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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
64/162

縛り62,火炎瓶使用禁止

エイプリルフールの話と差し替えてます。ご注意ください。

「で、言われるがままに移動してきたんだが、結局どこに何しに行くんだ?」


 もっともと言えばもっともなクロの質問に答えるために、道具屋さんで購入した地図を広げる。何かしら詳しい地形や情報が載ってるわけではないんだけど、メニューにはマップ周りのサポートが無いし、人から聞いた情報を視覚的に整理できるっていうだけでも十分役に立つんだよね。


「これは、町の周りの地図かい?」

「うん、といってもそんなに精度が高いものでもないらしいんだけどね」


 スミスさんと僕のやり取りを聞いてクロとリンドウちゃんも興味深げに地図を覗き込みに来た。

 地図には町を中心に森と河、山が描かれている。等高線とかを用いて表現されたものじゃなく、視覚的に見たものをそのまま描いたような書き方で、山がかなりの高さが有るってことが分かる代わりに山の向こうはどうなってるのかわからない。

 それこそ空を飛んで写真撮ったらこんな感じになるんじゃないかな?


「それで、おおよそだけど、僕らが今いるのがこの辺」


 地図では町の北側から東側にかけて『へ』の字を描くように山が連なっていて、西側を山から流れてきた河が湖に流れ込んでいる。町の南側は比較的開けた地形になっていて僕が指さしたのはそっちにちょっと出たところから東に寄ったあたりだね。


「東に寄ってるってことは、山を迂回するような形で探索範囲を広げるのか?」

「ううん、それをするにはまだまだ情報も出揃ってないし、装備にもレベルにも不足を感じるからね。今回僕らが目指すのはここ」


 そういって指差すのは山と森と草原の三つの地形の境目になっている辺り。地図ではあまり高さは無いけど岩肌がむき出しになったごつごつした山になってるところ。


「山自体が目的地なのか? 山に行くだけならもっと街に近い箇所もあると思うんだが、ピンポイントでそこを目指す理由が何かあるのか?」

「あるよー? 何が有るのか当ててみてよ」


 いぶかしげに聞いてきたクロに、意味もなくじらすように問題を出してみる。すると、ちょっと間を置いてからリンドウちゃんがおずおずと発言した。


「えっと、珍しい植物が採れるとか?」

「ブブー。でも今度そういうのを取りに行くのもいいかもね、この辺なんていろいろ生えてそうじゃない?」

「そうですね、どんなお薬に使えるのか楽しみです!」


 町の東側はクロ達が何度か利用したことのある虫系モンスターがうじゃうじゃいる森でそっちの方の山肌は緑に覆われてるみたいだから、森とも草原とも違う植物が生えてるのはほぼ間違いないと思うんだよね。


「お前のことだからあれだろ、レアモンスターが出るとか、あるいは対人戦等の練習になるようなモンスターがいるとか、その辺じゃねえの?」

「ブッブー、全然違うよ~。こんな状況でそんな大局が見えてない行動取らないでしょ普通に考えてー」

「間違ったことは言われてない気がするが何だこれ無性に腹立つぞ」


 ぶつくさ言ってるクロは放置してスミスさんに視線を投げる。老師? 老師なら遠くにゴブリン見つけて飛んで行っちゃったよ?


「ふむ、今回の資金の確保だったかな? ということは街の人に一定の需要が有るものか、プレイヤーが今後必ず必要にするもののどちらかを大量に手に入れることを目指してるんじゃないかい? そして山となると、モンスターの素材ではないだろうね。目的地付近では鉱物類が採れる。違うかい?」

「流石スミスさん、ほぼ正解だよ! 道具屋のおじさんに聞いた話っていうか、町の流通に関わってる人なら大体は知ってる情報らしいんだけど、ここにはね……」


 そこで溜めを作ってみんなの表情を見渡してから、勢いよく僕は宣言した。


「鉱山型のダンジョンが生成されてるらしいんだよ!」


 が、僕の熱い想いをぶつけても、リンドウちゃんは何のことか分かってないみたいで首を傾げるだけだしスミスさんもなんか苦笑いだし、クロに至っては呆れてるのを隠そうともしてないよ。


「そうか。じゃあまあ向かっていくか」

「雑っ!?」

「老師ー! はぐれないよう一旦こっち戻れー!」


 むう、貴様それでもゲーマーか!?




「で、普通の鉱山と鉱山型のダンジョンの最大の違いは何かっていうと、採掘しても採り尽すっていうことが無いっていうところらしいんだよね。まあ今後プレイヤーが大挙して押し寄せたりしたら資源の回復が間に合わないなんてことも起こりうるかもしれないけど、行ってみたらもう廃坑になってた。なんてことは無いらしいよ」

「すごいですね! じゃあ植物の生えてるダンジョンが有ればそこでは薬草取り放題なんですかね!?」

「多分ね。といっても植物はダンジョンじゃなくても生え変わるから採れる気がするけど……」

「言われてみればそうですね~」


 反応が芳しくなかったので、主にダンジョンが何なのか分かって無かったリンドウちゃんに向けてダンジョンが何なのかっていうのをこのゲームでの設定的な部分を交えて説明しながら歩く。ちなみにこの辺の話も道具屋さん情報。

道具屋のおっちゃんいわくこういう話は神殿が一番ちゃんと教えてくれるらしいんだけど、世界観とか設定とかを調べたり考察したりすることをメインでゲームをしてるわけじゃないから一般常識レベルの話で満足してるんだよね。


「しっかし、マナねえ…… 説明出来てるっていえるのかそれ……」

「んー? 僕は嫌いじゃないよこういう潔いファンタジー。それとも実はクロは打ち捨てられた魔物の死体がいつまでも残って腐敗臭を放った挙句ゾンビになって襲ってくるようなダークなのが好きなの?」

「そ、そうだったんですか!?」

「いや、そんなことはねえからな!? というかライトファンタジー嫌いだったらこのゲーム自体やってねえっての……」


 相変わらずリンドウちゃんは素直だねー。でも死体にかけたらゾンビになるポーションのアイデアは即刻廃棄して良いからね? このゲームをバイオなハザードにはしないでね?


「全然わからなかったんだが、どういうことなんだ? 山に籠って熊と戦う訳じゃないんだよな?」


 うん、老師が話をちゃんと聞いてなかったのは知ってたよ。途中途中モンスター見かけては飛び出して行ってたし。

でもだからこそ聞きたいんだ。その偏った知識と発想はどこから来てるの?


「うんっとね、目的の山には洞窟が有るから、壁や天井を利用した空中殺法の修業が出来るんだよ」

「なるほど! 空中殺法! よく分からんが強そうだな!」


 うんうんと頷いた老師はそのままモンスターを見つけて飛び掛かっていった。空中殺法ー! って叫びながら。

 うん、自分で言っといてなんだけど…… 空中殺法って、なんだろうね?

ご指摘等有りましたら感想までお願いします。

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