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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第一部 VRMMO編
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縛り2,防具屋の有効利用禁止

なんか書き溜めてるぶんとの地の文の表現の差がヤバいから多少修正したけど先が憂鬱だ……

 目の前に鏡があるだけの風景とは打って変わって、視界いっぱいに中世風の街並みがあらわれた。VRゲーム自体をプレイするのは初めてではないけれど、最新のものだけあってグラフィックのきれいさは今まで遊んでいた物の比ではなかった。

 思わずキョロキョロと周囲を見回すと、自分の立っている場所が広場になっていて、周りには自分と同じような立場のプレイヤーたちがいる事が分かった。


 どうやら僕がログインしたのはそれなりに早いほうだったみたいで、他の人たちもまだまだ本格的に動き出す様子はなく、周囲を見回して感嘆の声を上げたり、その場でぴょこぴょこ飛び跳ねて感覚を確かめたりしている。

 たぶんサービスはきっちり十二時に始まったんだろうね。今ここに立っている人たちの多くはキャラメイクに時間を掛けなかった人たち、おそらくはほとんどが若い人の層なんじゃないかな。


「さてと、僕も感覚を確かめつつ待ち合わせ場所に向かうとするかな」


 広場を立ち去って街の北の方へ向かおうと思ったのだけど、あいにくとコンパスの類は持ってないからNPCを探して訪ねてみるしかなさそう。

 本音を言うならNPCとの会話なんかは最新技術を実感できる要素の筆頭だし合流してからじっくりとはしゃぎたいと思っていたりもするんだけど、あきらめて道を歩いていた小太りのおじさんに話したけることにした。


「すいません、町の北門にはどの道を通ればいけますか?」

「北門かい? 北門ならそっちの道を抜けて大通りに出た後通り沿いに右に行くのが一番わかりやすいよ」

「ありがとうございます」

「いえいえ」


 驚いた。最悪ワンパターンしか話せない懐ゲー仕様か、そうじゃなくてもせいぜいこちらの放ったキーワードに対応するぐらいだと思っていたのに、きちんと会話が成立してそうだった。

 もしかしてすべてのNPCがAIに対応しているという話はマジなのかな? パッと見でも相当数のNPCというか一般市民が街を歩いているように感じるのに……

 ちなみにNPCとプレイヤーを見分けるのは今のところとっても簡単、初期装備のダサい服を着ているのがプレイヤーでそれ以外はほぼNPCだからね。

 かくいう僕もダサいうえに肌触りの悪い初期装備で歩き回っている一人なんだけど。



 ところどころスキップしたり、ジャンプしてみたり、側転や爆転を試してみたりしているうちに、町の北門が見えてきた、気の早いプレイヤーたちが街を出る最後の準備をしている姿も見える。


「待ち合わせ場所は北門に一番近い防具屋…… の裏か~」


 門の前は人がいる、店の前も人がいる。かといってそれら以外の場所だとわかりづらいし不便だ。そこであえて店の裏という辺鄙な場所を選ぶあたりがらしいといえばらしい。

 大通りから脇道に入って店の裏手(と思われる場所)にたどり着いたはいいけど、待ち合わせの相手はまだ来てないし、プレイヤーはおろかNPCすら見当たらないしで完全に行き詰ってしまった。


「早く来ないかな」


 あまりにもすることがないので、ガラスに映った自分の姿を眺める。そこに移っているには、ここが現実世界だと錯覚してしまいそうなほど見慣れた自分の顔と、だぶだぶでパッとしない色のシャツと半ズボンに薄汚れたサンダルというダサい出で立ち。

(早く装備変えたいかも、というかこのゲームの装備ってオシャレなんだろうか)

 現実世界での今の髪型よりもちょっとだけ長い髪の毛をいじってみる。

 お下げ、ポニーテール、三つ編み……

 髪留めの類は持ち合わせていない(というか所持品欄にはナイフしか入ってない)ので髪型は固定できないが暇つぶしにはなった。


「わりい、待ったか?」

「う~ん、割と待ったよ」


 そうこうしてる間に待ち人が来たので髪の毛を下した。うん、やっぱりこれが一番落ち着く。


「悪かった、後でポーションおごるから」

「うむ、苦しゅうない。じゃあまずは恒例の自己紹介から行こうか、VRだから動画はないけどちょくちょくSS撮って行く?」

「どっかに投稿する予定なら撮っておけばいいんじゃね? まず俺からな、ハンドルネームはクロ。MMORPGはそこそこ経験がありますよっと。ハンドルネームの由来はじっちゃんちのペットな」

「大事なことを言ってないよ?」

「あ~、はいはい。今回の『AWO』における縛り内容は≪アクティブスキル使用禁止≫だ。ホント誰だよこんなVRゲームの醍醐味を否定するようなロクでもない縛り考えたやつは!」


 そんなことを言ってこちらを睨みつけてくるが、見慣れた顔に加えて装備が初期装備の半ズボンということもあり全然迫力を感じない。


「はいは~い、ロクでもない縛りを考えたやつことユーレイです。僕に課せられた縛り内容は≪呪いの装備品限定≫です。しばらくこのダッサイ装備で過ごすのだと思うと憂鬱でなりません」

「……茶番はもういいか?」

「うん、十分。うっかり本名で呼ばないように配慮しようねっていうだけだし」

「とりあえずお互いのステータス確認するか」

「うん」


 一通り悪ふざけしたらなんか逆にテンションが下がってしまい、黙々とクロのステータスを確認する。


NAME:クロ


VIT(体力)   11+1

STR(筋力)   14+2

DEX(器用さ)   7

AGI(素早さ)  12

INT(賢さ)    7

MND(精神)    8

LUK(運気)    2


 結構高めだな~、AGIとSTRを中心に振り分けたのかな?

 ………………


「プッ、アハハ! なにこれLUK低すぎだよ!」

「うっせえ! というかお前のLUKが意味不明に高すぎんだよ!」


 調整ステータスじゃなかったのかよなどと呟くクロをしり目に思う存分おなかを抱えて笑い転げた。


「あとはスキルだね、さあて、この過酷な縛り内容でクロ君はどんなスキルを選んだのかな?」

「さっきは俺からだったんだしスキルはお前からばらせよ」

「しょうがないなあ、聞いて驚け! 【斬撃】、【汎用魔法初級】、【根性】、【隠密】、【菓子生産】のいつつだよ!」

「……冴えねえな」

「ひどいっ! 呪いの装備しかつけれないとドロップ品縛りが実質的につくから特化型スキルが使えないんだからしょうがないんだよっ?」

「俺のスキルは【筋力強化】、【生命力】、【腕力強化】、【脚力強化】、【採集能力】の五つだな」

「うわぁ、これはちょっと引くよ」

「お前のせいだろーが!」



「さあ! いつまでも喋ってるだけじゃゲームの意味がないよ?」

「わかってるからそのわざとらしいドン引き顔をやめろ!」

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