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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
57/162

縛り55,3ボタン4ボタン5ボタン使用禁止

新年初更新ですね。

今年もよろしくお願いします。

「俺との対戦、受けない理由が無い。そうだろう?」


 ナンダゴンドさんが僕に向けて自信満々に言い切ってきた。ここですげなく断ったらそれはそれで面白そうだと思わなくもないけど、ここまで煽られて引き下がったら女が廃るよね。

 勝てない戦いを挑む趣味は無いけど、勝てる可能性のある勝負から逃げるのはゲーマー失格だし、勝てる可能性のない勝負なんてまずないんだから、気合入れないとね。


「分かった、受けるよ。でもその前に」

「ん、おお!?」


 上空の何もない所へ向けて素手での【スラッシュアロー】。唐突だったからちょっと驚かせちゃったかな?


「情報共有は僕以外の人がしたから出てない情報だと思うけど、スキルの無声発動出来るから」

「思考入力は苦手なんだがな…… スキル使う機会は増えるだろうし今度練習しねえとな。それで、確かに重要な情報だが、なんでこのタイミングで教えた?」

「あそこまでハンデもらって勝っても何の自慢にもならないからね。これでイーブンでしょ?」

「ほう? むしろ俺はさっきの時点でもまだ俺に有利すぎると思っていたんだがな」


 お互いの矜持をかけて視線を合わせて火花を飛ばす。これ、火花のエフェクト出すスキルとか存在しないかな? これ以上ネタスキルを取る余裕は今は無いけど、今後レベルが上がってスキル枠が余るようなら探してみようかな。

 さて、ルールとさっきの会話から判明したナンダゴンドさんの持ちスキル、外見から推測できる装備と戦闘スタイルから、どう勝ちに繋げるか。けっこうな難題だね。

 ハンデもらって勝っても嬉しくないのは本当だけど、ステータス的な不利が有りそうなのも事実なんだよね。


「さてと、それじゃあ審判を……」

「私が~、やりますね~」

「おう、助かる」


 審判はコノカさんかー。アレクさんじゃないのはちょっと意外だけど公平性っていう点では妥当な人選かな?

 アレクさんの装備は一見スタンダードな壁役前提の重装備だけど、武器が剣じゃなくて槍、それも長い柄に鋭い穂先がついてるタイプじゃなくて、モンスターをハントする人達が使ってるようなごつい奴。あれってリアルだと馬に乗って使う前提の武器じゃなかったっけ?

 つまりあの装備は大きな盾で身を守りつつ中距離からチクチク削ることもできるけど、装備重量を生かした全力での突進を切り札として想定してるのはまず間違いないとみていいね。うん、この分析情報この対戦にはほぼ関係ないね?


「さて、準備はいいか?」

「いつでも」

「では~、おたがい~、十分な~、距離を取って~」


 こんな時でも間延びしたコノカさんの指示に従って、距離を取る。十メートルくらいかな? まずありえないだろうけどナンダゴンドさんが初手でスキルで突進してきてもどうにか避けれるくらいの距離を取ったところで構える。


「それでは~、はじめ~」


 コノカさんから合図の声が上がると同時に腰に差していたナイフを右手で抜く。普通のルールではスタミナ減少効果が大きな弱点になって、一発ルールでも他の装備によるステータスのマイナス補正が大きくなる、対戦で不利な理由の筆頭みたいな装備だけど、これが無かったらたぶん防具のない所にでも当てないとダメージにならないんだよね。

 狙うのは速攻をかけての短期決戦。こっちの動きを把握されたら防がれるだけで負けるしね。


「そいつはちょっと予想外だぞ……」


 心なし引き攣ったバトルジャンキースマイルを浮かべて大盾を構えなおすナンダゴンドさんに向けて、距離を詰めるために一気に走り寄る。飛び道具での牽制は必要ない。ナンダゴンドさんにはさっき見せてるから勝手に警戒してくれるし、下手に防御されて威力を把握されちゃうとこの後活用しづらいしね。

 その代わりに使うのは【隠密行動】のスキル各種。人に使っても有る程度の効果は有ることは確認済み。大した影響は正直無いけど、警戒されてない分初見の相手に一発当てる手段としては悪くないと思うんだよね。


「っ!?」


 まず発動させたのはほぼ気休めの【隠形】、一呼吸おいて、走り出すと同時に足音を消す【サイレントラン】、ナンダゴンドさんがこちらを警戒して防御の体勢を取っているので、走る速度を調整して、仕上げに身を屈めて盾が作る死角に飛び込みつつ【ハイディング】。同じ系統のスキルを使う場合でも多少の再使用時間〈クールタイム〉が必要になるから、実はけっこうギリギリだったり。

 一時的に僕の姿を見失ったナンダゴンドさんがとった行動は素早いバックステップ。全身重装備で固めてるはずなのに、そこそこの速度で後ろに下がった。スキルの動きじゃなさそうなだけに流石だね。


(【スラッシュアロー】!)

「づあぁっ!」


 隙を作るために追いかけるようにして放った【スラッシュアロー】に対して、ナンダゴンドさんは即応して完成の法則を若干無視した動きで構えた盾ごと突っ込んできた。

それ自体は予想の範囲内なんだけど、突進の移動距離が想定よりも長くて、盾の陰に入った時点でブレーキをかけて十分な間合いを取っていたはずなのに、そこから後ろに転がって距離を稼ぐ羽目になった。小学校低学年で練習するあれの出番は案外日常に満ちているんだね。

僕自身が突っ込んでたら間違いなくこれで終わりだったね。なんて、次にどう仕掛けるかを判断しようとしたら、そこからさらに盾が迫ってきた。


「まだまだぁ!」

「ちょっ!? 【アッパースラッシュ】!」


 さっきの牽制を左手で撃ってたことが幸いして、どうにかナイフとスキルで受け止められたけど、これも冷却時間ギリギリ。ダメージ倍率を犠牲にしての汎用性と冷却時間や硬直の短さが売りの【斬撃】系統のスキルの利便性を図らずも証明しちゃったかもしれないね。

 さて、こっちは重量差で押し負けて体勢が不安定な上に、相手の武器はフリー。迷ったら次の瞬間には負ける。ここまで来たら頼れるのは今まで格闘ゲームで培ってきた戦闘感だけ。

 |ゲームの一番楽しい瞬間〈エクスタシー〉を全身で感じつつ、僕のは引き戻されようとしている大盾の上辺を掴んで飛び上がる。


「これでっ!」


 手と足の両方を使って飛び上がったことで全身を無防備にさらすことになったけど、盾は僕が弾みをつけるのに戻す勢いともども利用したからまだ手元に戻らない、中段の薙ぎ払いを狙っていた槍は普通に動かしても間に合わない。唯一、対空用に設定された【ペネトレイト】は間に合うけど、それをナンダゴンドさんが使えば|僕の勝ち〈・・・・〉だよ。


(え?)


 対戦が始まってから初めて、ナンダゴンドさんと目が合った。

 楽しそうに口を歪めたナンダゴンドさんの目は、自信満々に『俺の勝ちだ』と主張していた。

 そしてその右手にはすでに、槍を持っていない。


「おらあぁっ!」


 伸びきった左腕を戻す反作用も活用した、思い切りのいい右ストレートが僕の体の芯めがけて笑顔のまま振りぬかれた。


戦闘描写は難しくて四苦八苦しながら書くから戦闘描写のある回にコメント入れると作者に喜ばれますよ。というか俺に喜ばれますよ(新年早々図々しい)

でも実際評価が無いと改善も難しいのですよ……

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― 新着の感想 ―
[一言] 対人戦の醍醐味である読み合いをしつつも、結局読み合いを無視していろんな法則をぶっちぎった動きをするゲーマー二人。 楽しい以外のなにものでもありませんね! 二人とも難しいことをいろいろ考えてい…
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