縛り102,NPCとのポケモン交換禁止
おととい書いてた分の更新作業忘れてました。
予告する時はいつも予告より早く更新したろうと思うんですがたいてい上手く行きません。
えーと、六人パーティーの僕の知らない三人は疲れてはいるけどエックス君ほどではなさそうかな。とにかくなんか流れと気分を変えないと!
「装備の更新するって言ってたけど、今まで使ってた装備はどうするの?」
「防具はサイズ調整すれば使えるだろうし下取りに出すつもりだが、ランスはなあ…… 使い手が少ない武器だとまともに価格がつかねえ気がするんだよなあ」
「まあ、白兵戦で使う武器じゃないからね…… キリコさんは?」
「私は逆に武器を下取りに出す感じですね。防具を中古市場に出すのはちょっと抵抗が有るので処分しようかと……」
ランス自体はファンタジー要素のない歴史上ちゃんと使われてた武器なんだけど、片手で振り回したり手に持って走って突っ込んだりは創作だよねたぶん。まあ、大剣とかを使ってる人もいるから今更っちゃ今更なんだけど。
「知り合いに譲ろうにも知り合いに使ってる奴が一人もいねえっていうな。槍使い自体は数人いるんだけどよ。なあ、そっちの知り合いにいたりしねえか?」
「いや、ランス使いは…… あ、品質ってどうなの?」
「かなり無茶な使い方してガタが来てるが、メンテナンスすればまだまだ使えるくらいにものは良いはずだぜ。どうせ街の装備事情はそんな変わってねえだろ?」
「いや、金属素材の供給始まってるからだいぶ変わったと思うけど……」
「マジかよ! それなら装備発注の時に使ってもらうよう頼んどきゃよかったな」
「メンテナンスついてに強化すればレベ20か25くらいでも適正装備になるかな?」
「強化できるならまず間違いないけどよ、そのレベルに到達してる奴って今そんなにいるのか?」
「たぶんそんなに多くはないかな?」
アレクサンドロスさんが主導してレベルの底上げはしてるみたいだけど、それも今のところレベル15くらいを目安にしてるって言ってた気がするし。
で、僕は今レベル25。だけどまあ行動半径とか目当ての素材の関係で適正レベルはもうちょっと低い所に行く予定だから、装備の品質としては20レベ相応ならとりあえず十分。
「うん、ナンダゴンドさんさえ良ければ僕らで引き取ろうか? 鉱石素材か現金との交換で」
「マジかよっ! でもランス使いの知り合いいないんじゃねえのか?」
「クロに使わせればいいかなって」
沈黙が流れる。会話しつつも街に向かっているので、できれば街に入る前にこの商談を纏めちゃいたい!
「クロって、あの頭の固いハンマー使いだかグラップラーだか、だよな? いや、本職は槍使いなのか……?」
「いや、違うよ?」
というかクロの本職って何だろう……? ノック打つ係? 代打? うん、このゲーム内でのクロの立ち位置が分からないね!
ちなみに、今クロが使ってはダメにしてるコボルトのドロップ品の剣は適正レベルで言うなら15を越えるくらい。強化すればもうちょっと高いレベルでも使えるだろうけど、クロのスタイルと噛み合ってないんだよね。
「言うまでもねえけど、いくらリーチと威力が有っても専門の構成じゃねえと使えねえぞ。まず、片手で扱える腕力と体幹、バランスを崩さない装備重量」
「うん、それは大丈夫」
「そういえば明らかにおかしい投げ技スキル無しで使ってたな。次に、機動力を補うスキルや防御力、多面的な攻撃に対処するための立ち回り」
「うん、そこも大丈夫だね」
鎧を付けた状態で走り回る足腰が有るならスキル無しでも十分立ち回れるはず。
「んで、間合いの内側への対応能力。俺の場合で言うならもう片方の手に盾持って近づかせないようにしたり盾で圧殺したりだな」
「まあ、そこは左腕で投げ飛ばさせとけばいいんじゃない?」
「どんな筋力お化けだよ!」
「最悪石突きの側でド突きまわせば十分でしょ」
「それもはや重いだけでリーチも鋭さも無いただの棒じゃねえか!」
「上から叩き付けるならただの棒でも十分威力出るよね?」
「出るな。よし!」
ガシッと握手。握る力強いよ。
そこから爆速で金額の詳細を詰め、門の前で無事商談成立。ナンダゴンドさんと握手を交わす。よしっ、手土産のこれと、ナンダゴンドさんの出迎えの為に早朝に出掛けたって言って誤魔化す方針にしよう!
さて、とりあえず場の空気は変えられた気がするけど問題なのはその先だよね。とりあえず、ナンダゴンドさんへのお説教はアレクさんに連絡すればコノカさん辺りがやってくれるだろうし、僕がするべきはメンバーの気分転換の手伝いかな? なんせ僕が説教しようにも普段説教される側だから説得力が生まれないんだよね!
「キリコさんも、もし防具を他人に譲るのが嫌なら作り直して予備にするのとかどう? 上手く特殊効果とかつけられれば使い分けとか出来るかもだし」
「そういう考えも有るんですね。ただ、今後も順次更新していくことを考えると、その度に増やしても仕方がない気がしてしまうんです。それに、私はリーダー程手持ちの素材の売却額に夢を持てませんから……」
「あー……」
ナンダゴンドさんが絶好調なのはその辺の事情もあるんだろうね。まだ他に誰もたどり着いてないエリアの素材を独占販売できるっていう。でも、素材が高く売れるには、
一つ、その値段で買うだけの資金を買い手が持ってること。
二つ、その素材の加工手段が有って有効活用できるめどが立つこと。
三つ、素材を使って作ったものが有用であること。
ざっくりこの三つは満たしてないとなわけで。
で、このゲームの最前線素材がこの条件にあてはまるかと言われると…… 序盤に資金を有効に稼げるような手段どころかそもそもプレイヤー間の金銭の流通量がまだ少ないし、生産職で腕利きの人でも一つ先ならともかく三つ先とかお手上げだろうし、何より装備に要求ステータスが有るから何か作っても売る相手がナンダゴンドさん達以外にはまずいないっていう……
「まあ処分することに決めるとしても、街の中で着る用のカジュアルな服とか入手しといてもいいと思うし!」
「買うだけ買って出番が無いとかなったらどうしたらいいんですかね。いえ、そもそもいまさらお洒落なんてしたって…… 水浴びすら禄にしてないのに……」
あからさまにメンタルがピンチ!
それにしても、そっか、アイテムボックスが便利だからあんまり考えてなかったけど、遠出するとなるとその容量にも限界がある訳で。そうなると水とかを贅沢に使えるわけもないんだよね。
「水属性の魔法で水浴びとかは出来ないんだっけ?」
「私たちの中には水属性の使い手がいませんから」
「うん、僕らの中にもいないね考えてみれば」
「はぁ……」
どんよりムード再び。
仕方ない! かくなる上はとっておきの場所へ案内するしかないね! 僕のとっておきじゃないけど!
「ねえ、この後の予定ってどんな感じ?」
「装備の受け取りと依頼をしたら宿屋で寝て、その後は適当なマップで装備の試し切りだな」
「ナンダゴンドさんじゃなくキリコさんの予定ね」
「私もそう大きくは変わりませんね。まあ装備の試し切りではなく情報共有の時間を取ることになりそうですけど。寝れるのは何時になるんでしょうかね」
「じゃあちょっと僕に付き合わない? 情報共有の相手ってアレクサンドロスさん達だよね?」
「はい、まあ。付き合うってなんですか?」
「よしっ、決まり! じゃあまずは衣類の手配だね!」
あ、エックス君のこと忘れてたや。まっ、後で保護すればいいでしょ!




