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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
55/162

縛り53,盾ガード禁止

凄く間が空いてしまった……

次はもう少し早く投稿できます(願望)

「クロさんっ! 大丈夫ですか!?」


 左右の手にそれぞれ別のポーションを持ったリンドウちゃんが対戦を終えたクロに駆け寄っていく。あれは不味くても効果が大きいスキルで使ったり患部にかける用の回復ポーションと味を改善した回復ポーションかな?

 まだ別物といえるものではないにしても、使い分けを意識したポーションの開発が順調に進んでいることを再確認できて今後の希望を見出していたら、リンドウちゃんは味がましな方をクロにぶっかけ、飲めたものじゃないほうの瓶をクロの口に無理やりねじ込んだ。


「ぐっ、むっ……!?」

「どこか傷むところは有りませんか!? すごい脂汗がにじんでますよ!?」


 わざとやってるわけじゃない、よね? いやでも、苦悶の声も脂汗もポーションを飲み始めてから出てきただけでそれまでは必死に我慢してたのかもしれないし決めつけるのは早計だよね。回復量重視のポーションは臭いの時点で飲めたものじゃないって分かりきってたから試飲する時も二十倍くらいに希釈して飲んでたから原液の破壊力なんて想像もつかないんだよね。そもそも試飲自体クロしかしてないんだけど。


「ふ、ふんっ! やっぱり口ほどにもなかったな! 実力の差が分かったなら寄生ヤローどもはさっさと失せろ!」


 持久力に定評のあるクロとは対照的に、エックス君は終盤でスキルを乱発していたこともあって息も絶え絶えの様子。満身創痍での接戦になってたっていう雰囲気をごまかすように威勢のいい声を上げる。まあ確かに実力はおおよそ把握できたよね。


「じゃあ結果も出たことだし情報開示するね」

「律儀に待たなくても対戦してる間にしてくれてもよかったんだがな」

「流石にそれじゃあエックス君も納得しないでしょ」

「なっ!? なんでそうなる!?」

「ナンダゴンドさん説明よろしく。僕はアレクさんに手持ちの情報開示しとくから」

「いや、ここは審判のアレクサンドロスが説明をすべきだろう。俺もなるべく一次情報に近い情報が欲しい」


 ちゃんとお互いの実力も把握できたことだし、本題に移ろうと思ったところでエックス君の横やりが入ったけど、華麗なパス回しの結果アレクさんが請け負うことになって一件落着。

 さて、だいぶ時間を取られちゃったけどまあナンダゴンドさんなら大抵の情報はサクサク察してくれそうだしどうにかなるでしょ。



「明け方が夜っていう判定じゃなければ北の平原はタンク2ヒラ2はいたほうが良いようだな。そのうえで殲滅力も必要と」

「レベルやスキルが多少高ければヒラ1でもどうにかなるだろうけど、本職じゃい人も含めて足止めできる人が複数必要なのは間違いないね。もしくはパラ構成の人を二人混ぜての全員前衛かな」

「こりゃ確かに最初は有る程度近い位置に別のパーティーがいないと危なっかしいな。況してや他に狩場として使ってる奴もいない現状ならなおさら、な」

「まあ行動パターン見切れば被弾減るから、慣れてくればどうにかなるだろうけど、引き際の見極めは大事だろうね」


 どこかからお前が言うなって声が聞こえた気がするけど、クロは向こうでグロッキーだし、幻聴かな?


「一通り戦ってみるまでは安全志向で行くのに不満はねえ。情報感謝する」

「うん、あと手持ちのスキルの情報も少しだけ共有しときたいかな。開示した側の不利にならない範囲で」

「開示した側の不利にならない情報か。性能面じゃなく習得条件回り、それも大多数が取るようなスキルに関してってところか?」

「そうそう」

「なんでこの時点で手持ちに開示できるような情報が有るのか突っ込みてえが、渡りに船ではあるな」


 二人で実りの多い会話をしていたら、アレクさんの説得を受けていたエックス君が声を上げた。


「やっぱり納得できねえ! 百歩譲って彼が実力を持っていることを認めるとしても、そっちの女が偉そうにしてるのはどうなんだよ! あいつはなにもしてねえだろ!」」

「いや、そんなことはねえと思うぞ……?」


 かたくななエックス君の態度にアレクさんもお疲れみたいだね、仕方ない、僕が一肌脱ぐとしようか。アレクさんが困ってる原因を辿ると僕、なんて事実は無いね、エックス君がいちゃもん付けてきてるだけだし。


「ナンダゴンドさん、審判頼んでいい?」

「ん? 構わねえが、さっきは乗り気じゃなかったのにどうしたんだ? それに決闘用のアイテムにストック有るなら俺も戦いたいんだが」

「さっきとは目的がちょっと違うしね。パーティーとしての実力はもう証明したわけだし、ちょっと静かにしといてもらおうかなって。すぐ終わらせるつもりだし『決闘水晶』も使わないよ」

「アイテムを使わない? なるほど、そういうことか」

「うん。一発ルールなら大事にはならないでしょ?」





「というわけで、本人たちのたっての希望でエックス対ユーレイのPvPを行う。ルールは先に有効打を一発与えた奴の勝ちだ、有効打かどうかの判断は俺が行う。ヒーラーもいるし回復アイテムもあるが、くれぐれも過剰なダメージを与えないように。まあ一発ルールでそんな隙だらけのことするやつはいねえだろうが」


 そんなわけで状況はナンダゴンドさんの解説通り。この手のルールだと対人戦の強さとモンスターを相手にする強さに実はほとんど関係が無いから、実力を見せる必要があったさっきは取れなかった手段だね。クロが面倒なこと済ませておいてくれるのは本当に助かるよ。ポーションの毒見とか。


「さて、先手は譲ってあげるよ、人生の先輩としてね」

「譲ってもらう筋合いはねえ! さっさと武器を抜けよ寄生ヤロー!」

「ん? 使うつもりはないよ? 必要ないし」

「なっ!?」


 僕の安い挑発に顔を真っ赤にするエックス君。ちょろい。


「素手で武器を受け止められたとして、ガードされてるから有効打じゃない、なんて言いませんよね?」

「まあ白刃取りみたいな明らかにダメージのない受け方でもなければ普通に有効打だ。が、余所見してていいのか? もう始まってるんだが。それとも号令いるか?」

「いえ、大丈夫です」


 ナンダゴンドさん相手にはちゃんと敬語使ってるんだよね。パーティー外の人にこそちゃんと丁寧に応対しないとダメだと思うんだけど。


「弱いくせに人を馬鹿にしたこと後悔させてやるっ!」


 威勢よく雄たけびを上げて突撃の姿勢を見せるエックス君に対して、攻撃を避けやすいように頭に血が上ってたら分からないくらいに横に動いて正面から外れておく。


「【トライスラッシュ】!」


 エックス君が放ったのは素早く三連撃を繰り出すスキル。こっちが武器も盾も持ってない以上手数で攻めるのは間違ってないんだけど、つまりそれだけ定石通りで分かりやすい攻撃ってことなんだよね。ついでに言うと一気に距離を詰めての攻撃スキルっていう行動もワンパターンでタイミングも見え見え。

 一撃目、エックス君がスキルの叫ぼうとした時点で半身になっておいて、まっすぐに振り下ろされる剣を回避。僕の鼻先五センチくらいのところを勢いよく剣が通り過ぎていく。

 二撃目、慣性の法則をぶっちぎった動きで再度振り上げられた剣が今度は向かって右上から左下へ振り下ろされる。これは大きく上体を傾けて躱す。もっとキツイ角度で斜めに振られてたらこれでは避けられなかっただろうけど、そんなこともなくあっさり回避成功。

 そして三撃目、今度は逆に左上から右下への振り下ろし。なんだけど、二撃目を右側に避けてる時点で、その攻撃範囲に僕は入ってない。崩れた体勢を立て直しつつ悠々お見送り。


「なに!? 【ステップ】!」

「ほいっ」


 これで決まると思ってだんだろうね、驚くのもそこそこに移動スキルを使って、右側、まあ向かって左というか半身になった僕の正面に回り込むように移動するエックス君。

 そのまま仕切りなおそうとした彼の顔面に勢いよくグーパン。


「ぶげらっ!?」


 スキルも無いしステータスも高い訳ではない僕のパンチだけど、耐久型じゃない相手の生身の部分に当てれば吹っ飛ばすまでは出来なくてもダウンさせるくらいはできるみたいだね。


「そこまでっ! 勝者ユーレイ!」


 うん、いろいろと予想通り過ぎてちょっと面白くなかったかな。


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