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リバイバル Iwo-jima  作者: 双鶴


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第33話 「飛行場の罠が閉じる」

 昭和二十年二月十九日、午前九時三十分。

 米軍は飛行場西側へ殺到し、隊列を広げながら前進していた。

 抵抗がないことに困惑しつつも、彼らは“最優先目標”である飛行場を奪うため、勢いを増していた。


 だが、その足元には――

 日本軍が三か月かけて仕込んだ“罠”が口を開けていた。


 先頭のシャーマン戦車が、砂煙を上げながら飛行場へ突入した。

 その直後、戦車の履帯が突然沈み込み、車体が大きく傾いた。


 「……落ちたな」


 晴翔は壕の奥で、静かに呟いた。


 戦車誘導溝――

 深さ一メートル、幅二メートル。

 夜間に掘り、昼間は布と砂で完全に偽装した“落とし穴”。


 次々とシャーマンがその溝に落ち、履帯が外れ、動けなくなる。


 「戦車が止まったぞ!」

 「前進できない! 道が……道が消えている!」

 「後退もできない! 挟まってる!」


 米軍の無線が混乱に満ちていく。



 歩兵たちは戦車の停止に気づかず、

 “壊れやすい偽の土嚢陣地”へ向かって突進した。


 そこは、晴翔が意図的に作った“弱点に見える場所”。

 だが実際には――

 左右から狙撃・迫撃砲が集中する袋小路だった。


 米兵がその狭い通路に入り込んだ瞬間、

 地下壕の蓋が一斉に開いた。


 「撃て!」


 晴翔の声が、壕内に響いた。


 狙撃銃が火を噴き、迫撃砲が飛び、

 米軍の隊列が一瞬で崩れた。


 「どこから撃ってきている!?」

 「姿が見えない!」


 米軍は完全に混乱していた。



 晴翔は参謀に命じた。


 「撃ちすぎるな。

  弾薬は節約しろ。

  敵が混乱している間に、確実に削れ」


 参謀が頷き、各壕へ伝令を走らせる。


 兵士たちは焦らず、

 “狙える敵だけを確実に撃つ”

 という晴翔の教えを徹底していた。


 「閣下の言う通りだ……無駄撃ちしない方が、落ち着く」

 「敵が勝手に袋小路に入ってくる……」

 「これなら……勝てる……!」


 兵士たちの声には、恐怖よりも確信があった。



 米軍は飛行場を“容易に奪える”と考えていた。

 だが、実際には――

 飛行場そのものが巨大な罠だった。


 戦車は動けず、歩兵は袋小路で足止めされ、

 上空の航空支援も地下壕には効果がない。


 米軍の指揮官が叫ぶ。


 「日本軍はどこにいる!?

  なぜ姿が見えない!?」

 「地下です! 全部地下に潜ってます!」

 「こんな戦い方……聞いたことがない!」


 晴翔は静かに呟いた。


 「聞いたことがないだろう。

  これは“未来の戦い方”だ」



 壕の奥で、兵士たちは晴翔を見つめていた。


 「閣下……本当に、全部読んでいたんですね……」

 「敵がどこに来るか、どう動くか……全部……」

 「閣下は……神がかっている……」


 晴翔は首を振った。


 「神ではない。

  ただ、諸君を生き残らせたいだけだ」


 兵士たちの目に、強い光が宿った。



 晴翔は戦況を見つめながら、静かに息を吐いた。


 ――史実では、この飛行場で日本軍は壊滅した。

 ――だが今回は違う。

 ――準備がすべてを変えた。

 ――兵たちの心も折れていない。


 晴翔は拳を握った。


 「……諸君。

  まだ始まったばかりだ。

  生き延びるために、戦い続けるぞ」


 飛行場の罠は完全に閉じ、

 米軍は初日から大きくつまずいた。


 硫黄島の戦いは、

 史実とはまったく違う道を歩み始めていた。


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― 新着の感想 ―
もう現代日本には戻らないのか、戻るとしたらどのタイミングになるのかが気になります!
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