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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
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縛り56、ジャギ禁止

連日更新を目指してみたものの結果この様でした。

つまり今後の更新の早いときの目安はこんなもんです。

 防御も回避も間に合わないタイミングでのパンチに対して、僕は仕方なく防具の性能を信じて受けることにした。お腹にぐっと力を入れた直後に予想を上回る衝撃。


「っ! シィッ!」


 まだ審判の判定は下ってない! 後ろに吹き飛ばされながらも脚を使ってのスラッシュアローをナンダゴンドさんの顔面に向けて放つ。素手で撃てるのは把握されてても脚で撃てるのは今回初めて見せることもあって、意表を突くことに成功。頬を掠める程度だけど目に見える外傷をこっちも与えることが出来た。

 そのまま後ろ宙返りの要領で一回転して着地したところでコノカさんが声を上げた。


「は~い。そこまでですよ~」

「よおっし!」

「こっちは見ての通り防具で受け止めたからのーダメージだよ」


 勝ったと確信してるナンダゴンドさんがガッツポーズを作るけど、僕だってまだ負けるつもりはないんだよね。審判のコノカさんに向き直って大げさなジェスチャーを交えつつ、その場で跳ねたりして健在っぷりをアピール。僕の攻撃は目に見える外傷を作ってるからこれが通れば僕の逆転勝ちって寸法だよ。


「んなっ!? いや確かに服にしては手ごたえが固いと思ったが、そこまでの防具なのか!?」


 僕の発言が余程予想外だったのか、しめたことにナンダゴンドさんが慌てた様子を見せてくれた。これなら判定勝ちあり得るんじゃない?


「そうですね~、どうしましょうか~」


 そんなことを口にしながらコノカさんがこっちにゆっくり近づいてくる。口では悩んでるようなことを言ってるけど、表情はいつも通り笑顔で固定のまま。

 別に悪いことをしているわけじゃないのに、怒られる予感を本能が感じ取ってつい半歩後ずさってしまった。


「ちょっと~、見せてもらいますよ~?」

「見なくても大丈夫だよダメージ受けてないし」

「見せてもらいますね~?」

「いやほら、お腹見られるのとか恥ずかしいかなって」


 僕の言い分を無視して、シャツをめくろうとするコノカさん。抵抗しようとしたけど、さっきの対戦でナイフを抜いてたから片手がふさがってて上手く行かない。呪いのせいで手を放しても手放せないし、かといってコノカさんを切りつけるのも出来ないしで、空いてる方の手をあっさり抑えられて、もう片方の手でシャツをまくり上げられてしまった。


「これは……」

「あはは……」


 僕からはめくれたシャツが邪魔でよく見えないけど、殴られた箇所を見たコノカさんの顔から微笑みが消えたので、とりあえず笑って誤魔化しておく。


「痣に~、なってるじゃ~、ありませんか~。『命の源たる水よ、今一度生命の恵みを与えよ』【アクアヒール】」


 回復呪文をかけられて、コノカさんはサブヒーラーも兼任してたことに思い至る。それと詠唱は間延びしないんだね。なかなか新鮮だよ。

 ほんの少し現実逃避をしてる間に、コノカさんが立ち上がって結果を宣言した。


「では~、あらためて~、ナンダゴンドさんの~、勝ちですね~」

「あ、ああ」

「喜んでも~、良いんですよ~?」

「お、おう。嬉しいなー」


 対戦中の勢いもどこへやら、遠目にも冷や汗かきまくってそうに見えるナンダゴンドさん。大の大人が全身でやっちまった感を表現してるという、ドジ属性を持った先生が担任にでもならない限り僕らが目にすることは滅多に出来ないものを見てるわけだけど、特に嬉しくもなんともないね。


「でも~、いくら~、対戦とはいえ~、女の子の~、お腹を殴るのは~、どうかと思いますよ~?」

「いやいやいやいや、そんなこと言ってたら対戦なんて出来ねえから」

「そもそも~、戦う~、必要性自体~、分からないんですよ~?」


 根本的なところから考え方の異なるコノカさんに詰め寄られて、どうにかこの状況を逃れようと周囲に視線を飛ばして助けを求めるナンダゴンドさん。対戦が終わったから、今後の行動を決めるために他の人もこっちに集まってきてたんだけど、残念ながらこの場にナンダゴンドさんの味方はいないみたいだった。

 それどころか、ナンダゴンドさんのパーティーの長剣使い。えっと、キリコさんだっけ? が、パーティーのリーダ―のはずのナンダゴンドさんを非難する側に回って発言し出した。


「対戦の否定までは私はしませんけど、今回の件に関しては一発当てたらそれで決着なんですから痣になるほど殴りつけなくても良かったでしょうに」

「ほ、ほら。加減したら有効打にならないかもしれなかっただろう?」

「加減した上での~、軽傷なら~、それも~、有効打に~、しますよ~?」

「そのだな、あの時は咄嗟のことだったから加減が出来なかったんだ」

「力加減はともかく当たっても問題ない位置を狙うぐらいなら出来たんじゃないですか?」

「体の中心狙わなかったら避けられるだろうが」


 傍で見てる分には意見の食い違いっぷりが面白いな。なんて考えてたら、こっちにも飛び火してきた。


「ユーレイさんも~、ユーレイさんですよ~? あんな~、危ない真似~、しなくても~、良かったですよね~?」

「やるからには勝ちたかったから仕方ないよね」

「まあ~、武器を捨てて~、殴ってくるのは~、予想外だったかも~、しれませんけど~」

「そうなんだよね。間に合わせるならスキル使うと思ってたから読みが外れたよ」

「ユーレイさん~? それはどういう~、ことですか~?」

「あ」


 口を滑らせてから、コノカさんは僕が反撃が間に合わないと判断して無防備に攻撃を仕掛けたと思ってたことに気づいた。

 笑顔の圧力に負けて、渋々説明する。


「多少無理な姿勢からでも発動すれば決まったモーション通りに動くスキルなら槍自体の速度も上がることを考えたら間に合うかもとは思ってたんだよね」


 ニコニコ。


「勝算の方が高かったから攻撃したっていう話。それだけ!」


 ニコニコ。


「えっと、移動でも打ち合いでも、リーチが伸びる訳でもない攻撃スキルをナンダゴンドさんが使ったら、『過剰な攻撃』って判断されて僕の勝ちになるかな、なんて……」

「ふっ、その程度の作戦はお見通しということだ」

「説教の途中で格好つけないでください。というかそれ、スキルで攻撃しなかったのも手加減や配慮じゃなく反則負けにならないためってことですよね? それを格好つけるって、全く反省してませんよね?」


 横からコメントしてきたナンダゴンドさんに、いろんな意味で腹が立つよ。どうにかしてこの状況を脱しないと……

 いかに長くなりそうなお説教を回避するかを考えていたら、激マズポーションのダメージから立ち直ったクロが合流してきて、今まで黙って成り行きを見ていたエックス君の隣で立ち止まった。


「対人戦が強いって、ああいうことだったんですね。俺、間違ってました」

「ああ、そうだな」


 どうやらエックス君も自分の至っていないところにちゃんと気付けたみたいだね。気付いたついでに僕とナンダゴンドさんのフォローもしてくれると助かるんだけどな。


「対戦での強さで相手の価値を測るようなことをして、相手より上に立つための努力を続けてたら、俺もああなってたかも知れないんですよね」

「そうなる前に気づけたなら大丈夫だ」

「クロ先輩にもご迷惑をお掛けしました」

「男なら誰もが一度は通る道だからな。気にするな」


 あれ? なんでそうなるの!? 僕のフォローは!?

 したり顔で頷いてないで助けてよー!


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