縛り117,スラ爆禁止
充電切れで日中に書ききれず、こんな時間に。
その後、まずはクロが採集組の老師と入れ替わってしばらく探索。その後、範囲攻撃スキルで大量の毒薬を消費したリンドウちゃんが僕と交代。敵の種類が分かったから次からはもっと有効な毒に出来ると思います! とか言ってたけどすでに毒殺だけで成立するレベルの効能なんだよね。
で、僕と老師だと植物モンスター相手にちょっともたつくのと、武器とスキルの慣らしを本格的にしたいということでキリコさんも参戦。
「【サーチ】っと。向こうにいるね。『寄せては高まる魔力のさざめき、理力を以って打ち据えよ』【マジックウェーブ】」
「範囲攻撃のスキル、ですよね? 贅沢なスキルの使い方ですね」
「まあMPには余裕があるし、不足したからって戦えなくなるわけでも無いからね。ちょっと距離が遠かったけどちゃんと届いたかな?」
「届いていなかったら無視ですか?」
「そうだねー。歩いて近づいて、届きそうな距離から改めて攻撃、かな?」
「なるほど、あまり採集している皆さんから離れる訳にもいきませんもんね」
後ろを振り向けば、クロ、リンドウちゃん、エックス君の三人が目の前の植物を挟んでわいわいと語らっている。リンドウちゃんの毒殺パートには思うところが有ったみたいだけど、慣れたのか、諦めたのか、今は完全に打ち解けてるみたいだね。
「あ、一応届いてたみたい? 近づいてきてるよ」
「分かりました」
そういって、刀を構えるキリコさん。
「居合とかって使わないの?」
「抜刀術のことでしょうか。使わない、ことも有りませんが…… 不意打ちに遭ったわけでも無ければ普通に構えて戦う方が好みですね」
「そういうものなんだ?」
「はい。あ、見えましたね」
居合と抜刀術って違うものなんだね。なんとなく同じものだと思ってたや。
そして、ゴブリンたちの姿が見えると同時に飛び出した老師が一匹にコンボを決めてボコボコにする間に、キリコさんが二匹を斬り伏せ、後ろに控えてた魔術師を僕が仕留めて戦闘終了。
「見れば見るほど凄い攻撃力だよね。ステータスとか武器の性能の差なのかな?」
「ユーレイさんもほぼ一撃で仕留めてますし、そこまでの差は無いと思いますが」
「いやいや、絶対あるでしょ! 僕は急所に当てた上でなんだかんだ追撃でとどめ差してるし」
「まあそうですね。武器の性能、というよりは性質の問題だと思います」
「あー、やっぱりそういうのがあるんだ」
同じ武器で似たような強さの敵に攻撃しても倒しやすさが違うっていうところまではあからさまだったし、武器の性質に差が無いならここまで豊富な武器種が存在する意味も無いもんね。
でもナイフの性質とか言われても上手く他と差別化できる要素を挙げられないかも。
「はい。刀、というか斬撃武器はしっかりと刃筋を立てて切りつけることで柔らかい相手に対して高いダメージ倍率が出るという感じですかね。あまりゲーム的な説明は得意ではないんですけど」
「いやいや、全然できてるよ。キリコさんももともとけっこうゲームとかする人なの」
「ええ、まあ、それなりに」
あ、これはそれなりどころじゃなくやり込んでる人の反応だね。
……あんまり掘り下げられたく無さそうだし、話し戻そうか。
「斬撃武器のなかでもいろいろあるけど、それぞれにやっぱり特徴あるの?」
「私が使ったのは長剣と刀だけですから。ただ、長剣の方が攻撃力が高くて、刀の方がダメージの振れ幅が大きい、ような気がします。あとは純粋によく切れる取り回し方が違いますね」
「ダメージの振れ幅っていうのは当て方や振り方での差だよね? ということは上手く使いさえすれば刀の方が強いの?」
そう聞くと、キリコさんはちょっと迷ってから首を左右に振った。
「相手の防御力が低ければそうなんですけど、硬い相手に攻撃するなら純粋な攻撃力が高い方が有効だと思います」
「あー、防御力を上回る攻撃力が無いとあんまりダメージ通らないとか?」
「それもありますけど、このゲームの攻撃力は『強度』のステータスでもあるので。刀の方が用途にそぐわない使い方をした時の消耗が激しくなると思います」
「なる、ほど……?」
武器種ごとの表記攻撃力の差が激しいなとは思ってたけど、ダメージやスキルの倍率の差でそこを調整して、攻撃力には別の意味合いも持たせてあるってことかな。表記方法に関してはゲームの個性の一つでしかないけどクロにとってはけっこう大事な情報だよね。
僕の場合は武器の耐久性は度外視できちゃうからねー。
「この辺りのめぼしい素材は回収し終わったぞ」
「お、じゃあ移動しようか」
そんな風にキリコさんと雑談をしていたらクロが採集が終わったことを告げて来た。
「まあそう急ぐなよ。近くの敵の掃討は終わってるんだろ? リンドウが調合もしときたいって言ってるし、そろそろ戦利品の確認しとかないか?」
そう言って、にやりと笑うクロ。
「目当ての素材と思しきものも見つかったしな」
「ホント!? じゃあ今日の最低限のノルマは達成だね!」
「一本の木からそれなりの量が取れたし、一人分の素材なら十分ではあるだろうな」
「話を聞く限り布の代替品って感じだし、大量に確保してもきっとそんなに使い道ないよね」
「え? じゃあもう採集はしないのか?」
クロとやり取りしていると、ちょっとがっかりした感じでエックス君が声を上げる。確かにそういう風に聞こえかねないやり取りだったけど、ピクニックだとか散々言っておいてここから先は採集無しでガンガンモンスター狩るよーとか、そんなこと言わないよ?
「なになに? エックス君は採集の楽しさに目覚めちゃった感じ?」
「はあ!? そんなんじゃねえよ」
「大丈夫、確保しときたかったけど、今日のメインは薬の材料になりそうな植物の方だし。あとはそれこそ果物とかね」
「だから別にハマってねえって」
派手さは全然ないんだけど、アイテムボックスのアイテムのストック数がだんだん増えていくのとか、見たことのないアイテムを手に入れたときどんな価値があるのか思いを巡らせたりとか、狩りとは違う楽しさが有るんだよね。分かる分かる。
「ところで、どんな素材なんですか? 私もちょっと見てみたいです」
「あ、僕も現物見てみたい。出して出して」
キリコさんの発言に便乗してクロをせっつけば、ちょっともったい付けた動きでクロが木の皮を差し出した。
「おおー。思ったより大きい」
「大きく剥いだ方が布にする時融通効くだろ。繊維もそれだけの長さが有るみたいだしな」
「これが、鞣すだけで布になるんですか。凄いですね」
キリコさんと二人で、感心しながら木の皮を眺めたり触ってみたり。ちょっと繊維が固いというか、あんまり肌触りの良いものにはならなそう。でもなんだろ、何か引っかかるね。
「なんでしょう。この質感と色合い、ごく最近どこかで触った気がします」
「キリコさんも? ということは二人で一緒に行ったところかな」
「ユーレイさんもですか?」
「うん。似たような感じのものを見かけた気がするんだけど、あんまりはっきりとは印象に残ってないんだよね」
「「うーん……」」
二人で行った場所ってそう多くないけど、なんだかんだ布関連の出来事そこそこあったかも? あ、でもスミスさんがすでにこれと同じものを持ってたってことは無いだろうからそれ以外。でも街中では普通の布っぽいものしか見てない気がするし…… 布団の材料とか? 無いよね。そもそも仮眠室には良いベッドが有るって話だったから宿屋とは全然違うベッドで寝たと思うし。
改めて、手元の素材を触ってみる。ゴワっとしてて、それなりの面積が有って、吸水性は割と良さそうだけど洗濯とかしたらすぐダメになりそうな…… あっ。
「安い方の浴衣だ!」
「なるほど! 確かにそっくりです!」
「ということは余っても全然売ったり使ったりできるじゃん! クロ、引き続きよろしく!」
「なんかよく分からんが分かった。まあ大した手間でもないし、見つかったらな」
さあて、すっきりしたところで次はドロップアイテムの確認だね! どんな装備が落ちるか把握したいし、そろそろ一通り揃ってるといいなー!
明日は未定ですが今週の土日は更新は有りません。




