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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第一部 VRMMO編
5/162

縛り4,五分前行動禁止

武器とかステータスとか書くの案外めんどいなあ……

まあこれから先はそんなに一度にそろえることもない……こともないな

「……遅い」


 猫の子一匹見かけない防具屋の裏で僕はクロが来るのを待っていた。といってもVRゲームなうえに中世風の設定で猫が街にいるのかどうかという疑問はあるけれど。

 兎に角、待ち合わせ時間を五分も過ぎているのにクロがまだ来ていないのは問題である。ただでさえ六時間というなかなか長い時間をつぶすのに苦労したのに、さらに待たせるとはまさに問題外だ。


 クロが到着したのは待ち合わせを十二分も過ぎてからだった。走って来たらしい様子だけど、そんなことは当たり前だ。容赦なく怒ることにした。


「遅すぎ! 一体何にそこまで時間を費やしてたのかな?」

「ぜぇぜぇ、わりい! 消耗品と装備を整えてたんだが、材料持ち込みで頼んだ相手の職人さんがマニュアル生産で丁寧にやってくれたもんだから時間食っちまって」

「問答無用! そもそも生産を待つだけならフレンド登録だけして先に装備品揃えてればよかったよね? どうせ相手がクロ好みの大人しい系の女の子だったからついついその場で待っちゃったとかその辺だよね? 男のくせに言い訳するのは見苦しいよ?」

「うっ、まあ待ってる間もできる範囲でいろいろやってたんだよ! それにほら、装備もポーションも思ってた以上に整えれたしいいだろ!」


 クロの息が上がっているのは走ってきたことでスタミナが減少した結果として擬似的に息苦しさなどが再現されているからだ。再現度がここまで高いとなると戦闘中にスタミナ消費系のスキルを乱用するのはやめたほうがよさそうかな。


「まあじゃあ軽くそのごつい装備に関して紹介するチャンスをあげるよ。しょうもないものだったら容赦なくけなすから」

「ん、ああ。時間かけただけあって店売りの中では相当強力だと思うぞ。今ステータス出すわ、ほれっ」


鉄の両手鎚

ATK 120  MATK 45  必要STR 20

耐久度 100/100

説明:何の特殊効果もない両手鎚、重い。


鉄の鉢金

DEF 23 MDEF 8  


冒険者の服

DEF 5


ヘビーメイル

DEF 44 MDEF 12  必要STR 12 必要VIT 9


冒険者のズボン

DEF 4


チェイングリーヴ

DEF 31 MDEF 13  必要VIT 8


革の手袋

DEF 8 MDEF 8


(※参考)

冒険者のナイフ(初期装備)

ATK 20  必要STR 3

耐久度 100/100

説明:扱いやすい小振りのナイフ。攻撃はもちろん植物類の採集や、耐久度を気にしなければ採掘にも使える冒険者の必需品。


「確かに強いっていうか、どう考えてもレベル1で扱える装備じゃなさそうなんだけど? STR全然足りてないし」


 武器はSTRが必要値に達していなければ装備すること自体が出来ず、防具に関しては装備自体はできるもののSTRが足りなければ機動力に、VITが足りなければスタミナ消費にそれぞれ致命的なペナルティを受けるという仕様だったはず。防具はある程度自由に組み合わせてつけることが出来るが、重量が増えればペナルティも増えるため軽装備で戦うためのスキル構成(ビルド)をしている人も多い。


「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた! 実はマスタリ系のスキルと同じく筋力強化系のスキルにも装備品の装備条件を緩和する効果があるのだよ!」

「どういうこと?」

「つまり補正込のSTRが必要値に届いていなくてもペナルティを受けなくなるんだよ、腕力強化なら武器をおそらく二割ぐらいは無視できて、筋力強化は武器防具ともに一割ってところだろ」


 クロ曰くこれらの情報はwikiには載っておらず、掲示板を回ってそれらしい情報を見つけたので運営に問い合わせて確認したところパッシブスキルには表記外の効果があるものもあるということを仄めかされたので実行してみた、とのこと。

 相変わらず変なところですごい行動力だなどと呆れつつも、そういう情報を自分たちしか持っていないと思うとテンションが上がる。


「じゃあ早速死霊の森に向かおうか」

「おう! 待たせて悪かったな」

「今度は僕が見つけたスキルの隠し要素を見せてあげようかな」

「なん……だと……!? というかレベルが3に上がってるだと!」

「ま、僕が何してたのかはおいおい話す機会もあるだろうし、まずはひと暴れしようよ」

「ああ、しかし二人そろって索敵系のスキルがないのは痛いな。高レベル帯ではこれじゃ生き残れん」

「ま、見敵即殺でいんじゃない? 到着するまでにどうにかできるようになるよきっと」

「楽観的だな……」

「ゲームなんだから楽しまないとね!」



 街の北門を抜けて外に出るとそこには広大な平原が広がっていた。さすがに門を出てすぐにモンスターに襲われるということはなかったが、視認できる範囲を狼のようなモンスターや二足歩行のモンスターが歩き回っており、遠くには今回の目的地である死霊の森が視認できた。

 いつでも戦いを始められるようにクロは背負っていた両手鎚を手に持つ。装備はできているが自在に取回せそうには今一つ見えない。僕自身も縛りの関係上無手で戦うことになるから、このまま高レベル帯に突っ込むのはいくらなんでも無謀だよね。

 防具に関しては、初期装備に関してのみは見逃してもらうということになってる。さすがにいろんな意味で防御力0のインナーで行動する気にはならないしね、これに関しては譲りたくなかった。


「とりあえずまだこの辺に来てるプレイヤーも少ないみたいだし、実践慣れしてない人のためにしばらくこの辺での狩りの時間にするよ?」

「ああ、パッシブスキルの攻撃力を見せてやるぜ!」


 ちなみに北の平原のモンスターのレベル帯は10~15だから正直僕たちのレベルで二人だけで戦うのはかなりつらい。けど、そこをプレイヤースキルでどうにかするのがゲーマー魂だよね!


「まずはあそこの狼から殺るよ、前衛は任せるよ」

「おう、まあ防具はガチガチだし、どうにかなるだろ」


 僕らはVRゲームならではの高揚感を感じつつ、獲物に向かって駆け出した。

10/6 ちょこちょこ表現・誤字修正

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