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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
141/162

縛り139,キャラ専用装備禁止

 書きたいところが近いと筆が進むのですな。

「ほおん、それが新しい装備ってやつか? あんまり強そうな見た目じゃねえな!」

「見た目で判断できると思ってるなら今日は僕が勝つよ?」

「まあ、勝算がなきゃのこのこ出て来ねえわな!」


 ナンダゴンドさんがとても獰猛に笑う。怖いね!

 決闘前に会話を交わしてるこの距離が近すぎるし! しかも威圧感から感じるナンダゴンドさんのレベル上がってるよね!?

 クロよりも4つ? それとも5つ? とにかくレベルが高い分だけ怖く感じるっていうことを再確認できたね!

 せめて近場に適度においしい狩場が有ればレベリングして強引にリスクを軽減することも出来たのに!


「おお? 偉く派手に武者震いしてんな?」

「そうそう! ちょっと楽しみすぎて!」


 一瞬ドキッとするけどこの人バトルジャンキーだもんね! 本気で武者震いだと思ってるねこれ!

 うん、膝ガックガク! ここで小細工プランその1を発動だよ。

 これ見よがしに杖を取り出して、構える。


「ん? なんだ? 後衛に鞍替えしたのか?」

「ん~、もともと中衛だったところをちょっと後ろに寄せた感じかな」

「ならちょっと予定通りの狭いか?」

「一応僕の方ではちょっと良い『決闘水晶』も用意してあるけど。いいの? 僕に有利になるだけだよ?」

「はっ! その程度のハンデでタンクに勝てると思ってるなら甘いと言わせてもらうぜ!」


 タンク。壁役。高い耐久力で他の仲間を守る立ち位置のプレイヤーやキャラクターは対人戦では強いことも多い役割だよね。

 一対一なら純粋に与えるダメージが多くて受けるダメージが少なくて、そもそもHPが多いっていうのがそれだけアドバンテージ。

 このゲームではタンク型のビルドはその分いろんなものを犠牲にするわけだけど、それは機動力だったり魔法攻撃の手段だったり、徹底したインファイトをするならなくても問題ない部分なんだよね。

 ナンダゴンドさんは鎧と盾に加えて槍も装備するために、たぶんだけど魔法防御力も捨ててるタイプ。このゲームで強力な魔法を使うには詠唱が必要だから、一対一の戦いなら一発耐えて距離を詰めちゃえばいいわけで。


 うん! タンク強いね! だからこその小細工だけど!


「僕にばっかり有利なルールにしてもしょうがないし? 今回はもともと予定してた広さでいいよ? それとも何かハンデ着けよっか?」

「あ゛あ゛!?」

「っ!? 要らないの? 僕としては装備の性能分くらいのハンデは着けてもいいかなと思ってたんだけど?」

「要るわけねえだろっ! 俺を相手に挑発するのはさすがだが、そのこと後悔させてやるからありったけお前に有利な条件持ってきてみやがれ! それでも俺が勝つわ!」


 大丈夫大丈夫! まだバレてない! 周りの人はなんか気づいてるかもだけど、ナンダゴンドさん相手ならたぶんまだまだ余裕!


「対等じゃなきゃ僕が勝った時に文句言われるよね? ナンダゴンドさんの思う対等な条件は本来の決闘条件じゃないの?」

「あれは前衛同士の条件だろうが! あの条件で言い訳されるのは俺もごめんだ!」

「じゃあこっちの『決闘水晶』使うね?」


 というわけで小細工その1完了。今の僕に有用な遠距離攻撃手段なんてないから、完全に逃げ回るスペース確保のためだけの作戦だね。

 ナンダゴンドさんの威圧感がクロと同程度だったならもともとの広さでもどうにかなったかもだけど…… ここまでの小細工で最低限って感じかな。


「よし! やるぞ!」

「待って、まだアレクサンドロスさん達が来てないよ?」

「言われてみりゃ来てねえな。というか呼んでたのか?」

「うん、当然」


 そして小細工その2は純粋な時間稼ぎだよ! 怖いっていうことはそれだけ呪いの影響を受けてるってわけで、スキルが生える可能性を狙うならやっておくだけ得ってわけだね!

 我ながらちょっとせこいとは思うよね!


「……来ねえな」

「寝坊かな?」


 知らんぷりをするけどその実、観戦メンバーが遅刻してるのはクロがせっせと頑張ってるからだったり。多分集合場所をずらして指定してぐるっと拾って回ってるとか?


「もう始めちゃっていいんじゃねえのか?」

「いやいや、なんかこの機会に対人戦というか人型でAI積んでるモンスターとの戦闘のコツとか広めたいらしいからそうもいかないんじゃない?」

「いるのか。どこに出るんだ?」

「鉱山ダンジョンのボスは少なくともそれに近い感じだったよ」

「かぁーっ! マジかよ」

「モンスターのAIの出来はタンクの動き方に直結するもんね」

「そうなんだよな」


 そこで一度会話が途切れる。

 う~ん、もうちょっと食いつくかと思ったんだけど。


「来ねえな……」

「さすがにそろそろ来るんじゃないかな?」


 圧力が…… う~ん、疑われてるかなこれは。クロ、ちょっと頑張りすぎじゃない……? というかここまでやっておいてスキルが増える気配がないのどうしようかなあ。立ち回りだけでどうにかできるほど甘い守りではないと思うんだよね……

 最終手段はリンドウちゃん謹製の毒薬なんだけど、そっちはそっちで使い勝手が悪いんだよね。


「お~い!」

「来たか! ……誰だ?」

「ボス!?」

「名前じゃなくてそっちで定着してんのな」


 決闘の指定場所である街中の広場の一つにゾロゾロと向かってくる集団の戦闘を歩いているのは、なぜかあまり見慣れない顔。スカートめくり犯たちのボス。プレイヤーネームなんだっけ……?


「ボスはボスじゃないのか?」

「いや、俺にもちゃんと名前がだな……」

「まあ老師さんもちゃんと名前では呼ばれてませんしね~」


 当初の想定よりもだいぶん膨れ上がった人数に、どういうことなのかという疑問を込めた視線をクロに向ければ、ちゃんと説明してくれた。


「いや、老師がいないことに気づいて迎えに行ったらこの人たちが全員揃っててな……」

「まあ、トップ勢の対戦が見られるのであれば参加しない理由もないからな」


 なるほど。老師が最近自由時間に何やってるのか気になってたけど、パンチラモーション研究会の人たちと一緒にいたんだね。

 変態地味た名前のギルドだけど、内情としてはスキルモーションの研究とスキルコンボの開発を中心とした対人戦特化ギルドだったりするわけで。最近の老師の立ち回りの向上の理由も判明したね。


「というわけで俺たちも観戦させてもらっていいか?」

「僕は構わないよ」

「俺も構わんぞ」


 となると、残るはアレクサンドロスさんたち一行だね。取りまとめ役としては、一時期治安の悪化の一因になってたスカートめくり犯たちに思うところがあるかもしれないし。


「私たちも~、構いませんよ~。近頃の彼らの~、活動は把握してますから~」

「それ俺が言うべきことなんじゃねえか? まあ今さらか。その辺適当に座ればいいか?」


 威圧感から推測できるパンチラモーション研究会の皆さんのレベルは29、27、27、26、残りは25以下。ふっ……

 ちょっとこれ楽しいかも!


「あ、スミスさんが用意してくれたござがありますよ! あとユーレイさんがポップコーン作っておいてくれてます!」


 そう言ってリンドウちゃんが観客席のセットアップをしてくれる。

 前回の反省を生かしてポップコーンもちゃんと用意したよ! スキル上げのためにクロに後ろから圧をかけてもらいながら作ったからうっかり失敗作が混ざってるかもだけど!

 リンドウちゃんがポップコーンと一緒に配っている黒っぽい炭酸飲料はコーラでもなんでもないっていうことも付け加えとくね。かなり風味がきつくて僕は飲めなかったよあれ……

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