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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第二部 デスゲーム開幕編
31/162

縛り29,王選手敬遠禁止

とにかく更新再開しないとダメになりそうだったのでいささか推敲不足かもしれませぬ……

ご指摘有ればお願いします。

「本命のボスに挑む前にレベル上げも兼ねて雑魚モンスターで練習するよ。強さと大きさは段違いだけど基本的な動きや対処法は同じだからね」


 装備の新調と点検を済ませた僕たちは街の南にある草原に来ていた。この草原は街の周囲のフィールドでも一番雑魚モンスターのレベルが低くて、たいていのプレイヤーが最初に向かうフィールドであると同時に、奥地にはノンアクティブのフィールド徘徊型ボスがいるため、初心者を脱した人が腕試しに来る場所でもある。

 出てくるモンスターは某最後なのに最後じゃないRPGでお馴染みのゴブリンに、屋台でお世話になったホーンピッグ、スッとろい魔法生物のジェル、そしてフィールドボスであるグラタンボア。


「まず一番基本的な対処法は、十分な距離を保って、いつでも動ける体勢を維持した上で、相手の突進に合わせて」


 説明の途中で豚が突っ込んできたので、跳び箱の要領で上に避けて、その背中に向けて手刀で【スラッシュアロー】を放つ。


「ほいっ! とまあこんな感じで攻撃を避けながら、突進の後の振り向くまでの時間に一方的に攻撃するやり方だね。突進自体はかなり速いけど基本的に正面に標的を定めてから突っ込んでくるからタイミングをよく見て早めに避ければまず当たらないよ。これはボスでも一緒だね」


 振り向きからの再度の突進を今度は横方向にステップを踏んで躱し、追いかけるように間合いを詰めて蹴りを叩き込む。至近距離では流石に避けきるのは厳しいので突進を仕掛けてくる直前に転がるようにして側面を駆け抜けた。

 突進が空振ったことで間合いが大きく開けたので、攻撃を一時中断して説明を再開する。


「この方法の欠点は飛び道具が無い場合近付いてから攻撃しなきゃいけないから攻撃できる時間が短いことだね。動き回り続けることになるからスタミナ面での負担も大きいしね」


 耐性スキルの恩恵も有って武器を抜かなければ呪いによるスタミナ面への負担は大したことが無いし、ステータス低下も適正レベルより高いレベルのお陰でなんの問題にもならないね。流石にボスはどうなるか分からないけどそれ以外のモンスターはこのフィールドでは問題にならなそうだね。


「で、次の方法はボス相手だと出来る人がここにはいないんだけど」


 三度振り向いて突っ込んでくる豚の足下に【スラッシュアロー】を、鼻先に【マナバレット】を叩き込んで体勢を崩し、首筋を掬い上げるように足刀での【アッパースラッシュ】。完全に勢いを殺されてふらついているところに腰からナイフを抜いて眉間を一突き。即死こそ発動しなかったみたいだけどナイフをグリグリしてキッチリとどめをさして戦闘終了。


「クロとリンドウちゃんで説明の間に解体しといてくれる? 角だけでも回収しとけばお金にはなるだろうし」

「あいよ、了解」

「真正面から飛び道具を絡めて相応の火力をぶつければ怯ませて攻撃を止めた上でさらに追撃出来るんだけど、クロはスキルがなくて火力不足だし、老師は止めるのに成功しても素手だから自分の方がダメージ多くて論外だしで実用的じゃないんだよね。だからボス相手ではさっきの方法と次の方法を中心に使うことになるよ」


 といってもそれをやるのは僕には荷が重いし実演はクロにしてもらうんだけどね。


「角はとりあえず剥ぎ取れたぞ」

「うん、じゃあもう一匹引っ張って来るからこれよろしくー」


 そう言ってクロにそこらに落ちてた小石を投げ渡す。一瞬クロはげんなりした表情を浮かべたものの何をするのかは分かってるみたいだし問題はないね。

 【サーチ】で周囲の敵の位置を確認した上で息が上がらない程度の速度で走っていちばん近い反応の方に向かってみると残念ながらジェルだったので無視して次の反応の場所へ。のんびりと草を食べていた豚に横合いから飛び蹴りをかましてこちらに気付かせた後、相手がこちらを見失わない程度に逃げてみんなのいる場所へ戻る。


「クーロー、よろしく!」

「これでも食らえ!」


 クロが全力投球した石ころは豚の前を走っていた僕の頭の横をかすめて一直線に豚の眉間には向かわず地平の彼方へと消えていった。というか怖いよ!?


「あっぶなー。さすがクロ! 野球部一の狂肩の名は伊達じゃないね!」

「うるせえ!」


 逆ギレ気味にクロが放った二投目は今度は下に逸れて豚の足元の地面に当たり、そのまま埋まった。野球だったら大暴投もいいところだね。野手がボールを掘り起こしてる間にランナーが悠々ホームに帰れるよ。

 当たりこそしなかったもののクロの投げた石ころの勢いに脅威を感じたのか問題なく豚のターゲットがクロに移ったようで、一度動きを止めた豚は僕ではなくクロに向かって突進していった。


「よっこいせ」

「ほいじゃクロ、実演よろしく」

「へいへい」


 距離が多少あったこともあって危なげなく突進を避けたクロは左手にいくつか持ってた石ころを投げ捨てると両手でハンマーを構えた。対する豚も方向転換を終えて再びクロに突っ込んでいく。その場で待ち構えるクロに豚の角が届こうかというタイミングで、怒声とともに振るわれたハンマーが威勢よく振りぬかれた。


「うおらあぁっ!」


 側頭部に撤回を勢いよく叩き込まれた豚は頭に歪な凹みを作った状態で横に倒れこみ、勢い余ってでんぐり返りをした後、そのまま動かなくなってしまった。


「……クロ、ちょっといい?」

「わりい、ミスった。すまん」

「一応二人に聞くけど、今のを見てどうやって対処するっていう話か分かった?」


 一応リンドウちゃんと老師にも振ってみると、肩や首を傾げ、肩や自信満々に頷いている。


「全力で殴ればいいんだな!」

「老師さん、さすがにそれは違うような気がします。ええと、一撃で仕留める?」

「クロー!」

「悪かったって、だからナイフを抜くな!?」


 ちなみに正解は横方向からノックバックさせる攻撃を当てて軌道を逸らす、あるいは軌道を逸らした上で回避する。だったんだけどね……

 仕方ないからもう一匹引っ張ってきたんだけどそいつは僕が豚を探してる間に説明を受けていたらしい老師がこれもやっぱり一撃で仕留めちゃったりして、練習も含めると結局午前中いっぱい走り回って豚をトレインすることになってたよ。気分は養豚場の人だね。



 さて、お弁当を食べたらいよいよボスを探しに行こっか。

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