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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
150/162

縛り148,スタンプ機能使用禁止

 生活リズム崩して更新さぼってました!

 生きてます!

 いろんな集団の代表者を集めての話し合い。もうちょっと主導権争いみたいなものが水面下でバチバチなるものかと思いきや、結構スムーズに進行してる。

 ここら辺はどうもアレクサンドロスさんの人徳みたいだね。取りまとめ役のブラック労働っぷりに引いてるだけかもしれないけど。

 でも、それも町内を中心に活動してる人達の内部に限った話。権勢欲とかはなさそうだけど遠征ばかりでろくに話し合いに顔を出さない前線組リーダーが下克上で代替わりしたともなれば、能力や人柄を探るべくいろいろとちょっかいがかかるのも必然だよね。


「前線組はまたすぐに遠征か? もう少し素材を流通させてくれないと遠征の支援をするこちらの負担になるばかりなんだが」

「す、すみません。装備のメンテナンスが終わるまでは……」


 キリコさんがぶった切ったナンダゴンドさんの装備の話だね。質問の意図と関係なく、味方のおろしたて装備を台無しにしたキリコさんの急所に直撃!


「採集系パッシブスキルの解禁のための護衛を戦闘が得意な面々で請け負う計画が有るんですけど、前線組は不参加ですか?」

「えと…… 私たち護衛には向いてないかもしれません…… すいません」


 訳:最前線と言いつつ素材はろくに流さないし何の成果もないんだからたまには底上げにも協力したらどうだ? 回答:ごめんなさい。

 漂う微妙な空気! 街内組の嫌味ったらしさはおそらく前任者が図太すぎたからだろうね! ナンダゴンドさんならそういうの無理だからって言い捨てて物資ふんだくって翌日には遠征に出てるよ!


「プレイヤーの資金問題が改善傾向だから正式にギルドを組んで再編しようっていう話になってるんだが、前線組のギルドリーダーはキリコさんがやるんでいいんだよな?」

「む、無理です無理です無理です!」


 名も知らぬ人の話題転換! しかし上手く決まらなかった!

 

「聞き方が悪かったな。前線組にも今のパーティーでギルド組んでもらおうかっていう話でだな。集団の名前が有った方が話し合いでも便利だしな? 名前をどうする?」


 アレクサンドロスさん参戦! ナイスフォローだけど絶対複数パーティーで連携するためのギルド作る予定だったのを誤魔化したよね今! 一時の流れでやっちゃって大丈夫な判断なのそれ?


「な、名前ですか!? え、ええっと!? ぜ、前線組でお願いします!」

「お、おう」


 攻略最前線ギルド前線組発足確定~。

 今後前線に出る人も増えるだろうしいつまでも前線組呼びは不便っていう意図はテンパったキリコさんには伝わらなかったね……


 その後も、前線組以外の面々が一丸になってキリコさんにでもこたえられる質問をしようと質問攻めを続けたものの、なかなか成果は上げられず……


「……うちの新作パウンドケーキ、食うか?」

「はい。あとでいただきます。ありがとうございます」


 ようやくひねり出された質問と回答がこれ。料理屋の頑固おやじみたいな顔をした料理ギルドのギルマスが甘いもので釣って今回の件は決着した。

 なんにも話し合いが進んでないよ!


「あ~、攻略前線の方針についてなんだが、俺からちょっといいか?」


 助け舟を出したのはナンダゴンドさんだった。意外って程でもないかな? 今までは曲がりなりにもリーダーだったわけだし、方針を決める立場にいた期間はキリコさんよりも断然長くて、そういう視点で集めた情報だって多いはず。

 集めた情報の扱いとしては戦力につながるようなもの以外はあまり使わないっていう方針だっただけで……


「おそらくだが、この先どっち方向に探索を進めたとしても補給拠点になるような街はない。あるかもしれんが補給拠点として十分な頻度ではない」

「まあ不十分ってのはそうだろうな。一つ先のマップでも探索進めようとすれば泊りがけだ」

「つまりだな。おそらくこのゲームはMMOに見せかけて、この町を起点としたMOか、自分たちで拠点を作りながら攻略を進める開拓ゲームのどちらか。十中八九後者だろう」

「お、おお……!」


 すごい! そんなところまで考えてたなんて!

 なんて言うと思ったら大間違いだよ!


「それが本当なら……!」

「おい! 確か木工のとこに大工系取ってるやつがいただろ! なんでこの場に来てないんだ!」

「こんな話になると予想してなかったんだよ!」


 パン! という破裂音で、アレクサンドロスさんを含むざわめいていた人達が静かになる。あまり顔に見覚えがないから街中で生産してる人たちの代表者かな?

 そして、手を打ち鳴らしたのは我らがコノカさん。うん! 任せておけば言うべきことはちゃんと言ってくれそうだし丸投げ安定だね!


「その仮説を~、立てたのは~、いつですか~?」


 いきなり王手! 詰みまでの道筋が完全に見えてる。というよりこの会議が始まる前から詰んでるよね既に。

 だって、ナンダゴンドさん達が街に帰ってきてからもう一週間も経ってるんだもん。


「あ~、それはだな」

「まさか~、昨日今日ふと思いついた~、なんて~、言いませんよね~?」

「ああ、そうそう、模擬戦で思いっきり体を動かしてたらふと、な?」

「質問を~、変えましょうか~。そう判断した~、情報が出そろったのは~」


 いったいいつですか~? と問いかけるコノカさんの目の奥は一切笑ってない。


「いや、でもだな。同じような情報は全体で把握してたはずだろ? 俺らが街にたどり着いてなかったことは知ってたわけだしよ! それに俺だけじゃなくキリコだって同じ立場じゃねえか!」

「えっ!? いや、あの…… 全く想像も、しへませんでした。ごめんなさぃ」


 あっ、噛んだ。


「そうですね~。私たちも~、気づいてたわけでは~、ありませんし~。大手柄ですよ~?」

「そ、そうだよな! なんで俺が怒られてるんだ?」

「なんで~、もっと早く~、言わなかったんですか~?」


 うん、ナンダゴンドさん以外の人が気づいてなかったのはそうなんだけど、それは東西南北のどれかの方法がいわゆる順路だと思ってたからなんだよね。

 実際に移動してみたナンダゴンドさんが情報を出し渋ってたのは擁護できないかな……

 この場にいないクロにフレンドコールでメッセージを送っておこうかな。


「なんで~、今まで~、報告も~、相談も~、なかったんですか~?」

「ちぃっ!」


 言い逃れは不可能と判断したナンダゴンドさんが床を蹴って駆け出した。普段の重装備を身に着けていないだけにその速さはなかなかで、着席した状態の他の人達が追い付くのは厳しい。

 あっという間に扉までたどり着き、乱暴に開いて飛び出していくナンダゴンドさん。


「うおっ!?」

「どけぇ!」


 というか今逃げても何の解決にもならないと思うんだけど…… ほとぼりが冷めるまでどこかのダンジョンにでもこもるつもりなのかな?


「クロ! 捕まえて!」


 ナンダゴンドさんにとって不幸だったのは、クロが何故かドアの外で待機してたこと。

 なんでだろうね? 僕が連絡してから十秒くらいしか経ってないのに。まるで元から誰かの脱走に備えて近くに居たみたいな位置取りじゃない? え? 僕だったら最初から窓から脱出するよ?

 通り抜けていくナンダゴンドさんに、背後からタックルを仕掛けたクロがしがみつく!

 しかし普段から重装備を身にまとうナンダゴンドさんは強引にクロを引きずっての突破を図る!


「うおおおおお!」

「せぇいっ!」


 気合一発! 崩れた体勢をものともせずクロがナンダゴンドさんを持ち上げた!

 走り続けようとした足が数回宙を掻いて力なく垂れさがる。


「さっすが~!」

「……なあ、この後どうしたらいいんだこれ」


 自分よりもはるかに年上の成人男性を抱え上げたもののその後どうすればいいか分からないクロの目には悲哀と困惑が満ちていた。


「投げっぱなしジャーマン、か?」


 これはアレクさんの意見。なにそれ?

 皮切りに、とりあえずみんな口々に意見を出し始める。投げやりな意見が多いのは気のせい気のせい。


「アルゼンチンバックブリーカー」

「そのままお腹をキュッと」

「ピクミン」

「え!? ええ? あえて下ろしてみるとか?」


 気まずそうな顔を浮かべたクロが、頭を掻こうにも両手はふさがってる悲しみを背負ってるね。

 とりあえずどうするか決めたのか、膝のばねを使って軽く上に投げてから、頭の上に担ぐようにして会議室に入ってきた。その際ドアの枠に軽くナンダゴンドさんの頭がぶつかってたけど。

 あ、でも部屋に持ち込むことまでしか考えてなかったっぽくて立ち止まってるね。


「あっ、ここどうぞ!」

「いいのか?」

「はいっ! 座った状態なら咄嗟に逃げだしたりできませんし!」


 すっと自分が据わっていた椅子を指し示すキリコさん。クロが確認したのは話の中心人物が椅子に座ってなくていいのか? だと思うんだけど?

 何はともあれ、強制的に座らされたナンダゴンドさんの後ろに重圧から解放されたキリコさんが、そしてクロがなぜかそのまま僕の後ろに仁王立ちした状態で話し合いが再開した。


「しかし~、開拓ゲームですか~。拠点を作るとして~、移動や~、輸送の手段は~?」


 そこからは生産組がヒートアップ。道を通すだとか、馬車を作るだとか。意見が出る中で人力車にプレイヤーを乗せて走ればアイテムボックスの活用でどうにかなると口にしたら周囲にドン引きされたり、アイテムボックスの細かい仕様を確認したり。

 もちろん障害になるモンスターや拠点の立地など、攻略組の話も必要になったのだけどそこは基本的にナンダゴンドさんが。

 リーダーをナンダゴンドさんに返した方が良いですか? というキリコさんの問いかけには、満場一致でいろいろ理解していても結局戦うことしか考えてないナンダゴンドさんが上に立つよりも、キリコさんがかじ取りだけでもしてくれた方が良いという意見と、励ましのお菓子が提供されたよ。


 そんな中、今まで図書館の利用方法を聞かれたら答えるくらいしかしていなかった神官さん(名前聞いたことあったっけ?)から、さらなる特大の爆弾が投下された。


「今後のことも考えると、時空神殿建立して転移で繋ぐ方が良いんじゃないでしょうか?」


 ………………人が集まると予想外の新情報も増えるね!

 というわけで前線組のギルド名は前線組に決まりました。ひどい話だ……

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