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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第二部 デスゲーム開幕編
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縛り32,虫棍バッタ禁止

「二人ともダメダメだね? かたや攻撃スキルなし、かたや碌にSTRを上げてない格闘型でそんな風にちまちまやってたら日が暮れちゃうよ?」

「多少時間をかけてでも堅実に倒せるならそれで問題ないだろ」

「画面や立体映像装置でやるタイプのゲームとかならそれでも問題ないんだけどね、ここまでリアルなフルダイブでなおかつ命がけとなると極端に長い戦闘は避けたいよね。なんだかんだまだまだ不慣れだし。そんなわけだからテンポ上げてくよ!」

「おっ、じゃあ何も考えずにガンガン殴っていいんだな?」

「老師はもうちょっといろいろ考えて殴ろうね? またあった当初の脳筋スタイルに戻ってるよ?」


 せっかく出が速くて倍率も優秀なスキルを複数持ってるのに全然強みを生かせてないよね。というかボスの防御力的に下手したら反射ダメージの方が大きいんじゃないかなそれ。


「じゃあここからは僕が指示を出すよ。まず老師は一旦距離を取ってからいつでも助走付きで攻撃を叩きこめるようにボスと同じ方向に動いてね。クロはとにかく前に出て殴りまくればいいよ! 回復役がいる以上防御をそこまで意識する必要はないんだから! 今もほとんど体力減ってないし」

「いやそうは言ってもな、吹っ飛ばされたら元も子も無いだろ」

「僕たちがフォローするから大丈夫だよ。ほれ、避けつつ体を捻ってそこからパァーンッ!」


 そんな風にクロに指示を出した上でハンマーに巻き込まれないように気を付けつつ合間合間に踏み込んではナイフでザクザクと手傷を負わせていく。本当は【ハイディング】とか使って完全に意識の外から急所を狙っていきたいところなんだけど、下手にヘイト減少のスキルを使うと後ろの人たちの二の舞になりかねないしね。まあクロの負担もさっきより大きいだろうし疲れてきたら交代する必要があるから丁度いいかな。

 そんな風にボスの動きをじっくり見つつ慎重にダメージを重ねていたところ、ボスが突進のモーションに入ったのでクロに一声かけつつさっさと射線から逃れる。


『老師、追いかけてって【正拳】二連打から【ローリングハンマー】。余裕ありそうなら追加で何発か叩き込んでもいいからすぐにまた距離を取って』

「おっしゃあ! 待ちくたびれたぜ!」

『【鉄拳】かけるの忘れないでよ?』

「ひゃっはー!」


 ちゃんとパーティーチャットで返そうよ老師…… まあさっきから手持無沙汰気味にそわそわしてたし仕方ないとも思うんだけどね。老師はボスの突進の勢いが完全に止まるまでの間に追いつくという荒業をやってのけたうえで、一応指示通りにボスに襲い掛かっていった。

 おお、老師が叩いたところから毛皮に波紋が出てる。ゲーム的なエフェクトなのか物理現象なのか分からないけどかっこいいね!


『割と順調かな? アレクさんたちの分も合わせて二割ぐらいは削れてそうだけど、自然回復は有るのかな』

『うへえ、まだそんなもんなのか……』

『むしろまだ行動パターンの変化も無いし、疲れて来たなら今のうちに休んどいたら? 前衛変わるよ』


 楽しいのはこれからだっていうのに早くも情けないことを言い始めたクロと入れ替わるべく、老師の後を追って走り出したはいいけど、間に合いそうにないねこれ。


『老師ー、下がれって言っといて悪いんだけど横っ面に跳び蹴りでも食らわせて怯ませといてくれない?』

「おっしゃー任せとけー!」


 本当に老師はよく叫ぶなあ。そのうち大声とかなんかそんな感じのスキル習得しそうだよね。もしかしたらもう習得してたりして。

 ともあれ老師のおかげで二度目の突進が来る前に追いつけたので、ターゲットを僕に移すべく本気で攻撃を加えていく。


「しょーりゅーけんっ! かっらっのっ!」


 右前脚の膝裏に飛び上りながらの一撃を叩き込んでボスの体がかしいだところに、おまけで思いっきり頭を踏み付けてもう一段高さを稼いで、空中で我ながら見事な一回転半ひねりを披露してボスの背中に腹ばい着地。お見事! 十点!

 視界から僕が消えたことと背中に何かが乗ったことが結びつかないのか、ボスは結局僕を無視してクロに再び突っ込んでいく。ロデオー! じゃなくてごめんよクロ。


『いやお前何がしたいんだよ!』

『ちょっと待って、今ちゃんとやるから。とりゃ!』


 突進の最中は振り落とされないように必死だったけど、突進終わりのスピードを落としてるときは隙だらけだし揺れも少ないから、ここぞとばかりにナイフを振り上げて思いっきり振り下ろす。切れ味がいいこともあってぶっすりと柄まで刺さったのは良かったんだけど……


「ブモォァァァッ!」

「うわっ、ちょっ!?」


 背中にナイフをぶっ刺されたのが相当に痛かったのか、まだ突進の勢いが止まってないにも関わらず思いっきり頭を振り乱してボスが暴れだしたものだから、振り落とされないようにもう一回しがみつく羽目に。ただまあしがみつく場所が悪かったというか不可抗力というか、右手で刺したままのナイフ握ってたから、振り落とされないようにしてるだけなんだけど結果的に傷口をグリグリすることになっちゃって、余計に激しく暴れて、余計にグリグリ。


「もう無理離脱っ!」


 いよいよ暴れ方が激しくなってきたところでそれ以上グサグサするのを諦めてハリウッドダイブで脱出。追撃を警戒してすぐに体勢を立て直して振り向いた僕が目にしたのは、背中のものをつぶそうとしてひっくり返った結果、ナイフがさらに深く刺さって世にも悲痛な叫びをあげることになってしまったボスの姿だった。


『本当に何がしたかったんだお前は』

『あはは、やっぱりビデオゲームみたいにはいかないね。でも、ダメージは十分与えられたみたいだし、結果オーライ……?』

『ナイフどこやったんだよ』

『ボスに刺さったままだね!』

「流石師匠! むちゃくちゃ効いてる!」

『もしかして普通に呪いのナイフ手放せてるんじゃないかなこれ?』


 確認すべく自分のステータス画面を見ると、ナイフを抜刀してる時のステータス補正と、必死にしがみついていたせいでガクッと下がったままなかなか回復しないスタミナ。そして武器無し。


『考えれる限り最悪のパターンだね!』

『アホか!』

『まーまークロはタイタニック号に乗ったつもりでゆっくり休んでなよ。交代すると宣言した以上ちゃんと壁役やらないとね! というかダメージ与えすぎてしばらくタゲ変わらなそうだし!』

『タイタニック号って沈むんじゃありませんでしたっけ……』


 リンドウちゃんが不安そうにしてるけどやっちゃったことは仕方ないよね。方針は最低限の動きで回避してスタミナを回復させつつ、隙を見つけてナイフを回収、かな。


『大丈夫! 弾幕ゲー射撃縛りに比べたらぬるいから!』

ちなみに反射ダメージは素手以外の武器の場合耐久度の減少という形になります。

攻撃によって発生した衝撃で、柔らかい方がより多くダメージを受けます。

【鉄拳】はDEF上昇スキルですが自分が受ける反射ダメージが減る分与えるダメージが上がります。

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[良い点] デスゲームでも縛りを辞めない根性 [気になる点] 弾幕ゲー射撃縛りって何で戦うんです?
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