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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第一部 VRMMO編
14/162

縛り13,チキンナイフ使用禁止

はい。そろそろ(というか最初から)サブタイがちゃらんぽらんになって来てます。

 採集に四苦八苦するクロをしり目に木の上に登って【サーチ】と肉眼で周囲のモンスターの様子をうかがう。ぶっちゃけ今のところすることがなかったりするんだよね、せいぜいクロより先に敵に発見されるようにするぐらいしか。

 メニューを開いて今の時刻を確認するとそろそろ三時を回るかというところだった。このゲームでの日没は6時なのであと三時間以内に終わらせないといろいろと厳しくなりそうだね。


 そのまま木の上で十分ぐらい哨戒していたら一匹の幽霊がふわふわとした動きでこっちに向かってきているのが確認できた。このままではまず間違いなくクロが発見されて襲われるので、僕は仕方なく手刀を構えて、魔法を発動待機させた。


『オォーン』

「五月蠅い。【スラッシュアロー】、【マナバレット】」


 幽霊がおおよそ十五メートルほどの索敵範囲の中にクロを捕捉し、声を上げて襲いかかろうとするところに遠距離攻撃を連続で叩き込んで無理やり僕に注意を向けさせる。彼我の距離はおおよそ二十メートル、有効射程ギリギリなうえにレベル差もあるのでダメージはろくすっぽ通らず、あくまでクロへのヘイトを逸らす以外の効果はなかった。

 装備とスキルの性能が重要なゲームだから仕方ない。表示された一ケタのダメージに悲しくなんかなってない。


 幽霊が木の上にいる僕に近づいてきたところで木の上から飛び降りることで若干の距離を稼ぎ、そのまま走り出す。


「【穏行】、【ハイディング】! ええと、ついでに【サイレントラン】!」


 走り出しながらスキルを重ね掛けしていく。気配を消すという名目でヘイトを時間減少させるスキルと物陰に隠れて敵をやり過ごすスキルに、効果があるかは不明な足音を消すスキルも発動させておく。

 MPが目に見えてガシガシ減っていくけど気にしてはいけない。本気の戦闘になったらAGIがあまり高くない僕では一方的に攻撃されて二秒でお陀仏だ。

 必死になって木々の隙間をジグザグに走り抜け、太い木の死角を利用して後ろに回り込みつつひたすらヘイトを減少させ、敵がこちらを見失ってからも再発見させないようにじっと息をひそめて離れていくのを待つ。


「ようやくいなくなってくれた。【サーチ】っと」


 周囲に新しくモンスターがポップしていないのを確認してから引き返してクロの周りが確認できる位置まで戻ってMPを回復させつつ周囲の警戒を行う。

 クロにフレンドコールで話しかけることも検討したけど集中してるみたいだったからやめた。



 さらに一時間ほどたったところでクロからフレンドコールが届いた。


『わりい、ちょっと一回街に戻れるか?』

「どうしたの?」

『必要量を収穫する前にナイフの方がダメになっちまってこれ以上採集できねえ』

「一本あればどうにかなりそう?」

『どのくらい必要になるかわからないからどうとも言えねえけどコツみたいのが分かってきた気もするし、ギリギリどうにかなるんじゃねえかな』

「よし、アソパンマン! 新しいナイフよ!」

『怖ええよ!?』


 パーティーメンバーであればアイテムは手渡しでトレードすることも出来るんだよね。クロとの距離が高低差込みで十メートルぐらいあるけどあくまで手渡しだから問題ないよね!



 そんなこんなで僕がうっかり一撃貰って死にかけたり、幽霊を振り切ってクロのところに戻ってみたらもう一匹来ていてクロが無抵抗のまま襲われてたりしたけどどうにかこうにかそれらのトラブルも乗り切れた。

 そして……


『よしっ! 十分かどうかは分からんがおそらく最低限は集めれたはずだ!』

「やった! なんかもー追い掛け回され過ぎて何のホラーゲームやってるのかわからなくなってきてたんだよね」

『んじゃ反撃すっか?』

「ん~、クロもスタミナ減ってるんでしょ? 僕もMPかなりしんどいし一回こいつは撒いてから合流して休憩しようよ」

『じゃあここでおとなしくまっとくわ』


 フレンドコールに気を取られていたせいで若干危なかったけど太い木の周りをぐるぐる回って無理やり【ハイディング】の効果で振り切った。そのまま木の上に登って休憩しつつ幽霊が立ち去るのを待ってからクロの方へと向かった。



「おお、遅かったな」

「そうかな? クロはもうスタミナ回復終わったの?」

「いや、まだ七割ってとこだ。ほぼすっからかんまで減ってたからな」

「ん、僕もまだMPは六割程度だししばらく駄弁っとく?」

「なんについて話すよ? スキルの熟練度あたりとか?」

「ポーションの新しい味のアイデアでも練ろうと思ってたけどこれから戦うならそっちの方が大事かも。というかクロのスキルの熟練度ってちゃんと上がってるの?」

「なめんな! ちゃんとあげてるっつーの!」


 以下、クロに教えてもらったクロのスキルの熟練度


【筋力強化】  81/500(STR+4)

【生命力】   26/500(VIT+2)

【腕力強化】  27/200(STR+2)

【脚力強化】  45/200(STR+2,AGI+1)

【採集能力】  65/1000


 思ったよりも高かった。レベル1ごとのステータス上昇量が序盤だと自由に割り振れるボーナスとレベルアップ時に自動で上がる分を合わせて2が標準だと考えるとこの上昇量は決して低くないとは思うけど、スキル枠の消費を考えるとそんなものだと思う。

 ちなみにβ版プレイヤーのほとんどが熟練度50前後で行き詰ってしまい、スキル枠を一つ消費してステータスが3程度上がるだけという途中からは役に立たないものがほとんどというのがこのゲームでのパッシブスキルの扱いだったりする。


「【筋力強化】は分からなくもないけど【生命力】の上がる条件とかちょっと想像できないなあ。それに【腕力強化】が妙に低いような?」

「まあその辺はぼちぼち調べるとしてお前の熟練度も教えてくれよ」

「いいけどアクティブスキルの熟練度って面倒なんだよね、個別に熟練度設定されてたりとか」


 以下、僕のスキルの熟練度。


【斬撃】     119/1000

  『スラッシュ』      53/100

  『スラッシュアロー』   61/100

  『アッパースラッシュ』   5/100

【汎用魔法初級】  79/250

  『マナバレット』     31/50

  『ライト』         3/50

  『サーチ』        45/50

  『ヒール』         0/50

【根性】      10/250

【隠密】      51/1000

  『ハイディング』     27/100

  『穏行』         21/200

  『サイレントラン』     3/100

【菓子生産】    11/500


 一つ一つのアクティブスキルの熟練度が上がるほどその技の性能が上がって、全体の熟練度が上がると新しいアクティブスキルの習得につながる感じだね。各スキルの熟練度はどんどん上げづらくなるうえに新スキル習得のタイミングが偏ってたりするからスキルによっては最初の三つくらいのアクティブスキルをカンストさせるのが必須だったりとかもあり得るらしいね。

 【菓子生産】をこっそりあげてたり、【サーチ】の熟練度がやたら上がってたりするけどまあそんなに気にすることでもないよね。というかあんなペースで乱発する魔法じゃないんだろうね本来は。

 【斬撃】系のスキルも格上相手にばしばし撃っただけあって結構いい感じ。【アッパースラッシュ】は使い勝手悪いけど今後を考えると意識的に使ったほうがいいだろうね。


『オオーーン!』


 雑談を続けていたら僕たちを見つけた幽霊が襲いかかってきた。

 お互いのスキルのおおよそのことを伝えあった時には二人ともステータスは回復し終わっていたんだけど、こっちから倒しに行くつもりだっただけに先に攻撃を仕掛けられたのがちょっと悔しい。

 とはいえ、


「じゃあいよいよこれまでの雪辱を晴らそっか」

「たりめーだ! 今度は負けねーぜ!」

「それじゃあ、れっつごーとぅーへる!」

次回:ついに明かされる幽霊の第二形態!

対するクロは奥の手【装甲解除】で男を見せる!

筋肉が唸り汗が飛び散る!

初日ログインのほとんどを費やした幽霊との戦いについに決着が!

(内容は予告なしに変更する場合があります)

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