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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第二部 デスゲーム開幕編
39/162

縛り37,プログラムアドバンス使用禁止

定期更新復活の野望はあっさりとついえた。

平素よりご愛読ありがとうございます。

こんなダメ作者ですが今後ともよろしくお願い致します。

『それじゃ煮卵さん! 失敗してもフォローは出来るから気楽にね!』

『二度も失敗するつもりはない。プライドに関わる』

『ほ、本当にこっちには来ないのよね!?』

『きっと大丈夫です! それよりも煮卵さんのためにスキルの準備をしましょうよ』

『大丈夫な根拠を教えて欲しいのよ!』


 大きく体制を崩したクロから視線を外したボスが睨んでいるのはコノカさん。まあ一緒になって攻撃してたとはいえ武器も持ってない僕とじゃ与えてたダメージに歴然の差があるから当たり前だよね。今現在煮卵さんはボスとコノカさんを結ぶ直線状から一歩ずれたところで構えていて、ミルフィーユさんとリンドウちゃんは射線から離れたところで待機中。遊撃陣との距離はそこまで離れてないし、上手く止められればかなり有利に戦況を動かせそうだね。


「煮卵さんが止められなかったら僕が何とかするから安心しててね」

「私は~、作戦が崩れた要因が分からないまま戦うのが嫌だっただけで~、あの子ほど恐怖を感じてた訳じゃありませんから~」


 後衛二人を別の場所に配置するなんて解決法が有るとは思ってませんでしたけどね~なんてのんきに続けるあたりコノカさんってすごく肝が据わってるんじゃないかな?

 撤退する流れにするために過剰に怖がるふりをしてたとか、有りそうだよね。


『今だよ煮卵さん!』


 ボスの突進に合わせて、反応速度を考慮して煮卵さんに指示を飛ばす。といっても煮卵さんもそれなりに腕が立ちそうだし自力でも判断してそうだけどね。


「食らえ! 【シールドバッシュ】!」

「ブモォッ!」


 盾を使って放つ攻撃スキルは威力は低くてもノックバックが大きかったり、スタン効果が付いていたり、間接的に防御に役立つものが多いんだよね。【シールドバッシュ】もその一つで、盾ごとぶつかって装備重量に応じたノックバック効果を与える使い勝手のいいスキルで、これを使いこなせればタンクとしての選択肢が大幅に増える。欠点としては放った後の硬直が比較的大きいから、多方向から攻撃される乱戦では正面以外の敵に大きな隙を晒すこと、かな。

 横合いからノックバック効果の有るスキルを叩き付けられたことで、ボスの突進は大きく右に逸れて誰もいない方向へ。これでもう一人の壁役のクロが追いつくまでの時間をある程度稼げたかな。


『すまん。食い止めるには至らなかった』

『ううん、逸らしてくれただけでも十分だよ! グッジョブ!』

『とはいえ~、あと一回二回こちらで凌がなくてはなんじゃないですか~?』

『そうだね、受け身取るのは大変かもだけど一回くらいなら僕が突き飛ばせばコノカさんには当たらないと思うからそれでどうにかしよっか』

『一回くらいなら~、自力でも避けられると思いますよ~』


 コノカさんもミルフィーユさんも典型的な魔法使いのステ振りらしいから、自力で突進を避けようと思ったら体制を完全に崩すのを覚悟して飛び退くぐらいしかないんだよね。もちろん連続して出来るわけでもないから煮卵さんが稼いでくれた一回はかなり大きいね。

 怯ませておさえこめればそれがベストだったんだけど。って、ん?


「その牙もらったあー!! ちぇえいっ! 【弧月脚】!」

「老師!? って、馬鹿ー!」


 走ってきた老師がすごい勢いでボスに追いついたかと思ったら、ボスが振り向いたところに牙めがけて空中で回転しつつ素晴らしく勢いの乗った回し蹴りを叩きこんだ。防具もろくに着けてない脛の部分で。

 ボスの部位でも一番防御力高そうな牙に向けてそんなことをしたらどうなるかってそれは当然……


「ッ!? っ痛ええええええぇっ!」


 今老師がやってるみたいに自分の脚を抱えていた身に転げまわることになるわけで。クロの監督責任だよこれは! 何やってるのさ!

 とはいえ捨て身の一撃の甲斐あって牙への衝撃で体勢を崩して、ボスの行動を遅らせれたのは嬉しい誤算だね。


『作戦通りにボスの足止めに向かっていいのかこれは?』

『うん! 老師の犠牲を無駄にしちゃだめだよ煮卵さん! クロと二人係なら物理的に抑え込むこともできると思う!』

『え!? 老師さんまだ生きてますよね!?』

『う~ん、ボスが離れたらリンドウちゃんたちの位置に引っ張ってってポーションぶっかけといてくれる? 前衛の回復優先で』

『はい! 分かりました!』

『あんなに痛がってるのに扱い雑ね!?』


 ミルフィーユさんの言い分も理解はできるけど、遊撃役が抜けても戦列に影響ないから仕方ないね!

 と、ボスが体制立て直したね。


『来るよっ!』

「ブモォー!」

「【シールドバッシュ】!」


 今度は真正面から煮卵さんのシールドバッシュが当たったけど、当然のように押し負けて煮卵さんの体勢が崩れる。それでも気合で立て直して突進を体で止めようとするあたり、責任感の強さが見えるね。


『ミルフィーユさん、老師を回収する前に煮卵さんのフォローお願い! コノカさんは弾道曲げれそうなら射程ギリギリまで下がって【ファイアーボール】で攻撃で!』

『ユーレイさんは~、どうするんですか~?』

『スタミナの回復も終わったし、そろそろ武器も回収しなきゃだし、前に出て戦うよ。一人分のHP管理ならミルフィーユさんもリンドウちゃんも出来そうだし、それぞれ煮卵さんとクロをよろしくね!』


 【シールドバッシュ】である程度相殺したのと、その後もどうにか盾で受けたことで煮卵さんの受けたダメージは最低限に抑えられてるし、その直後にクロが合流したことでボスをその場に縫いとめることには成功してる。今ならちょっと頑張ればもう一回背中に乗ることもできなくはなさそうなんだよね。


『そういうわけだからクロ! ハンマーしまってボス押さえつけてくれない?』

『無茶言うな!』

『大丈夫! 煮卵さんにフォローするよう頼んどくから!』

『周りの人を無茶ぶりに巻き込むな!』


 そんなことを言いつつもボスが怯んだタイミングで牙を抱え込むようにして抑え着けてくれるのが有り難いよホント。


『煮卵さん、スタン狙いの盾での打撃を中心に押さえつけて! クロがいるから多少隙の大きい攻撃も使えるはず!』

『了解した』

『ミルフィーユさんはMP切らさない範囲で【ヒール】をお願い! 二人で押さえつけてればそんなに大きなダメージを受けることはないと思うからそれで十分なはず!』

『や、やればいいんでしょ!』


 ミルフィーユさんがやけくそ気味になってるけど何があったんだろ?

 そしてクロが振り回されてるなあ、アドバイスしとこっと。


『たぶん牙より前脚押さえつける方が暴れづらいと思うよ!』

『そういうことは先言え! むちゃな要求ばっかりしやがって! うおっ!?』


 ボスが大きく頭を振り乱したことでクロが体勢を崩して転ぶ。けどボスが追撃したり離脱したりする前に煮卵さんの【シールドバッシュ】が炸裂してボスをよろめかせる。ボスの突進を受けるだけになってた人と同一人物とは思えない切れっ切れの動きに言葉が出ないよ?

 クロと煮卵さんが何やら軽く会話したみたいだけど、距離が有って聞き取れないね。多分お礼とか連携の確認とかしたんだろうね。


『軌道曲げれるようになりましたけど~、撃ち始めていいですか~?』

『おお、随分早いね? その前にナイフ回収しちゃうからちょっと待っててよ』


 クラウチングスタートの構えを取りつつボスの動きをじっと観察する。

 脚にしがみついたクロを引きずるように一回転、しようとして勢いが足りずに停止。すかさず攻撃する煮卵さんに向き直るために逆方向に半回転、突進しようとするも出だしを抑えられて頭部への一撃で停止。ここ!

 その場で大きく暴れるモーションに入ったところで走り出す。右に頭を振り、次は左下。最後に大きく伸びあがるように牙を振り上げる。


「うおっ!?」

「ナイスだよクロ! 足場借りるね!」


 バランスを崩して転んだクロの鎧を足場にして跳躍。ボスは振り上げた足を下ろして硬直してる。まさに完璧なタイミング!


「岩男エグゼ! トランスミッション!」


 抜くときのセリフじゃなくて指すときのセリフって突っ込みは野暮だよ。幸いこの場には野暮な人はいないみたいだね。非常によろしい。


「お、おい、大丈夫か」

「吐きそうだ……」

「悪いが早く立ってくれ! 一人じゃ抑えられん」

「ああ、こっちこそわりいな……」


 聞こえる範囲にいた人は突っ込みどころじゃないだけですよっていう声がどこからか聞こえた気がした。細かいことは気にしたら負けだね。うんうん。


老師は地雷。

そして煮卵さん大活躍。

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