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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
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縛り47,急所突き禁止

「ホォヮッチャァーーー!」

「てええーいっ!」


 少しばかり離れた間合いを一気に潰しつつ【正拳】を放ってくる老師に、先読みで【スラッシュ】と【マナバレット】を放つことで相殺、しきれずにそのまま後ろに軽くふっ飛ばされる。続くもう一方の【正拳】には【スラッシュ】がいくら再使用時間〈クールライム〉や硬直が短いスキルとはいえ間に合わないから、仕方なく腕でガードする。

 ていうか何この理不尽! どこに攻撃来るかも次につながる攻撃も分かるのに回避できないとか何かおかしいよ!?


「ほう、随分と器用に祝福を使うのだな」


 クロと武器を交えている教官がそんなコメントをしてくれてるけど、正直それどころじゃないよ!? 空中で受ければ吹っ飛ぶ分ダメージ抑えられると思ったけど、速さ重視のせいか思ったよりダメージ減らなかったし。

 ともかくもう一回近づかれるまでに少しでも時間を稼ぐため、痺れる手で腰のナイフの柄に触れながら【マナバレット】をばら撒く。老師が回避のために走る方向を変えてくれたおかげで、さっきの焼き直しになるのは避けられた。


「いてえっ!」


 老師の走るスピードに合わせてすっかすかの弾幕張ってたんだけど、何も考えずに全力で走って避けようとしてくれたおかげで何発かは当たったみたい。いやでもホントどうしよう? カウンター合わせるにしても老師の方が腕長いし、かといってナイフで補うのは物騒すぎるし、ああもうっ!


「チェエイアーッ!」


 回り込むように走ってきた勢いを生かしての【ローリングハンマー】を、ギリギリでしゃがみ込んで躱す。一瞬でもと見失ってくれることを期待して【隠形】を使ってみたけど、全く気にせずにそのまま回転しての【弧月脚】。


「いやそれ下手しい死ぬからね!?」


 一対一で戦ってるのにアドレナリンがじゃんじゃん分泌されて、シューティングゲーム弾幕を潜り抜けたときとか、フレーム回避必須の立ち回りを完璧にこなせた時みたいなテンションになって来てるのが分かる。死ぬほど練習して身に着ける技術を死んだら終りの状況で初見でって無理あるよね!?


「アチョーーッ!」

「よゆうよゆうよゆうよゆう!」


 うん、僕はスミスさんを信じるよ! 大丈夫! いくらすごいリアリティでもちゃんと防具身に着けてるし!

 【正拳】二連打を頭を振って避ける。お返しに足刀での【アッパースラッシュ】を放ったけど、お互いに動いていたせいで内腿に当たるに留まった。それでも紙耐久の老師の体勢を崩すには十分だったみたいなので、追撃を加えつつ後ろを取る。


「あ、あれ止めたほうがいいんじゃないすか!?」

「ううむ、割って入れるように準備はしておこう」


 別に、女の子相手に顔面狙ってきたことに腹を立ててるわけじゃないよ。軽く掠めてほっぺたから血が出てるとか全然気にしてないし。老師にしてみれば身長差が有るからパンチが必然的に顔面狙いになっちゃうだけだしね。

 うん、ギルティ。


「うおっ!?」


 老師が振り向いた目の前に来るように撃った【マナバレット】は、上体を反らされてあっさり避けられた。反応速度も回避速度もホント無茶苦茶だね!

 でもまあかがんでた僕を見失わせることには成功したので、ダメもとで足払いを仕掛けてみる。体勢に無理があったせいで転びはしなかったものの、多少のダメージにはなったかな? どうせ模擬戦と割り切って、全開で行くべきだね!


「うおおおおおっ!?」


 格闘戦と見せかけての【マナバレット】の連射で、老師に焦りの声を上げさせることに成功。やればできるもんだね、手以外の場所からのながら連射! MP厳しいし無駄玉多いしかけらの実用性もないけどね!

 距離を取ってくれることを期待しないでもなかったけど、その場で戦おうとしてきたので、最後の手段、プランBを迷わず発動するよ! それ即ち、


「組み合っちゃえばスキルも使えないよね!」

「なんだとお!?」




 三分後、僕と老師の二人は訓練場の地面に正座させられていた。ちなみに正座を提案したのはクロなので、AWO世界に反省イコール正座という文化が有るかは不明というか多分ないね!


「ついカッとなってやった。今は反省している」

「お前全然反省してないだろ! 老師に至っては怒られてる理由も分かってなさそうだしな!」


 うん、老師は絶対わかってないね。全身で早く続きやらせろってアピールしてるね。二度とごめんだよ!


「はあ、とりあえずお願いしますロイマンさん」

「ああ。お前ら二人とも、訓練の目的を完全に見失っていただろう。それではいけない。そもそもどんな訓練もただ漫然とこなすだけでは無意味に肉体を鍛える以上の効果は得られんのだ、たとえ模擬戦といえどもそれは変わらん。そこに明確な目的と、目的に合わせた手段を確りと設定することで初めて、自らの実力を高めることが出来るということを分かっているか?」


 あ、これは長くなる奴だね……



「実戦だけではいずれ壁に突き当たることになる。そういった時に自らの持つ弱点を自覚し、克服することで初めて壁を破り成長することが出来るのだ。つまり……」

「ロイマンさん、また話がずれちゃってるんで、そろそろ本題に戻してもらってもいいですか?」

「む? そうか、祝福の扱いの話だったか」


 止めるのが遅いよクロ! これまでの十分間の説教ですでに僕の脚はグロッキーだよ! あと老師も。まあ口にしたら反省しろっていわれるだけだから言わないけどさ。


「まず二人ともに言えることだが、祝福を使う際に祝福の名を口にしていないな? それができるは祝福を使いこなしているという証だが、常にそうやって発動する癖がつくのは良くない」

「その理由は?」

「精神がぶれれば祝福の発動に失敗することがよくあるからだ。訓練で使えても実戦で同じように使えるとは限らん。況してや窮地に陥った時に正しく動けるかということだ。そういう時にこそ祝福は確実に発動せねばならん。声に出すことで発動ははるかに容易になる」

「なるほどなるほど」

「むろん強力な祝福ほど失敗しやすいのも言うまでもないことであろう。まだ扱いやすい祝福しか身に着けていないうちに無言で発動させる癖がついてしまってはどうにもならん」


 確かに、この手のゲームだとコントローラー以上に操作ミスは置きやすいし、精神状態でのファンブル判定が有るなら気を付けないとだね。関連ステータスはDEXかなMNDかな?


「不発に終わるだけならばいいが、暴発して悲惨なことになっては目も当てられん。あれはそう、俺の同郷のやつが冒険者として頭角を現してきた時だ」

「老師! 寝るな!」

「んんん、話は終わったか?」

「まだ一つ目の問題点の指摘が終わったとこだ。ちゃんと聞いとけ。すいません、次の問題点お願いします」


 クロのファインプレーで話が脇道にそれるのが阻止されたよ、グッジョブ! 教官の友達に何があったのかは気になるけど、そういうのはまた今度でいいからね!


「老師といったか、お前は祝福に頼りすぎだ。そして攻撃が直線的に過ぎる。祝福に頼りがちになるのは素手で戦う以上有る程度は避けられんが、それでももう少し工夫をしろ。まっすぐ突っ込んで殴るだけなど論外だ」

「むう?」

「俺が思っていた以上にお前ら二人には身体能力の差があったが、それでも後半まともに攻撃が当たらないくらいにお前の動きは分かりやすい。魔物相手でもそんな動き方では見切られるぞ」


 言われてる言われてる。まあ僕も思ってたことだしこれで改善されたらいいんだけどね。


「お前はもっと論外だ!」

「あれれ?」

「祝福の扱いを見せろと言ったのに、祝福を封じに行ってどうする! 稽古の目的は勝つことではなく技術を磨き隙をなくすことだ! そもそもあんな戦い方では人間相手以外には何の役にも立たん!」

「あー、うん。反省します」


 うん、我ながらちょっと熱くなっちゃったと思うし、素直に反省しよ。でも心底老師とは戦いたくなくなったよ。老師の相手は今後もクロに任せようそうしよう。


「今日のところはこんなところだ。鍛錬の後には十分な休息を取ることも怠るなよ」

「ああっしたーっ!」


 うん、クロの挨拶、どう考えてもありがとうございましたとは聞こえないよね?


組み付くといっても色気は全く無いです(笑)

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