縛り158,転居禁止
今回で戦闘パート終えようと思ってたのに無限に伸びる…… なぜ……
法事で更新作業できるの今日だけなので分割して更新です。続きはおそらく二月になります。
適当にサブタイトルつけたら以前の話と被ってたので変更しました(2/9)
「ヴェ――」
「チャンモ!」
チャンモとはチャンスモーションの略で、プレイヤーが殴りに生きやすいモンスター側の行動のことである!
戦闘が始まってどのくらいたったのか、あまりに長い緊張状態に徹夜数が多い人からだんだんとランナーズハイに呑まれていき、それに引っ張られるように僕のテンションもちょっとおかしくなってるね。誰に説明してるんだろ。
「ヴェアアア!」
「【バトルクライ】! ヒャッハー!」
今世紀末チックな雄たけびを上げたのが〇549さん。全員同じ顔な上に徹夜テンションでキャラ崩壊されるといよいよ使ってるスキルや装備くらいでしか見わけがつかなくなって困るね!
範囲挑発しつつ味方の精神力を微増させるスキルが、当たり前のようにダメージスキルとして使われて分体攻撃を発生と同時に動きを止めさせる。そこから一拍遅れて次は魔法攻撃。
「『火よ、魔に満ち爆ぜよ』【ファイアーボール】!」
相変わらず【ファイアーボール】っぽくない詠唱で放たれた火球が本体に着弾して爆発。発生地点で硬直していた分体のうち半数をもろともに吹っ飛ばす。
ちなみに今回の戦闘で一番ピンチだったのはいきなり「閃いた!」とか叫んだキングカメさんがこの詠唱パターンを試そうとして盛大に自爆した時だったり。
「「【スラッシュ】」」
撃ち漏らしを狩るのが僕とカチ割り赤さんの仕事。それぞれ呪いの杖と|呪いのナイフ()・・・・・・で物理攻撃に耐性のある分体を強引に落としていく。
お互いにカバーしあいながら、被弾しそうになれば攻撃して硬直させることで数を一体まで減らしたところでカチ割り赤さんに任せて本体を滅多打ちにする。
「これもはや音ゲーですよね~。トットットットッ」
攻撃で硬直させることが出来て、撃破するか被弾し終えるまで本体が他の攻撃やワープを使わないのがこの分体攻撃の特徴。魔法攻撃力皆無の鉄製のレイピアが分体の硬直が解ける毎に75~80くらいのビートで刻み込まれていく。
分体、空中を飛び回る上に接触中持続的にドレインしてくる厄介な攻撃だけど、その分どんなに弱い攻撃でもちゃんと怯んでくれるっていうね。途中は動きを止めるのに棒切れを使ってたんだけど…… 分類上木製装備の棒切れよりも金属製装備の方が魔法攻撃力は低かったんだよね。
「あと五秒です~」
カチ割り赤さんの宣言からきっちり五秒後最後の分体が消えて、分体攻撃が失敗したときの特殊モーションとして小範囲の衝撃波を伴う叫び声。
滅多打ちの間にきっちりと〇549さんからヘイトを取り戻したことを確認してから、再び分体攻撃が使われるまで中距離での回避に専念。レモンさんはここでダメージ稼ぎがてら僕が動きやすいように光属性魔法を適宜打ち込む係。
「大丈夫? MP回復しようとして寝ちゃってない?」
「問題ない」
過剰にMPを注ぎ込むことで火属性への変換をあえて失敗させ、無属性の追加ダメージを上乗せするとかよくわからないこと言っていたけど、作戦の要の一つの爆発するファイアーボールはけっこうMP消費が激しいらしいので一撃を放つ以外はひたすらMP回復に専念。寝不足だとそこの効率も落ちるみたいで、いかに長時間カチ割り赤さんが分体を足止め出来るかはすっごい重要。
「七徹の人も大丈夫?」
「……あ? ああ」
「ホントに大丈夫!?」
ヘイト管理は上手くいってそうとはいえ寝てるところに大技食らったらそのまま死にかねない戦闘だからね!?
ここしばらくは全員ノーミスだからヒーラーの仕事がなくて眠くなるのはわかるけど!
「分体の数が少ない?」
長時間の反復作業でどんどん最適化された動きの中で唐突なイレギュラー。体表には毎回八体の分体が現れていたのに、今回に限ってそれが六体しかいなく、しかもそのうち四体が後衛と反対側に出てるあんまり良くない配置。
「そんなの知るかぁー!」
「……! 『火よ、魔に満ち爆ぜよ』!」
変化にやけくそ気味に即応した〇549さんと、一瞬判断を迷ったキングカメさん。その小さなラグがハメ技として成立していた攻略パターンの崩壊に繋がる。
【ファイアーボール】が着弾したときには既に動き始めていた後衛側の二体の分体は爆風で硬直こそしたものの生き残ってしまい、反対側の四体は当然存命。そうすると当然僕とカチ割り赤さんの対処能力からその分はみ出すわけで……
「【スラッシュ】!」
「【ライトボール】」
咄嗟に数を減らすためにスキルを使ったけど、同じ判断をしたレモンさんと標的が被ってしまい、残り五体。カチ割り赤さんが二体受け持ってくれても、残り三体。バラバラに動き出しているそれらのうち二体は僕が止めなきゃなんだけど……
「ひょええええ!?」
イレギュラーに対応してもその後の展開は想定していなかったらしい〇549さんが後退してしまったことで複数を迎撃するために〇549さんの近くで迎え撃つことが出来なくなっちゃった。僕よりも分体の方が移動速度としてはずっと早いんだよね。そうじゃなかったら走って逃げ続けてる間にフルボッコにできるっていう話だし。
とにかくレモンさんに声かけして今度こそ一体ずつ処理。残り一体なら〇549さんが避けるなり攻撃して怯ませるなりしてくれれば!
「のわあああああ!?」
「うん、読めてたよね!」
単純にパニクった状態で対処するのは難しい攻撃なんだもの。分体の憑りつき攻撃を〇549さんが被弾しちゃった以上、本体を殴っても吸収した分で回復されちゃうし、憑りついた分体はその時点で攻撃が通じなくなるから引きはがすことも不可能。うん、そうなっちゃったものは仕方ないね!
「カチ割り赤さん!」
「【ダブルスラッシュ】!」
カチ割り赤さんが受け持っていた二体を即座にスキルで仕留めてくれる。これで飛び回っている分体はゼロ。
「くぅっ……」
そして本体に巨大な目玉が複数現れて全域の金縛り攻撃。金縛りは初期装備で散々経験したし、もう少し状態異常にレジストしやすい装備なら無効化して殴りに行ける気がするんだけどね~。
分体が吸収を終えて戻っていくまではこっちは行動不能。被弾が一体だけなのは不幸中の幸いかな。攻撃終了時に残ってる分体の数で持続時間が変わるみたいだし。
「ぶはぁ! 死ぃぬかと思ったぁー!?」
「勝手に死なないでください~!」
「ヘイトまだ〇549さんだよ! 気を抜かないで!」
「どぅええ!?」
金縛りが解けると同時に立て直しと状況確認。本体を殴れなかった分〇549さんが稼いだヘイトを僕が取り返せてないのは結構な問題だし、今の行動パターンの変化の理由も可能なら特定して共有したいし。
「【クイックヒール】」
「七徹の人! 良かった起きてた!」
「ずっと」
「そうだね寝てないね! 分体の数が減った理由分かる?」
後衛で一番余裕のある七徹の人がモンスターの状態を見るスキルを使ってくれてたはず! それだけで分かるかは期待薄だけどせめてヒントだけでも!
「HP」
「ええと? 【チャージスラッシュ】!」
〇549さんへの噛みつき攻撃をインターセプトしてヘイトを稼ぐ。後衛の人も攻撃してくれてるけど、MP回復を挟めてない分可能な限り僕とカチ割り赤さん中心に援護しなきゃいけない。
HP? モンスターの残りHP? 分体の数と関係あるっけ? 分体を出すのにHPを使うから?
「分体を一体出すのに使うHPは固定……?」
「おそらく」
なるほどね! 分体を出し終わった後に残すHPの最低値が決まってて、そこに足りない分だけ数が減るってことね! よかった、HPが減った結果少数精鋭で分体出してくるとかじゃなくて!
……いや、良くないよ! 分体攻撃の最低値下回ったらそれ以上使ってこないってことじゃん! 攻略パターンしっかり変わっちゃうじゃん!
「【チャージスラッシュ】! わっ!」
噛みつき攻撃を打ち落としたところで、。〇549さんに向かってた口がグインとこちらに方向転換してきたのを何とか避ける。
「た、助かったぁ~」
無事にヘイト奪取出来たけど今度は僕が頑張って避けなきゃなわけで……
僕に変わって援護に余裕ができると踏んだカチ割り赤さんが作戦を相談してくれる。
「ええと、先ほどの分体攻撃で残った分はどのくらいでしたか~?」
「一割」
「それで、ドジで吸収されちゃった分は~?」
「二回」
「分体攻撃の間に稼ぐダメージ二回分ですか~。分かっていましたけど相手の火力と耐久はとんでもないですね~。次の次の分体攻撃で、最後の分体攻撃を使われて、なおかつ数がなるべく減るように調整しましょうか~」
「分かった」
「はい、観測と指示はお願いしますね~。可能なら二体分、目安は三体分でしょうか。それで使ってこなかったら少し被弾してもらいましょう~」
なんてスムーズな作戦立案! でも最後の辺り合理的だけど容赦なさすぎないかな!
そこから各自の動きを考案、確認していく。分体の数が減るなら最後は範囲攻撃じゃなく単体攻撃で処理して、その分僕とキングカメさんは本体に高威力の攻撃を撃つことを優先するだとか。直前の分体攻撃で本体へのダメージを減らす分、僕がヘイトを奪いきれるようにレモンさんが攻撃を控えて調整するだとか。
そして、最後の分体攻撃の間に削り切れない分をどうやって削り切るかとかね。
敬遠していたルビ機能使ってみたけどちゃんと使えてるかどうか……




