縛り155,操作キャラは騎士で固定
これが十一月分の更新だとあとから言い張る可能性は多分にありますが更新です。
「言い出しっぺの法則! 言い出しっぺの法則!」
「なんですか鬼の首を取ったみたいに。しばき回しますよ~?」
「言い出しっぺの法則!」
「言われなくてもやりますよ~。うひいいいいいい!?」
「恐怖状態でこれやるのキツいんだけど、全身行かなきゃダメ?」
「取り押さえる人がいないんで気合でお願いします~」
「気合が入らない状態異常なんだけど…… 無理無理無理無理!!」
「押すなよ! 絶対押すなよ!」
「早く逝ってタンクに戻れ」
「ぎょのぴええええ!!」
「バフかけました」
「了解。あばばばばばばば!」
「七徹の人、起きてる?」
「問題ない。入るぞ」
「あれ? 平気?」
「意識飛んでますね~」
「要救助だよねそれ!?」
ダイジェストで検証の様子を振り返ってみたよ! その結果として言えることが一つ!
「回れ右して帰るべきでしょ! 完全に相性ダメなやつじゃん! 全員にMNDデバフつけて来るべきマップじゃないよ!」
「バフや装備品の品質でダメージ量に変動はあり。相手へのダメージは無し。どころかMPが回復して魔法攻撃の頻度が上がる。なるほどなるほど」
「あ~、つまり?」
「頭動かないから徹夜してない人にメッセで内容送りましょうか~」
「仮説」
「お、あるの?」
「抵抗判定はMNDでダメージは魔法属性」
「数値見るとありそうか。MND上昇アクセ持ってる人」
ダメだ聞いてない…… 変人なうえにコミュニケーションへの意欲足りてなくない? これ一応勧誘だよね? 人選ミスじゃない? あ、寝不足テンションと勢いで突撃してきただけだったね!
「撤退する程苦労はしてないと思うのでこのままここでドロップと経験値回りの確認もしたいんですけどユーレイさんはまだお時間大丈夫ですか~?」
「ツッコミを断念した以外は大丈夫だけど…… もうそろそろ完全に日が暮れるし、そうなったら奥に行くのは厳しくない?」
「奥、ですか?」
なんとなくカチ割り赤さんとばっかり会話してる気がする。
メッセージの編集に忙しそうなのは〇549さんかな、七徹の人は立ったまま目を閉じてるし。残りの二人はこっち見ながら何か会話してるね。どっちが誰だっけ……
「どれだけ新情報出てくるんですかね……」
「不明」
「これがトップ層ですか」
トップ層ね…… 今でもその立ち位置を維持できてるかは自分としてはかなり怪しいところだと思うんだけどなー。スタートダッシュで目立っただけでそれ以降は真っ当に強い人の方が着実に成長してると思うし。
う~ん、別に周囲の期待に応えるとかはどうでもいいんだけど、他の人がやらないことを率先してやった恩恵は確かにあったかも。
「うがああああ! 数値が合わない! ナンデ!!」
あ、〇549さんが発狂した。まあゲームで頭使ってるとよくあることだよね。
「精神ステータスと魔法防御力でほぼ確定なはずなのに私の時だけあからさまにHP減少速度がずれてる! 別のステータス影響だと考えるとそれはそれで数値に整合性取れないし!」
「う~ん、とりあえず切り上げてもらっていい?」
「三徹目と四徹目で寝不足の状態異常の段階に差があってそれが特定属性へのダメージ係数に影響してる……?」
「てい!」
カチ割り赤さんのチョップ再び。
意識を飛ばした〇549さんをレモンさん達が無言で叩き起こしに行く。
「〇549さんへの扱いがどんどん容赦なく……」
「普段は誰が誰とか気にしてない時間も多いのですけど、識別してみると思った以上にウザかったんですよ~」
「もろに【変装】の弊害出てるじゃん!!?」
「プライベートでは知り合いじゃないからこそのびのび活動できるギルドです~」
「僕今まさに素顔を晒してるんだけど勧誘方法間違えてない?」
「確かにそうですね~。掲示板での勧誘を中心にするように具申しておきます~」
この人たちさては本気で僕を勧誘するつもりないね?
まあそれはいいや。
「この辺のモンスターもレベルは低くないんだけどそろそろ適正レベル以下になってきてるから、僕が今後狩場にしたいのはここじゃないんだよね」
「それは…… 未踏破マップということですか?」
「う~ん、そういうことになるような、ならないような」
カチ割り赤さんが一転まじめな表情で不安そうな声を上げる。死んだら終わりっていう状態で何の情報もないところに突っ込むのは相応にリスキーだから当たり前だよね。
いや、情報が足りてないところの隙間を埋めに突っ込むのもあんまり変わらないよね?
「そもそもマップごとに三種類か四種類の敵が出てくるバランスの中で、ここだけ一種類しか敵が出ないのが変なんだよね。だから同じマップの中で生息モンスターが偏ってるっていう判定なんじゃないかな」
「なるほど、それなら極端に厳しくはならないかもですね~」
納得して安心した様子のカチ割り赤さん。
まあさっきから【変装】スキルのせいで表情の動きのパターンが少ないから不安層とか安心した様子とか全部あてずっぽうなんだけどね!
「適正レベル」
七徹の人、一番頭の動きが鈍ってるはずなのに鋭い……!
「うんと…… ああ、敵の強さが大きく変わらないならレベル差での獲得経験値の補正にもあまり差が出ないはずですね~。確かに…… あれ?」
「いくつだ」
未踏破マップっていうわけじゃないって主張してみただけなはずが適正レベルを誤魔化そうとしたみたいになってる!?
これは良くないね。開き直ってフルオープンにするしか……!
「モンスターのレベルが分かるスキルを持ってるわけじゃないけど、ここらへんに出てくるやつより二周りくらい上かな~って。移動距離的にはかなり短いし、街の近くにそのレベルの狩場が有るっていうところだけ早めに確定させたくない?」
「二回りですか? え?」
「四十以上か」
「いやいや、現状の攻略組のレベルより高いじゃないですか! 遠征レベリングの根幹が揺らぎますよ!?」
よしっ! 敵の強さよりもレベリング場所の常識の方で衝撃受けてくれてラッキー!
「ここと同じ傾向なら獲得経験値少な目だから経験値目的で来る価値が出るかはわからないけど、スキル上げには使えると思うよ」
「そういうことですか…… 可能なら一匹倒して経験値量だけでも確認したいところですね~」
「敵の湧き数も凄く少ないから、倒すのにてこずっても深夜以外なら横から乱入されることもないと思う!」
よし! なんか行けそう!
「え、それこのメンツで行くと俺タンクじゃない?」
〇549さんが余計なことを……
「このメンツで倒せるのかというそもそもの問題を忘れてましたね~」
「ヒーラー二人で前衛張れる人もいて、ダメージソースもあるから時間かければ倒せるよ!」
「違う」
七徹の人……! 一言だけ口に出してそのまま寝てるのか考えてるのかわからない姿勢になるのやめようよ七徹の人!
………………続きの話が始まらないね。
「七徹の人?」
「恐怖」
ギクッ!
「予想される敵の性質で一番ここでの前衛的性が高いのはユーレイさんだ。タンクを買って出ない理由を考えれば本来の目的も分かる」
いきなり長文で話始めたらびっくりするね。
「え~と、恐怖状態については……?」
「カチ割り」
「丸投げやめてください。ユーレイさんがオープンにしてないので決闘の様子からの推測だけですね~。やけに逃げ腰で、魔法スキルが暴発するようになるのもかもしれないという程度です」
「あ~、魔法の暴発は装備の方の問題のはず? 防具更新する前からあの杖での魔法の発動は安定してなかったよ」
「つまり」
「つまり~?」
眠いから考えたことをしゃべるのは長文でできてもやり取りは単語で済ませたいんだね……
なんかもう九割がたバレてる気がするけど、バレても問題ないよ! 問題ないよね!?
「本来の予定はレベル上げではなくスキル上げで、撃破方法のめどはたっていない。おそらく火力不足だろう。接触ダメージを与えられないのであれば魔法スキルと通常攻撃、格上に対しては時間がかかりすぎる。耐性スキルを底上げしてそれらの手札を使えるようにするのが目的だったはずだ」
「だったらどうして、狩場にするための情報を~?」
「経験値ではなくドロップアイテムだ」
「確かに先行マップでのドロップアイテムは経験値やスキル経験値よりも価値が有るかもしれませんが…… 加工する側のスキルも足りないはずですよ~?」
「レア」
「レア泥? 装備アイテムが落ちたとしても使いこなせないのは変わりませんよね~?」
「……」
あ、ついに喋るのが限界になったんだね。
うん、眠そうな目で語ってる内容が大正解だよ! 使いこなせない要求ステータスと、使いこなせない強度の呪い。耐性をつけておいて立ち回るなら使いこなせないことにこそ今後のための価値が有る。つけてたら死ぬような奴じゃなければだけどね!
「俺ぁ難しいことはわかんねえけどよ~」
「バカだからの一文を省いたので百点減点です~」
すっかり空気になってた〇549さんが謎のロールプレイをし始めたけど、【変装】で作ってる外見と全くマッチしてないから五十点減点かな。
「酷い!? 俺ぁバカだから難しいことはわかんねえけどよ~。時間かけても倒せるなら情報収集っていう俺らの目的は果たせるんじゃねえのか~? バカだからよぉ~、間違ってるかもしんねえけどよぉ~、ドロップが落ちたらその性能もわかるって話だよなぁ~」
「トータルでマイナス三百二十四点かな」
「自分のことバカってアピールして傷ついた心にさらなる追い打ち!」
「まあ、ロールプレイはコンクリートの上でのたうつミミズのようなクオリティでしたけど内容は一理ありますね~? これ以上時間かけて相談して深夜になるよりは早めに済ませてしまう方がマシですか~」
「作戦」
「七徹の人に無理に喋らせるよりは自分で言おうかな。出てくるやつは完全に霊体だから、ダメージソースは魔法。〇549さんとカチ割り赤さんでモンスターの観察と逃げるルートの指示。あとの二人でHP管理。僕が逃げ回ってる間回復と攻撃を飛ばしながらヘイトを取らないように適宜ヘイトを完全に切りながら削り倒す。ヘイト傾向も不明だから後衛に向かっちゃったら〇549さんが気合でインターセプト。以上!」
「前衛の出番が少ないですね~。スキル上げに活用できるのは後衛だけですか~?」
「ダメージ入らないからこそヘイト取らずにスキル上げし放題かもしれないからその辺は各自適当に!」
「了解です。それでは出発しますか~」
カチ割り赤さんの号令に、話に加わってなかった二人も移動を始める。
当初リーダーポジションにいたはずの〇549さんがうなだれながら歩いてるけど、うん。フォローの言葉は何もないよね。




