縛り44,ルーラ禁止
書き溜めなんてこらえ性のない俺には無理だということが判明したので他のことが忙しいときは更新が止まります
「剣は重くて振り回せない。弓も引く力が足りない。木製の軽い武器では威力が出ない。分かってはいたけどなかなか戦闘は厳しいものが有りそうだねえ」
「まあ戦うつもりはないから問題はないと思うよ。寄生のようなものになってしまうのは心苦しいけどね」
「いやむしろ今後問題になるとしたら僕たちの方だと思うけどね?」
本音を言うとDEX、つまりは器用さが大きくかかわってくるような弓なんかはスキルの補正なしでも使えるんじゃないかなとか期待してたんだけど、あれって意外と力要るんだね。そしてそういう仕様な以上、この状況でこれからも生産特価で伸ばしていくことを選択できるプレイヤーの数はどんどん絞られていくわけで……
「まあ生産関連の構成でも魔法は使えたほうが良いだろうから、そっち方面に伸ばしていくことにするよ。当座は短剣でしのげばいいさ」
「うん、まあ無理はしないでね。となるとあとはリンドウちゃんか……」
スミスさんと今後の成長方針の話し合いを終わらせ、リンドウちゃんの方の問題を改めて直視する。
「ええ~い!」
「うおぅっ!」
「わわっ!」
リンドウちゃんはスミスさんと違ってレベルが多少上がっているため、多少の重さがある武器も装備できることには装備できるんだよね。だけど、装備できるということと使いこなせるということとの間には天と地の差があるということを、僕はちゃんと認識できてなかったみたいだね。
今も、ヘロヘロな動きで穂先を布で包んだ槍を稽古相手のクロに向かって突き出したものの、クロが咄嗟に避けてしまったために派手に転んでしまっていた」
「なんで避けるんですか~」
「いや、その、すまん」
ちなみにクロが避けた理由は、リンドウちゃんが突き出した槍が、どことは言わないけど人体の急所に当たりそうになってたからだね。訓練ってことでフル装備じゃないから、当たったら痛いもんね。
なんで簡単にとはいえ指導を受けた短剣じゃなく、槍の練習をしているのかというと、「悪いことは言わないからやめたほうがいい」っていう教官のお墨付きをいただいちゃったからだったり。まあ短剣以外の武器もダメそうだけど。
「や、槍はやめたほうがいいんじゃねえか?」
「そ、そうですね。じゃあ次は……」
「刃のついてない武器の方が安全なんじゃねえかな」
「あ、安全な武器じゃあ役に立たないんじゃないでしょうか?」
クロが鈍器の類をお勧めするも、こういう時に限ってリンドウちゃんの鋭い指摘が入ってしまい、ごーとぅーネクストチャレンジ。
うん、もうクロに丸投げで良いかな。訓練の過程でクロにあったサブウェポン見つかるかもしれないし。
「ほあちゃー!!」
うん、老師と組手でもしようかと思ったけどやめとこう。安全に対戦できるような道具とか、早めに手に入れないとこういうところでも困るよね。
さて、使いどころがなくて使ってない攻撃以外の魔法スキルの熟練度上げでもしとこうかな。
「結局真面目に短剣を学んだのはその二人だけか」
「せっかく教えてもらったのに申し訳ないよ」
「いや、不向きであるということがわかるのも一つの成果だ。気にするな」
「老師には素手で触れない相手への対策としてちゃんと練習してほしかったんだけどね」
「まあさまざまな技を学び、使い分けるのも大切だが、それでは強敵と渡り合うのに不足を感じることもある。得られる祝福に限りがある以上そう間違った選択でもない」
老師は最初に少し触った後はずっとスキルの練習してたからね。それなりに成果はあったみたいだけどさ。
そして知りたかった情報ドンピシャで入手できたよやったね!
「そうだ、その祝福についても詳しく教えてほしいんだよね。たぶん僕らの故郷にも同じような概念は有るんだけど、あんまりなじみが無い上に呼び方の違いも有るみたいで、ちゃんと学ぶ機会が無くて」
「祝福についてか。いったいどこの出身だ? いや、それは聞くまい。基本からだと長くなる。明日話すとしよう」
「うん、しっかりと固めておきたいからぜひお願いするよ。よろしく教官、また明日」
スキルっていう言い方で通じない可能性を危惧して今まで言い出せなかったんだけど、耐えて正解だったよ! まあ常識中の常識みたいだし、なんかがっつり疑念持たれたみたいだから誤差の範囲だろうけど!
にしてもスキル、祝福かー。この言葉のチョイスにも何らかの意味があるんだろうけど、それは置いといてやっぱり新しいスキルを得られる場所とかを調べられるようになるのは大きいよね。楽しみだよ。
「名前聞いたのに呼び方教官で良いのか」
「クロは相変わらず細かいなあ」
「私もちょっとどうかと思います」
「リンドウちゃんまで!?」
みんなで辞去していったん宿屋に戻る道すがらそんなことを言われた。だって教官だよ!? 名前で呼ぶなんて恐れ多いのに!
「う~ん、考えたら荷物とかは全部アイテムボックスに入ってるんだし、宿屋まで戻ってくる必要なかったかもね」
「どうせだしいったん休憩入れたらいいんじゃねえのか? この後町の外に出るわけだろ?」
「え~、今でないと夜になっちゃうじゃん。みんなそんなに疲れてるの?」
「わ、私はバテバテです……」
あー、リンドウちゃんは慣れない武器の扱いに四苦八苦してたし、クロはその相手としていろんな意味で危ない役目だったからそれなりに疲れてるのか。なるほどねー。
「う~ん、そしたらみんなが休憩してる間に買い物行ってこようかな。スミスさんは」
「細かい素材の加工とかをしとくから問題ないよ」
「そっか、そしたら適当なタイミングでレベリングに出駆けといて。僕も後から合流するから」
「俺も元気だぞ!」
「そうだね老師も元気だね」
老師が元気でもやってもらいたいことって特にないんだよね……
「う~ん、特に頼みたいことも無いし、せっかくだから毒でも飲んどけば? クロのお蔭でどれが飲んでも大丈夫か分かってるわけだし」
「ウマいのか?」
「う~ん、美味しかったら飲むんだ?」
リンドウちゃんに回復役と毒薬の味の改良頼んでおこうかな。うん、ぶっかけるために使うやつには関係ないけど。
一部の層には需要あるかもぶっかけようポーション。まあ売るつもりはさらさらないけど。
結局老師には何するでもなく待機してもらうことにして、僕はひとり買い物へ。まあ金欠だからいろいろは変えないんだけど、どうしても用意しておきたいものがいくつかあったからしょうが無いね。転ばぬ先の杖、降らぬ先の傘。禁止されてないなら合成魔獣の翼は常備しておく主義だからね!
些細な成果しかなくても個人的に何か金策しようかなあ。嗜好品もほしくなるだろうし、ポケットマネーは大事だよね。




