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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第二部 デスゲーム開幕編
25/162

縛り23,命令違反禁止

更新再開から一週間もたたないうちに大幅な遅刻……

日付も変わってしまった……


この土日に頑張って来週は遅刻なしを目指します!

 時は少々さかのぼり……




「う~ん、ばたんきゅ~」


 そんな間抜けな声と共にユーレイがぶっ倒れたが、それに対してどこの落ちゲーのキャラだお前はというツッコミを入れる余裕の有る人間はこの場にはいなかった。

 なんせついさっきまで場を取り仕切ってた奴が、いきなり抜刀したかと思ったらそのままぶっ倒れたのだ。しょうもないボケをわざわざ回収している場合じゃない。


「なんだ!? 敵襲か!?」

「わわわ!! ナイフが!? ユーレイさんが!?」

「あ~、二人ともとりあえず落ち着いてくれ。今状況を確認すっから」


すっかりパニクっている老師さんとリンドウさんに声を掛けて、倒れているユーレイに慎重に近づく。ただ気絶しているだけなら問題無いが、もし混乱や狂化だった場合、ユーレイの装備の特性上リアルに俺の命に関わる。


「呼吸は…… ちゃんとしてる。となると気絶してるかどうかが問題か。なんだっけ、瞳孔の反射とかで確認するんだっけか。混乱と区別出来るのかは知らんがとりあえず目開かせてみるか」

「あの、クロさん? 早く介抱しないとダメなんじゃ……?」

「ああ、まあそれはそうなんだが……」


 なんと言っても武器の効果が即死なのだ。状態異常にかかったまま急所を正確に狙われることなんてそうそう無いだろうが相手がユーレイであることを考えると油断は出来ない。今回ばかりは「ごめーん、ついうっかりやっちゃったー」では済まないのだ。

 とはいえいつまでも時間を掛ける訳にもいかないのも事実だ。俺は意を決してユーレイに近づくと、原因と思われるナイフを鞘に納めようとした。が、


「ちっ、持ち主以外が納刀するのは無理か……」

「さっきからクロさんは何をやってるのです? というかユーレイさんはどうしていきなり倒れたのです?」

「まだ推測だが呪いの装備の影響みたいだな。顔色は悪いが熱は無いし、恐らくスタミナ切れだろうな」

「ではクロさんはユーレイさんの呪いを解こうとしているのですね。納得しました」


 まあ俺は呪いをどうにかするスキルを持ってる訳でも無いし呪われてるのもユーレイじゃなく装備だからその言い方は語弊が有るんだが、まあだいたい合ってるし別に良いか。脈拍は特に異常無し、と。


 そんなことを考えてスルーしたのだが、その後リンドウさんは予想外のことを訊いてきた。


「あの~、後ろを向いていた方が良いですよね?」

「……は?」


 見てみればリンドウさんは何故か顔を真っ赤にして、手をバタバタと奇妙に動かしていた。


「いえ、あの! ほら、呪いを解くっていうからやっぱりその…… キ、キ、キスとかするのかなって……」

「確かに童話かなにかでそんなんがあったような気がするが……」

「わわ、忘れてくださいっ! 眠ってるユーレイさんがなんだかお姫様みたいだし、クロさんもかっこいいから絵になるかななんて思っちゃっただけですから!」

「お、おう」


 リンドウさんの否定する勢いに思わず怯んでしまったが、お姫様ねぇ……

 確かにこうして眠ってる分には現実と違う髪型も手伝って、美少女の部類に入るとは思うが、中身があれだからなあ。そもそも呪いで眠りに就いてるのだって完全に自爆だし、こいつには童話の主人公は無理だな。


「ユーレイに関してはどこかの宿屋に寝かせて様子を見るしかないとして、俺らはこの後どうする? こいつがこんなだししばらくおとなしくしてるのもありだと思うが……」

「お、ようやくそっちの話が終わったのか? なんだかさっきからちょっとパンチが上達した気がしてな。早く実戦で試してえぜ!」

「どうやら一人じっとしていられない人がいるみたいだね」

「そうみたいだな…… となるとあとはどこで戦うかか。リンドウちゃんも町の外に出るのに異論はないか? 別に強制じゃないから宿屋でユーレイを見ててくれてもいいぞ」

「あ、すいませんボーッとしてました。ええと、私はとんでもなく危険というわけじゃないなら行きたいです。いつかはきっと行かなければならないんですから」


 へえ、結構しっかりと考えてるんだな。勢いだけでものを話すどこぞの誰かさんとはえらい違いだ。誰とは言わないが。


「じゃあとりあえず宿の確保をしつつこの後の予定を相談するか」

「ユーレイ君の提案通りに行動するんじゃ駄目なのかい?」

「や、それでもいいんすけどね。コイツの提案もそれなりにリスキーだし、コイツを宿に運ぶ時間とかも考えるともう一回話したほうがいいかなと」

「ふむ、しかしそれでユーレイ君が納得するかい?」

「うっ、それは確かに……」


 ユーレイは物わかりが悪いわけでも根に持つタイプでもないが、こだわりを持って物事にあたるタイプのためその場で反対しなかったのに意見を曲げられたら機嫌を悪くするかもしれない。この状況でそれは避けたいところだな。

 この状況でもなければユーレイの提案通りに行動するのに何も問題がなかったりするあたりが皮肉だが。


「別行動すればいいんじゃないかな。僕が宿屋を探してユーレイ君を運ぶから、君たちは予定通りに出発すればいい」

「それはそれで大丈夫なのか……?」


 スミスさんは外見からしていかにもなインドアタイプで、人を一人運ぶのは大変そうに見えた。と、そんな俺の思いを見透かしたのかスミスさんが口を開いた。


「いくらステータスが偏ってるといってもリアルと変わらないくらいの筋力はあるからね。女の子を一人運ぶのくらいなんのことはないよ」

「あ~、顔に出ちゃってたか。すいませんっした。まあそれだけじゃなくて、一応こいつも女だし誰か一人に任せるっていうのもいろいろ不安だと思ったんで。疑ってるわけじゃないんすけどね」


 かなり失礼な俺の発言に対してスミスさんが怒るかとも思ったが、実際は苦笑いを浮かべただけだった。


「僕以外にもどんな人がいるかわからない以上そういう危険を考えるのはいいことなんだけど、不要な心配だと言っておくよ。自分で作っておいてこんなことを言うのもなんだけど、そもそも服を脱がせることができないんだから何かしようと思っても物理的に不可能だろう? まあさっきリンドウ君が言っていたみたいにキスならできると思うけどね。それでユーレイ君が目覚めてしまったら不埒な輩がどうなるかは想像したくないね」

「た、確かに」


 予想だにしなかったことを言われて間抜けな顔をさらしちまった。リンドウさんもポカンとしていて、俺がどんな表情をしているのかもはっきり予想できる。

 微妙な空気になったところに、老師の笑い声が響いた。


「クッ、アハハ! なんだその理由は! バッカみてえだな! なあ、もういいだろ? さっさと行こうぜ!」


 そんな無責任なことを言い放った後に、腹を抱えて笑い出す老師。そんなに面白いとは思えないんだがな……


「じゃあなんかもうめんどくさいし、後からユーレイのやつになんか言われても面倒だから当初の予定通り行動すっか。ただそれだとスミスさんのレベルが上がりませんけど大丈夫ですか? 一応経験値周りの確認もかねてパーティーには入ってもらいますけど、レベルの上りが遅くなるのはそれだけ危険が長引くってことになりますが」

「構わないよ。本当にボスに挑むことになるのかは知らないがいずれにしても僕は今回は不参加以外の選択肢は最初からないようなものだったからね。何か素材を持って帰ってきてくれることを期待して待っているよ」

「わかりました、じゃあコイツのことは任せます」


 ユーレイをスミスさんの背中におんぶするような形で預けて、町の外に向かうことになった面子の方へ向きなおる。


「今から出発するが、二人とも覚悟はできてるか?」

「はいっ! 大丈夫です!」

「あったりまえだろ! むしろお前が遅すぎるぐらいだぜ!」


 狩場に到着してすぐにこの時の覚悟が試されることになるのだが、俺たちがそのことを知ることができるはずもなく、俺たちはレベルを上げるべく町の外へ出たのだった。

嘘も方便ってありますよね……

良いことか悪いことかは抜きにして。

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