ取るのは厳しいよね。他に何か方法が有る気がするというか、何か引っかかってるんだけどなんだろう。


「ええと、そもそも遠くからこっちに向かってくるんだから相応の何かが有った……? そっか! なるべく範囲絞って【サーチ】!」


 索敵用で、本来なら戦闘中に使っても特別な効果は無い呪文だけど効果は劇的だった。僕に向かってくる敵の攻撃の数が明らかに増える。あとは反対側まで駆け抜ければ老師がクロを回収できるはず……!


「二匹あっちに残っちゃった。えっと、【サーチ】はクールタイムが有るし…… 実は呪文なら何でも良かったりして【ライト】、【ヒール】ってマジ?」


 頭の上に盾を掲げてパシパシ飛んでくる衝撃波を防ぎながら適当に呪文を使ってみたら本当にこっちにタゲが移ったよ。これはあれかな? 設定的には魔力に反応してる的な感じで魔法を使うと攻撃されるし、魔法は感知されて避けられる、みたいな?

 でも魔法じゃないはずの【スラッシュアロー】も避けられてるんだよね。なんでだろ?

手持ちで一番ヘイト値高いっぽいのは【サーチ】かな? 詠唱とか威力上げたりでで変わったりするのかな。


「なんにせよ」


 攻撃手段が魔法だけならこのまま凌げばどうにかなるね。そう続けようとしたところで腕に鋭い痛み。急降下してきたコウモリが盾を避けて腕を掠めるように飛んできたのは分かるけど攻撃手段が分からない。牙? 爪? せめて噛み付いてくれればこっちも反撃できるのに!

 危ない所は乗り切ったと思ったけど、依然としてこっちからの攻撃は有効打にならない上に、相手には大きくないとはいえダメージを与える手段が有って、状態異常っていう不安要素も消えたわけなじゃい。うん、ピンチだねこれ?


チュウチュウじゃなくてペロペロ。

血の吸い方の話です。


この話の真ん中ら辺のもっとピンチなところで区切りたかった……

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