縛り127,覚醒は二回まで
六月は一度も更新できていないという驚きの現実。企画参加したりバイト始めたりに時間取られたのと、後の理由は本編読めばわかるかもしれません。
企画小説はこちら(直接リンクOKだったか忘れたのでコピペしてhつけてどうぞ)
ttps://ncode.syosetu.com/n4723fo/
さて、準備も整ったしいよいよボスに挑んでいくわけなんだけど、その前に目をそらしちゃダメな現実っていうのが有るよね……
「リンドウちゃん、新しく作った薬ってどういうものなの?」
できればごく普通の効能の高い回復アイテムであってほしいよ。切実に。
「あ、そうですね! いくつかクロさんに渡しておきますね!」
「戦闘中はリンドウちゃんも結構忙しくなりそうだもんね」
そういう理由で話を振った訳じゃないけどね! 胸のドキドキが止まらないよ!
「まずはこれです! 飲むとしばらく力が強くなるお薬!」
「おお! すごい! どのくらい上がるの?」
「それは、試してみないと分かりません!」
「そっか、でもすごいよ」
「何本か出来たのでクロさんに一度試してもらった方が良いかもしれません…… たぶん副作用が何かあると思うので……」
「あー、やっぱりノーリスクとはいかない感じなんだね……」
それでも外付でステータス上げられるなら十分以上に凄いよね! ステータスに補正のつくスキルと、後は装備のボーナスぐらいでしか上げる手段が無かったわけだし。
「とりあえず人体実験は後にして、他のも見せてくれる?」
「おい、さらっと人を人体実験の被験者にするなよ! しかもやってる内容的に否定しづらいだろ!」
もっと強気で抵抗した方が良いんじゃないかとか考え込み始めてしまったクロは置いといて、次だね!
「はい! 今までよりも大分強いHP回復効果のあるポーションです!」
「なんかすごい毒々しい色してない?」
今までHP回復系の薬品って基本的に緑系の色だったと思うんだけど、がっつり紫だよそれ? そこを指摘するとリンドウちゃんはしょんぼりと肩を落とした。
「はい…… 効能を高めるのに使った素材の毒素が処理できなくて…… 耐性が無いとダメージの方が差し引きで多いと思います……」
「大丈夫! クロはちゃんと耐性有るから! 有るよね?」
あれだけいろいろ飲まされて増えたのが消化器官が強靭になるスキルだけとは言わせないよ! 明言したら扱い酷くなるから言ってないだけでしょ! この前も普通に毒沼歩いてたし。
「有るぞ。言ってなかったか?」
「あれ? もしかして普通に伝え忘れてただけ?」
「あー、最近お互いのステータスとかスキルの共有してないからな。連携に影響出ない奴は把握してなくてもしゃあねえ」
「う~ん、リンドウちゃんの新作の確認終わったら久しぶりにステータス共有しとこうか」
「じゃあ次ですね。麻痺毒です! 麻痺の効果自体は前より低いんですけど、素材を増やしたので別種のデバフがつくと思います」
次にリンドウちゃんが取り出したのは、黄色の中に黄緑色が渦を巻いているような見た目の薬品。う~ん、ファンタジー。
「じゃあ具体的にどんなデバフがつくかはクロで実験かな」
「おい」
「いや、流石に冗談だけどね。というか、クロが飲んだ時有る程度効果が低くないと困るんじゃない? どちらかと言えば」
まずそもそもリンドウちゃんの毒薬がボスに効くか、そして取り巻きには効くか。ここら辺の要素で取るべき作戦がガラッと変わっちゃうよね。クロを巻き添えにしてスキルを使っても差し引きで有利になるなら巻き添えにすることになるだろうし。
「えっと、これで全部です」
「新アイテム三つは十分多いよ自信持って! じゃあ早速……」
リンドウちゃんが並べたうちの最初の一本。何となく光ってるようにも見える、赤色の薬が入った瓶をクロに押し付ける。
「これは何本あるんだ?」
「それを含めて五本です」
「じゃあ今一本飲んじゃっても四回はボスに挑む時に使える訳だね。それイッキ! イッキ!」
「お前未成年だろ」
ツッコミを入れつつ、瓶の中身を一息に飲み干したクロ。
「生ぐさっ!? んでもって辛っ!」
「あ、モンスターの肝を材料に使ってるので……」
「そこは飲む前に言っておいてほしかったぞ」
「すいません」
味は控えめに言ってあんまりよろしくないみたい。うん、僕も飲まなきゃダメなタイプの効果じゃなくてラッキーと思っとこうかな。
「で、どうなの?」
「今のところは特に何も感じないな。ステータスも、薬の効果中って表示が有る以外は変化してないぞ」
「え、なんで?」
「もしかしたら、効き目が出るまでに時間のかかるタイプの薬なのかもしれません」
「なるほど~」
「じゃあ効き目が出るまでステータスの確認でもしとくか」
そう言ってクロは自分のステータス画面をこちらに見せて来た。
NAME:クロ
Lv.32
VIT(体力) 27+5
STR(筋力) 31+21
DEX(器用さ) 16
AGI(素早さ) 25+4
INT(賢さ) 11
MND(精神) 15
LUK(運気) 2
【筋力強化】【腕力強化】【脚力強化】【生命力】【採取能力】【強靭な胃袋】【毒耐性】【空き】
うわあ、ゴリラ…… レベル当たりのステータス上昇が2、時々3ってことは筋力の補正分でだいたい10レベルぶんでしょ? スキル無しの力比べなら40レベのプレイヤーにも負けないってことじゃん。
悲しむべきは攻撃力は武器の攻撃力と加算だから二倍の筋力で攻撃するよりも二倍の倍率のスキルで攻撃する方がずっと強いことだね。武器自体は別に強くも無ければ必要筋力が高い訳でもない普通の槍だし。
「【生命力】って結局何をしたら上がるスキルなの?」
「ああ、それな。たぶんだが、モンスターの食材とかの、栄養価の高いもの食べたりしたとき上がってたはずだ」
「それはβテスト情報での謎スキル扱いも仕方ない気がするね。で、STRの補正が高いのはスキル三つ分の効果が有るからだよね?」
「いや、装備のセットボーナスみたいなのも含めての値のはずだ。【筋力強化】8、【腕力強化】8で、【脚力強化】3だな。装備の上昇量は1だ」
パッシブスキルの効果量も成長すれば伸びる訳で、序盤基準だとすぐにレベルが上がる状況下での2レベル分とかいうしょっぱさだったものが、なかなか上がらないレベル4つ分になっちゃってるわけね。
筋力補正がつくスキル3つつけるとこんなことになるんだ。スキルだけで19も上がってるってことでしょ? あれ?
「数字合ってなくない?」
「ん? まあ良いだろ。てかここ暑くないか?」
「いや、むしろ外より涼しいと思うけど?」
「まあいいか。一回鎧脱ぐわ」
クロがメニューを操作して軽装になると、鎧に隠されていたはちきれんばかりの筋肉が…… いやいや、クロは確かにけっこう筋肉ついてたけどここまでマッチョじゃなかったよね!?
「フゥー…… アア、クスリの分だナこれ……」
「うわぁ……」
「あわわわわわ……」
どことなく疲れを浮かべていた顔は赤みがさして溌剌とし、口元はどこか好戦的に弧を描き目は充血。じっとりと濡れた首筋の汗が、上がった体温で赤い湯気になって立ち上る。
これ完全にヤバいお薬だよ…… もし現実にこんなの流通させたら間違いなく即座に逮捕だよ。
今にも暴れだしそうなワイルドでデンジャラスな空気を纏ったクロの隣でステータスを開くのは凄く落ち着かないし、なんならさっさとボスにぶつけちゃって自分は安全地帯に退避してたいよ。
「と、とりあえず次はリンドウちゃんのステータス見せてくれる?」
「は、はい!」
NAME:リンドウ
Lv.30
VIT(体力) 14+1
STR(筋力) 7
DEX(器用さ) 20+1
AGI(素早さ) 17+1
INT(賢さ) 31+3
MND(精神) 15
LUK(運気) 8
【製薬】【道具生産】【採集】【鑑定】【投薬】(3)【空き】×3
うん、きっちりレベルもスキルも上がってるね! 本来インドアなスキル構成なのにガンガン外に出て戦ってるもんね。かっこの中はそのスキルで使えるアクティブスキルの数だね。補正は全部装備品補正。そしてスミスさん様様だよ。
というか【鑑定】有るじゃん! リンドウちゃん【製薬】と【投薬】のイメージしかなかったからすっかり忘れてたよ……
「イマサラだがナンでこウなっタ?」
「そのガラガラ声怖いからやめてくれないかな!」
「喉ノ、調子ガナ…… 飲み物有るカ?」
「これで良ければどうぞ!」
良くないよリンドウちゃーん! それ毒入りポーションじゃん!? あ、一応分類は回復アイテムだから合ってるのかな!
「ヴッ……! 不味イ……」
「やっぱり内臓系の素材は美味しくないんですね……」
そういう問題なのかなあ…… もうどう収拾付けていいか分からないし、とりあえず老師のステータス見せてもらって、自分のステータスも確認しとこうかな……
NAME:無添老師(仮)
Lv.33
9 12
VIT(体力) 22
STR(筋力) 24
DEX(器用さ) 10
AGI(素早さ) 47+2
INT(賢さ) 3
MND(精神) 12
LUK(運気) 5
【空手】(4)【拳打】(4)【気功術】(2)【鉄拳】【全力戦闘術】(1)【空き】×3
圧倒的に低いまま放置されてるINT…… そして前確認したときから全く変動してない、強力なはずの自己バフスキル……
リンドウちゃんと違って生産スキルを追加で習得することも無いだろうし、空きスキルの問題もそろそろ本格的に解決していきたいよね。
NAME:ユーレイ
Lv.31
ステータスポイント 残り10
VIT(体力) 19
STR(筋力) 17
DEX(器用さ) 14
AGI(素早さ) 18
INT(賢さ) 16
MND(精神) 29
LUK(運気) 8
【斬撃】(4)【汎用魔法初級】(4)【根性】【隠密】(4)【菓子生産】【呪い耐性(小)】【空き】×2
こうしてみると平凡なステータスだよね。まあステータスポイントの残りを使えば魔法攻撃の威力を有る程度確保できるんじゃないかっていう見通しで。必須になりそうなVITやAGI、MNDにはちょこちょこ振ってるんだけどね。
う~ん、根性のスキル上げしたいなあ……
「オ゛イ、なんデ10モ残してルンだヨ゛!」
「その声と顔でツッコミ入れるのはマジで怖いからやめて!?」
「ちょっトハ反省シロ゛!!」
今日の教訓。毒入りポーションはどうやら喉を傷めるらしい。
そして、クロのヤバい感じは10分くらいで治まった。いや、けっこう長いね!?
またしても三年ぶりくらいな疑惑のあるステータス回でした。次もきっとまた三年後くらいに←
ここでクロ君から質問が届いています。
Q,【ハンマーマスタリ】外して習得次第セット出来るようにしてるのに【ランスマスタリ】習得できねえ。マスタリ系の習得数で習得難易度変わったりするのか?
A,だってそもそもまともにランス使ってないじゃん。




