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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第一部 VRMMO編
18/162

縛り17,ムービースキップ禁止

さあ、俺たちの(〆切との)戦いは始まったばかりだ!


1/16 カースクロースの必要MNDを調整

「今にも吐きそうなぐらい気分悪いよっ! ゲーム内だから吐かないけどねっ!」


 防具の具合を聞いたら喜色満面でそんなことをのたまいやがった。毎度のことながらこいつは確実に頭のねじが一本はずれてると思う。まあいまさらだが。


「あー、スミスさんよ、あの防具はいったいどういう効果してるんだ?」

「ふむ、それが実はよくわからないんだ。効果欄には『呪い(装備解除不可)』としか表示されてなくてね、装備してみない事には効果までは分からないんだ」

「たぶんスタミナが時間減少してるんだと思うよ! スキル連発した後とか走り続けた後みたいな感覚だし!」

「なんでお前はそんなに生き生きしてんだよ!?」

「いえーい! ちなみに純粋な性能はこんな感じだよ」


カースクロース

DEF 37 MDEF 39  必要MND 8

『呪い』


カースズボン

DEF 34 MDEF 36  必要MND 8

『呪い』


呪いの靴

DEF 21 MDEF 19  必要MND 6

『呪い』


 確かにスペックは高いが、防具三つつけただけで吐きそうになるとか大丈夫なのか? こんなことなら余計な気を効かせない方がよかったかもな。

 ともあれ、


「とりあえず防具はそれで十分だな。スミスさんありがとうございました」

「まあちょっと待ちたまえよクロ君。さっきから言ってるが君のその店売りの防具を何の調整もエンチャントもしてない状態で使ってる状態ははっきり言って今のユーレイ君より貧相だよ」

「そういえばなんだかんだ言ってクロの装備ってダサいよね」

「そこまでなのか…… つっても予算的にこれ以上の重鎧を買うのは無理だし、品質を上げて軽鎧にすると防御力落ちるしな」

「その程度ならサービスでやってあげるからそのヘビーメイルだけ置いて行きなよ。サイズを調整するだけでも動き易さとかはだいぶ変わるはずだからね」

「助かるよスミスさん! さっさと装備外しなよクロ!」


 ユーレイがスミスさんの側に着いたせいで防具の調整を依頼する流れを断れなくなってしまい結局タダ同然の値段でサイズ調整をしてもらうことになった。それが仕上がるまではほぼ全身フル装備なのに上半身だけ初期装備のだぶだぶのシャツで行動するわけか。

 まあ装備重量自体は軽減されるわけだし別にいいか。



   ◆   ◆   ◆


 ついに悲願の初期装備脱却を果たした僕はスミスさんに丁寧にお礼を言った後、クロと一緒に街の大通りまで出てきていた。

 装備はそろったし回復アイテムも少量だけど残ってるから、今日はこのまま時間目いっぱいまでレベル上げでもして遊びたい気分だね。せっかくだし一昨日知り合った人にも声をかけてみようかな。


「さて、どこで狩る? 北の平原は何度も通ってるから南の平原? それとも東か西に行ってみる? 東は確か森になってるんだよね?」

「狩りに行くのは構わないけどその前にちょっと寄るとこあるから寄っていいか?」

「これ以上街を出るのが遅くなったらほとんど外で遊ぶ時間が無くなっちゃうじゃん!」

「まあそう言うなって、お前もきっと気に入るだろうし」


 気に入る? ということは誰か紹介したい人がいるか、何か受け取る予定のアイテムがあるってことかな?

 しょうがないから付き合ってあげることにしよう。


「場所はどこら辺なの? 時間がもったいないからそこに一緒に行く人も呼んでそのまま行こうと思うんだけど」

「場所は南の方だな、かなり裏手の方にあるから門からはちょっと遠いな。大体街のこの辺だ」

「そこって結構入り組んでるところだよね? そしたら待ち合わせは大通りか門のほうが良いかなあ」


 なんて会話をクロと交わしつつ、フレンドコールを送って一緒に狩りに行けるかを確認する。どうやら起きたばかりだったみたいで特に何の問題もなく一緒に行くことになった。

 実はこの人とクロを引き合わせた時にクロがどんな反応するかが結構楽しみだったりする。なかなか希少なプレイスタイルをしてる人だからね。


 二十分ぐらい歩いたところで、今回の目当ての人らしき人物が道端に座っているのを見つける。なにやら目の前に並べているところを見ると露店みたいな感じなんだろうけど、どうせ店を開くならもう少し人通りの多いところに開けばいいのに……

 ちなみに吐き気というか全身の倦怠感は継続中、歩いたらひどくなったから走ったりしたらどうなるのかすごく不安だね。


「来たか……」

「バークさんおはようございます。で、出来はどうっすか?」

「ふん、お前の持ち込んでくれた素材のせいで当面は無理だろうと思っていたレベルの納得いく一本になった。それこそナンバリングするにふさわしいやつをな」

「そんなものを一晩で作っちゃって大丈夫なんすか?」


 店主のお兄さんとクロが会話してる間、僕は露店に並べられている商品を眺めていた。

 そこに並んでいたのは、細く薄い刀身のナイフ、刃が波打ったナイフ、切っ先が鉤状になったナイフ……

 恐ろしいまでのナイフの充実度だね、というかナイフしか売って無いよ。そして不思議なことに多種多様なナイフが全部分類上は『冒険者のナイフ』だよ。


「うわっ、実物の迫力は半端じゃないっすね」

「ま、俺もナイフづくりに関してだけならどの生産廃人よりも上行ってる自信があるからな」

「バークさんいったいぜんたいどういうスキル構成してるんすか」

「まあ企業秘密だ。で、そこにいるお嬢ちゃんがこいつの使い手ってわけか? なるほどとんでもねえ装備してやがんな」

「え? 僕?」

「案の定話聞いてなかったな。まあ早い話俺が集めた素材で昨日のうちにお前の武器の作成を依頼してたっていうことだ」


 ちょっといきなりすぎてどこから突っ込めばいいのかわからないかな。そもそも武器に使えるような素材を入手した覚え自体ないし、そんな武器を作れるような人といつの間に知り合ったのかも見当がつかないしね。

 まあでもわざわざ僕のために用意してくれたっていうのは素直にうれしいかな。


「武器ってナイフなんだよね? 僕にも実物見せてもらっていいかな?」

「見せるも何ももう金も素材も受け取った後だからな。今になってモノを渡さねえって話はねえから安心しな。クロもそれでいいな?」

「ああ、というか普通の人はそのナイフを装備する気にはならねえっす。あ~、てか確認してなかったけどお前は使うよな?」

「もちろん!」


 僕がそう答えるとバークさんは手に持っていた大振りのナイフを差し出してきた。鞘に収まっていて刀身自体は見えないけど柄と小さめの鍔の部分の装飾からだけでもとんでもない存在感とそこはかとない厨二臭が漂ってきている。

 僕自身のレベルが高くないから余計にプレッシャーを感じるのかもしれないけどそれを加味しても明らかに今出回ってる素材で作れるレベルをオーバーしてると思う。街の近くのモンスターなら普通にザックリ切れるんじゃないかなこれ。


「ねえクロ、ナイフってなんだっけ?」

「俺に聞くなよ。そんなことよりスペックの確認もしといたほうが良いんじゃねえの?」

「そうだぞ、俺のナイフはオシャレのための武器じゃない。細部の装飾にも当然こだわってはいるがそんなのはおまけに過ぎん。そもそもナイフの美しさというのは刀身自体の機能美を兼ね備えて初めて……」


 語りだしちゃったよ、クロの顔にも「あ、この人めんどくさい人だったんだ」って書いてあるのがありありと見える。でも顔も知らない僕のためにナイフを作ってくれた恩もあるし、話の腰を折るのは申し訳ないから長くなり過ぎない限りはちゃんと聞こうかな。

 ……ハァ。

ナイフだけに特化した職人さん登場。

ナイフって需要そんなにあるのかとか言ってはいけない。

シーフ系の人とかに結構需要ある、たぶん……

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