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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
128/162

縛り126,暗視持ち種族禁止

 Twitterのアカウントロックされました。自動ツール検出とか、どういう基準なんでしょうね。まあそのうち復旧すると思います。

 このダンジョンに出るゴブリンは明かりを持ち歩いてる。洞窟に住んでる癖に視覚に頼ってるの? とか、光源は何使ってるの? とかいろいろと疑問は有るんだけど、そういう設定面の話を考えなければ、目立つ上に弱点丸出しの雑魚モンスターってことになるよね。

 注意するべきは、自分が相手を見つける前に明かりの範囲に入らないこと、とにかく暗いから物音でゴブリン以外のモンスターを見つけること。コウモリに感知されないように魔法は使わないこと。あとは囲まれないようにすることくらい?

 注意点の確認も終わったし、さくさく狩っていこうか。


 足音を消してると周りの音がばっちり聞こえるね。曲がり角の向こうからゴブリンの群れの足音。他のモンスターは周りにはいないと思うけど、ゴブリンが騒がしすぎてはっきりとは分からないかな。とりあえず適当な物陰に…… ちょうどいい物陰が無いね!

 というか狭い通路だし障害物少ないしでぜんっぜん暗殺向きの地形じゃないね!?


「【スラッシュアロー】!」


 仕方ないから強襲有るのみ! 斬撃飛ばすって魔法っぽいけど魔法じゃないからセーフ! 明かりに命中! 明かりは今壊した一個だけ!

 パニックになってるゴブリンなんてただのカモだよね! って言いたいけど、正直急所狙い意外だと秒殺するには火力が足りてないよ。そして急所狙おうにも暗くてよく見えないよ!

 シルエットを頼りに首の辺りにナイフを叩き込むけど、それだけじゃ倒れてくれない上によろけたり暴れたりで追撃しづらい。かといってもたついてたら混乱から立ち直られて数の暴力で苦戦するのは目に見えてるし…… よし、一回逃げよっ!


「ふう~。これは作戦を練り直す必要があるね」


 せめてもうちょっと分かれ道とかが有って後ろを取れるか、遮蔽物が有って隠れてやり過ごせるかしたらいいのに。壁にぴったり張り付いてたら気付かれずにやり過ごせたりしないかな。ゴブリンの持ってる光源けっこう明るいし無理だよね~。そういえば今明かり壊したけど、その場合どうするんだろう?

 疑問の答えは曲がり角から現れた。逃げる時曲がり角一個分引き返しただけだから当たり前なんだけど! う~ん、暗くてよく見えないけどぎゃあぎゃあ騒ぎながらこっちに移動してきてる? う~ん、ゴブリンの鳴き声のニュアンスとかよく分からないけど周囲を警戒してるっぽいよね。

 で、一際大きく鳴き声が上がって、足音が駆け足に。いやこれもろにこっち見つかってない!? 見えてるんじゃん! なんで明かり持ってるのさ! 戦うしかないとして、さっきダメージ与えた個体どれ? うん、今更だけど暗いのってめちゃくちゃ不利だね! 月明かり程度でもかなりいろいろ見えるから油断してたよ……




 魔法を使えず、視界も通らない状態でなんとかゴブリンの群れを撃退したけど、その後も散々な目に会った。そもそも防具の性能差を利用してひたすら時間をかけるなんて言う攻略方法は非効率にもほどが有るし。

 コウモリはご存知魔力感知だし、ムカデはムカデで視覚はきっちり退化してるっぽいしで、暗闇という環境のペナルティをもろに食らいまくったよね。なんならいっそ【ライト】で明かりを確保して、寄ってきたコウモリを最初に倒しちゃう方が探索の効率っていう点では絶対に良かったと思う。


「【エナジースラッシュ】!」


 魔法ダメージを与えるスキルだけど魔法じゃないからたぶんセーフ! ……よし、コウモリ来てない! セーフ! 有ってよかった【エナジースラッシュ】!

 暗がりから大ムカデに襲われて、手こずってる間に麻痺毒食らわされて締め上げと噛み付き食らうの、リアルなVRゲームに持ち込んでいい恐怖じゃないと思うよ。他のゲームでも虫型の敵は出たし、僕自身はそんなに虫とか苦手じゃないけど、最悪自前で気絶しちゃってそのまま終了じゃない?

前回は力技で物理防御ぶち抜けるクロが対処してたし、僕は僕で魔法攻撃手段有ったし、見えてるなら降格の隙間を狙うことだって出来たけど、ソロだとどっちも厳しいんだよね。結局麻痺毒が解けた瞬間にイチかバチか自分の腕ごとエナジースラッシュで仕留めたけど。腕? 自分で切り付けた分は無傷だったよ悲しいことに!


「ポーションのお世話になるのも久しぶりな気がするね。……うん、苦い」


 なんでこんな苦労をしてまでソロでの探索を続けてるのかと言うと、ゴブリンが明かりを持ってる理由がどうしても気になったから。

 群れで行動してればムカデには一体が襲われてる間に逃げるなり攻撃するなりの対処が出来る。ツルハシは硬いものへの攻撃手段としてはかなり有効だしね。コウモリに頭上から襲われても、一番の死角で弱点の頭部はきっちりとヘルメットで防御してある。気絶してもムカデの対処と同じく群れならどうとでもなる。

 装備や群れでの行動に他のモンスターに対する対処っていう意味合いが有るなら、きっとあの明かりにも何か意味が有ると思うんだよね。もちろん僕の深読みしすぎで単なるフレーバーって可能性も全然あるんだけど。


「いたいた。【スラッシュアロー】からの【ハイディング】」


 曲がり角から顔だけ出して見つけたゴブリンの群れ。明かりを壊したら曲がり角に隠れる形で僕へのヘイトが消えるのを待つ。そのまま壁沿いに一つ手前の曲がり角まで戻って身をひそめれば、警戒したゴブリンたちの足音。

 うん、こっちに気付いてる様子は今のところないね。さっきと違ってゴブリンたちには攻撃してないしただ道なりに進んで来てるだけっぽい。さて、明かりが無いとどう困るのか見られるかな?


「グゲギャァーッ!」

「グゲッ! グゲッ!」


 あれ、早い。これ雄たけびじゃなくて悲鳴だよね? 思ってた数倍ゴブリンたちがピンチになるのが早いよ。そして何に襲われてるのかさっぱり分からないよ!

 なにも見えないまましばらく頑張って目を凝らしてたけど、ほんの二十秒くらいでゴブリンの悲鳴が聞こえなくなった。う~ん、暗いとはいえ動いてるものがいたら何となくわかると思うんだけど…… 耳を澄ませても何の物音もしないね。


「とりあえず、死体を確認しに行こうかな……?」


 下手人がまだその場にいるかもしれないけど、いるならいるでレアモンスター的なやつかもしれないし、確認しない手は無いでしょ。


「結論、暗くてよく見えない!」


 だからって明らかに血の匂いがしてる死体を手で触って傷の形状を調べるとかしたくないし! う~ん、いっそ明かりつけちゃう? でも何となく、まだここにいる気がするんだよね。


「っ!?」


 背中側から衝撃とわずかな痛み。形状的には大きな、爪? 強そうな攻撃を食らったような気がするのに全然ダメージが無い子の感覚には覚えが有るね


「ペロっ、これは魔法攻撃!」


 なんてことを言ってる間に今度は首筋にダメージ。危なっ! 魔法防御カチカチじゃなかったら最悪致命傷だったんじゃない今の!?

 そして相変わらず敵の姿が全く見えないよ。間違いなくそこにいるとは思うんだけど、裏をかいてそういう形状の飛び道具って可能性もある?


「とりあえず敵の攻撃の軌道を把握するところからかな」


 特に必要は感じないけど一応急所を守るように腕を上にあげて、じっと攻撃に耐える。背中にもう一回衝撃。斜めに振り下ろすような攻撃かな? 次いで足首を横に薙ぐように。

 攻撃は今のところ全部後ろからだね。ダメージを受けてる時の感触は大きいけど、周囲の空気が動いてる様子は無いし、大型のモンスターって訳じゃなさそうかな。

 とりあえず壁にぴったり背中を付けてみたらどう動くんだろうね?


「……いなくなった?」


 攻撃の効き目が無いから諦めて逃げたのか、壁を背負うのが正しい対処法だったのか。目の前の暗闇に目を凝らしてみれば地面にうずくまる…… 違ったあれゴブリンの死体だ。

 とか思ってたら、壁にぴったりくっつけてるはずの腕を後ろから何かに掴まれて、そのまま首筋に何かを突き立てられるような感触。


「痛っ、くもないね」


 相変わらず見えないけど掴まれてるってことは多分そこにいるってことでしょ? さんざんやってくれた仕返しはしっかりするよ!

 何かに掴まれてる感触のあるところに思いっきりチョップを叩き込めば、上着一枚分くらいの厚みしか感じなくて、衝撃はほぼ全部自分の腕へ。あれ~?

 ダメージが有ったようには思えなかったけど、結果敵は僕から離れて行った。今一瞬見えたような気がするかも。


「何となくどんなモンスターか分かってきた気がする」


 一つには、暗いと全く見えないくらいまっ黒なこと。次に、ほとんど厚みが無い体で、おそらく床や壁を這って移動していること。そして、攻撃は全部魔法攻撃扱いなこと。

 壁を背負う意味が特にないことが分かったので、改めて洞窟の真ん中あたりに立って、ナイフを抜く。【エナジースラッシュ】のチャージを進めながら、相手の動きを感じ取る。というか攻撃をひたすら受けて次に攻撃が来るであろう場所のパターンを予想していく。


「多分そこっ!」

「――――!」


 半分以上勘でナイフを振り抜けば、聞き取りづらい断末魔が上がって、攻撃が止んだ。


「えーと、死体は残ってるかな? この辺り? うわっ、なんかじめっとしてる!」


 モンスターの死体が落ちたであろう辺りには、なんかじめっとした液体みたいなものだけが残ってて回収できそうなものは特になし。

 うん、好奇心は満足したけど特に得るものは無かったね! そろそろクロと老師も十分に休憩取れただろうし、ボス部屋の前にもどらなきゃ。




「かくかくしかじかで、明かりをつけないで行動してるとそういうモンスターが出るみたいだよ! ドロップアイテムも特になかったし、会うのも手間だし特に狙って狩るつもりはないけど、注意喚起の意味で情報は広めといたほうがいいんじゃないかな」


 リンドウちゃんが広げた調合道具や薬品を片付けてる間にクロにさっきまでの出来事を説明したら、何やら納得した様子で頷きながら聞いた後、満を持して感想を口にした。


「やっぱりお前単独行動禁止な」

「あっ。じゃあ今のなしで!」

「今更遅いわっ!」


 モンスター情報(というか今後再登場するかも怪しいのでたぶん本編に出ないあれ)


 シャドウ

 音もなく気配もなく命を狩るもの。生命を直接感知する知覚を持ち、血液などをすすって生命エネルギーを糧にする。探知方法の関係上複数で行動している時の方が気付かれやすく狙われやすい。

 ケイブバット(こうもり)の主食。

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