縛り118,鑑定の書使用禁止
クリスタルソングを抜く決断力と、ブースター一箱買い足して電話構築を持ち込む覚悟が有ったなら……(本編とは関係ないです)
「けっこういろいろドロップするっぽい? ただゴブリン自体の素材っていうのはあんまりないみたいだね」
「まあ俺もあんまり解体したくはないなあ」
「採集したものと植物モンスターの素材の区別がつかないよ」
「来る前にアイテムボックスの整理してないからなおさらな……」
とりあえず装備品の類はアイテムボックスから取り出して並べる。ナイフ、槍、斧。どれもあんまり品質は良くなさそう。そして、他よりも明らかに数が少ない、杖。こっちは魔術師のドロップかな?
防具の方は、植物っぽい材質のサンダルと腕輪、緑色の石がついた耳飾り。どれがどのゴブリンから落ちたかは不明。もしかしたら植物モンスターの方のドロップかも?
素材としては襤褸切れ、血。あと耳。耳ってどういう素材なんだろうね。
「さて、こうやって出してみれば問題点は一目瞭然だね」
「どの問題点の話だ?」
「そんなにいろいろあったっけ? 僕が言ってるのは、スミスさんがいないと入手したアイテムを大まかにでも鑑定できる人がいないってことだよ」
そう、今更だけどなんと僕らのパーティー、【鑑定】に類するスキルを取ってる人が一人もいないんだよね。薬草や毒草の類は【製薬】スキルである程度分かったり、クロの持ってる【採集能力】も採集して役に立つものがぼんやりと分かるくらいのサポートが有るから、何もわからない訳じゃないんだけどさ。今後ドロップ品を活用するつもりが有るならどうにかしたいところだよね。
「とりあえず、この中に呪いの装備は混ざってなさそうかな。キリコさん達の方で鑑定できたりする?」
「いえ、今日は来ていないメンバーが鑑定は担当してましたので」
「そっかー」
「それより、呪いの装備が混ざっていることが有るのですか?」
「あれ? キリコさん達は出たこと無いの?」
まあ呪いの装備、モンスターの種類にもよるけど全体の5%くらいだから、出てなくても不思議はないのかな。いやいや、ナンダゴンドさんでしょ? そんなスローペースで狩って無さそう。
「分かりません。それは【鑑定】で見抜けるものなのですか?」
「僕らは【鑑定】持ってないから分からないけど、確か付与効果と同じ扱いで確認できるって話じゃなかったかな? 装備の付与効果まで見れるなら見抜けるはず?」
キリコさんと、横でこんなもん拾ってどうすんだよとか言いながら装備を眺めていたエックス君の顔が青ざめていく。
「もしかして、そこまで見えてなかった……?」
「【鑑定】のスキル上げも時間がかかりますから、ドロップ品の一部を一回だけ鑑定する方式では、アイテムのレベルの上昇速度のほうが早くて、最後は要求ステータスと基礎性能しか……」
あー、スキル上げとして見るなら、難易度の高いものに挑戦する方がおいしいし、その状況に不都合を感じてなかったんだろうね。
「な、なあ! これ呪われてたりしないか!?」
「どれ? 剣?」
「エックスの武器はドロップしたものの中でも鑑定出来た情報が少なかったんです」
慌てふためくエックス君に対して、キリコさんは既に大分落ち着いてる。キリコさんの武器は街で作ってもらったものだし、防具も風呂とかで普通に着脱してるから呪われてないって分かるもんね。
で、エックス君は多分だけど全身ドロップアイテム。それは不安になってもおかしくないよね。
「呪われてるならすぐにわかると思うけど、不安なら確認するからちょっと貸して」
「頼む……」
エックス君が差し出した剣の柄に手をかざしてみるけど、特に何も感じない。他の人が装備しててもこの方法で分かるのか確認してないやそういえば。
「うん、大丈夫。たぶん」
「今ので分かるのか!? というか多分って何だよ!」
「多分としか言えないからね。鑑定とかで見えてるわけじゃないし。でもなにも違和感ないなら呪いの装備じゃないよ」
言った後で血染めの装備とかは違和感ないまま出血耐性がガクッと下がってた気がしてきた。う~ん、今後も耐性系のマイナス補正がかかることは有りそうだし、一通り属性耐性確認する手段とか用意しておきたいなあ。属性パッチテスト、みたいな。
「どういう理屈で判別してるのか分からないから全然安心できねえ」
「う~ん、上手く言えないんだけど、呪いの装備を呪いの装備に持ち替えようとすると、もともとの呪いをベリベリ引きはがそうとする感じとか、他の部位の装備とグーッて近づこうとする感じがするんだよね」
「なんだそれ……」
「まあ、今後は順当に【鑑定】をもうちょっと重視して、安全なやつだけ使えばいいんじゃない?」
「今までのような攻略の方法には問題点がいろいろあるということですね。どうにかしないといけませんね」
静かに呟くキリコさん。いや、攻略に関して余力が一番ありそうな人が言うと重いね!
ナンダゴンドさん達のパーティーの話はそこでひと段落して、改めて今回の戦利品の話へ。
「で、だ。いろいろ出てるけどよ、ダンジョンに潜るのは今日だけだろ? どれを確保したいとかそういうのは考えたのか?」
クロに聞かれて、装備品の一覧をもう一回確認する。うん、だいたい決められたよ。
「足装備は絶対取りたいかな。素材から似たものを作ったりしづらそうだし。イヤリングは装備の数増やすデメリットもあるから、無ければ無いで妥協。腕輪も可能な限り欲しいけど、手袋もそこそこ便利だから時間と相談、かな」
「武器はどうすんだ? 出た奴使うのか?」
「う~ん、それがダメとは言わないけど……」
視線を並べた装備の端に向ければそこにあるのは、杖。ツタの絡まった枝のようなデザインで、木と石を組み合わせた物理武器よりも、ダンジョンの個性ががっつり出てる感じがする。ちょっと、惹かれるものが有るよね。
「物理武器は洞窟のボスからも入手できそうだし、杖を押さえておきたいかな。ほら、今後も魔法攻撃手段確保しておきたいし」
「物理タンクメタるつもり満々じゃねーか」
まあそういう気持ちが有るのは否定できないかな!
今日めちゃくちゃ眠かったのでもしかしたらとんでもない誤字とかあるかもしれません。見つけたら教えてください。眠い日以外の更新でもとんでもない誤字とかあるかもしれません。




