縛り128,耳鳴り禁止
ちょっと短めです
「さて、活用できてないスキルがたくさんあるっていう問題はボスを倒してから考えることにして」
「いや、今すぐ改善できるものも有っただろ。お前のステータスポイントとか老師のスキルとか」
「ボスを倒してから考えることにして!」
「面倒なこと都度後回しにするから問題が余計にこじれてるような気がするんだが?」
クロが説教じみたことを言ってきているのを強引に振り切って話を進める。僕だっていろいろと思うところが無い訳ではないんだよ。【鑑定】をもうちょっとスキル上げしておけばクロで人体実験する必要はなくなったのではとかね? まあ結局スキル上げのために飲ませることにはなると思うけど。
「このダンジョンの推奨レベルが20前後くらいだと思うし、25レベルくらいあれば無理なく倒せるくらいの強さではあると思うんだよね。レベル的にはかなり余裕」
「ああ、そんなもんなのか」
「うん、だから作戦としては、クロが真正面からボスにぶつかっていって、その間僕と老師で取り巻きに対処。リンドウちゃんはクロのサポートって感じで」
思うところと言えば、こっそりレベリングしてるにも拘らずクロにレベルで先行されてることとかね。やっぱり弱いモンスターをいくら買っても経験値は伸びないっていうことなのかな。
「レベル的には余裕って言っても、人数が少ない分気を付けるべきことは当然あるよな?」
「もちろん。まず一つ目は、ボスの耐性データを早急に調べること。場合によっては一方的にボコボコに出来る訳だし」
ボスだからって必ずしも状態異常が効かない訳じゃない。むしろ即死魔法を使うのが最適解っていうゲームも有るし、一通り試してみることが後続の為にもなるのでこれは必須。
「麻痺が通ればそれだけでほとんど脅威じゃなくなるからな。次は?」
「取り巻きの魔法攻撃が威力特化で危ない可能性が高いから、きっちり妨害してクロやリンドウちゃんが被害を受けないようにすること。これは基本的に僕の仕事だね」
飛び道具で牽制して撃たせないようにするのがベターだけど、最悪魔法防御力を信じて食らっちゃっても大丈夫。
「まあこれくらいかな? というかそれ以上のことは戦ってみないと分からないしね。なにか質問ある?」
「ボスに薬の効果が無かったらどうしたらいいですか?」
「その時は僕とリンドウちゃんで雑魚の対処、クロと老師でボスの足止め、かな。取り巻きさえ倒しちゃえば危険はそんなにないと思うし」
「分かりました」
グッドな質問。作戦通りに行かない時はどうしたらいいのかって大事だよね。
さて、さっきから老師がそわそわしてるけど大丈夫かな?
「老師はなにかある?」
「ボスと取り巻きって何が違うんだ?」
「おおー、凄く根本的なところに来たね。今回はデカいのがボスだよ」
場合によってはデカいのがオプションで後ろのよわっちいのが本体っていうパターンも有るけど、それは取り巻きとは言わない気もするね。
ボスが倒れると取り巻きも消えるとか、取り巻きは何度でも戦闘中にリスポーンするっていうパターンも有るけど、今回はどうだろうね? まあボスにぶつける火力が控えめだから取り巻きは少なくとも一回は全滅させることになりそう。
「デカいの殴っていいか?」
「老師話聞いてた?」
3分くらい老師への説明に時間をかけるものの、不安は消えず。最悪麻痺させて安全なところに転がしとくべき……?
「じゃあ、クロと僕が最初に入って、安全と光源を確保する方針で」
「分かった」
「老師はくれぐれも突っ走りすぎないようにね」
「おう!」
う~ん、良い返事。
「それじゃ、ググッと」
「なあ、こういう時の【投薬】じゃねえのか?」
「そんなにマズいの?」
「いや、覚悟してればそれほどでもないな。まあいいか」
【投薬】を使わない理由も特になかったのに、他にもっとひどい味のを飲んだことが有るってだけの理由で生臭くてまずいらしい薬を一気飲みしたクロ。さっきの感じで行くと、効果が最大になるのに2分くらいかかるかな? 最終的な補正値はSTR+4のINT-2。有って無いようなデメリットで4もステータスが上がるのは現時点では相当にすごいんじゃないかな?
そのまま薬の効き目が出るのを待つこともなく、二人でボス部屋に突入した。




