表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7人の転生者  作者: 奈津輝としか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/8

第1章 プロローグ 第6話 破壊神の妻・パールヴァティー

 ターラカという悪魔(アスラ)が苦行を認められ、梵天(ブラフマー)から「大黒天(シヴァ)の息子以外には殺されない」という身体を与えられた。

 この頃の大黒天(シヴァ)は、妻であるサティーを失ったばかりで瞑想に入っており、当分再婚する気配がなかったからだ。ほぼ不死となったターラカによって、三界(天界・地界・魔界)は征服された。

 そこで神々は、大黒天(シヴァ)を再婚をさせて息子を生ませる為に、前妻サティーを転生させた。それが大自在天妃(パールヴァティー)だった。

 大自在天妃(パールヴァティー)は、ヒマラヤ山脈の山神ヒマヴァットとメーナーの娘として生まれ、ガンジス川の女神ガンガーの姉にあたる。

 まず神々は大黒天(シヴァ)の瞑想を止めさせるために、愛の神カーマとカーマの妻で性欲の女神ラティー、春風の神ヴァサンタを大黒天(シヴァ)の所へ行かせた。

 その時シヴァは、真冬の山の中で瞑想をしていた。ところがカーマ、ラティー、ヴァサンタが近付くと、木々には葉っぱが青々と茂り、花々が咲き乱れ、全ての自然が愛を求め始めた。

 カーマは花で飾られた矢を大黒天(シヴァ)に向けて放ち命中させ、大黒天(シヴァ)の心に性欲が生じた。

 しかし瞑想を邪魔された大黒天(シヴァ)は、怒って第三の眼から発した光線でカーマを焼き殺した。

 大自在天妃(パールヴァティー)は、父親のヒマヴァットと共に瞑想する大黒天(シヴァ)の元を訪れて、花と果物を捧げた。

 大黒天(シヴァ)は、一目で亡き妻の面影のある大自在天妃(パールヴァティー)に魅了されたが、平然を(よそお)って瞑想を続けていた。 

 ヒマヴァットは大黒天(シヴァ)に、「毎日供え物を捧げに来ても宜しいでしょうか」と尋ねた。しかし大黒天(シヴァ)は、拒否して答えた。


「来るのだったら一人で来なさい。苦行者に女性は必要ない!」


 それを聞いた大自在天妃(パールヴァティー)は、反論して言った。


大黒天(シヴァ)様、苦行の時に使われる力を含めて、全ての力の根源は女性原理(プラクリッティ)によって維持されます。女性が必要ないとは、聞き捨てなりません!」


 大黒天(シヴァ)は、大自在天妃(パールヴァティー)の聡明さに感服しながらも答えた。


「私は苦行によって女性原理(プラクリッティ)をもコントロールし、破壊することができる」


 大自在天妃(パールヴァティー)は、再び反論して言った。


「もしあなたが女性原理(プラクリッティ)よりも偉大ならば、なぜ私を恐れて遠ざけ様とされるのでしょうか?」


 大自在天妃(パールヴァティー)に説得させられた大黒天(シヴァ)は、大自在天妃(パールヴァティー)に求婚して2人は結婚した。

 大黒天(シヴァ)大自在天妃(パールヴァティー)の結婚式は盛大に行われたが、儀式の中で大黒天(シヴァ)はヒンドゥー教の伝統によって、自分の血筋を宣言しなければならなかった。

 ところが大黒天(シヴァ)は自ら生じた神だったので、先祖はおらず血統も血筋もなかった。

 宣言する事が出来ずに黙っている大黒天(シヴァ)の代わりに、結婚式の司会であったナーラダが、ヴィーナーと言う琵琶(びわ)に似た弦楽器で演奏を始めた。

 ヒマヴァットはナーラダが儀式の邪魔をしていると思い、ヴィーナーを止めるように注意したが、ナーラダはこう答えた。


大黒天(シヴァ)は、ただ自己の意思と喜びによって形を現した不確かな現実である。ナーダ(原始の音)のみが大黒天(シヴァ)の本当の起源を示す事が出来る。だから私は、大黒天(シヴァ)の血統を示すためにヴィーナーを演奏したのだ」


 大黒天(シヴァ)大自在天妃(パールヴァティー)はこうして夫婦となり、愛し合う2人は結婚後何百年間もずっと性交(セックス)を続けていた。

 これではターラカを倒す為の子供が生まれない。しかもその性交(セックス)中の振動で、天界・地界(人間界)・魔界では常に地震が起きていた。

 そこで火天(アグニ)が、性交(セックス)中の大黒天(シヴァ)のもとへ行って火傷をさせ、性交(セックス)を止めた。

 大黒天(シヴァ)は、「熱っ!」と叫んで大自在天妃(パールヴァティー)から離れて腹の上に射精した。その時に大黒天(シヴァ)の精液がこぼれ落ちそうになり、火天(アグニ)は手で(すく)って精液を持ち帰った。

 ところがその精子は、運んでいる内にどんどん重くなって来たので、火天(アグニ)は持っていられなくなり、ガンジス河の中に精子を落としてしまった。

 こうしてガンジス河から生まれたのが、軍神・韋駄天(スカンダ)である。韋駄天(スカンダ)は、生まれて7日目にターラカを殺して世界に平和をもたらした。


 また大自在天妃(パールヴァティー)は元々の肌が黒色であり、大黒天(シヴァ)から(けな)され、それを恥じて森に(こも)り苦行を始めた。

 それを哀れんだ梵天(ブラフマー)から、肌の色を金色に変えられた。この時に落ちた黒い肌から、殺戮の女神カーリーが生まれた。肌の色で差別した夫に対して、殺意を(いだ)いた為だろう。

 「怒髪天を()く」と言うが、温和で優しい大自在天妃(パールヴァティー)の頭に血が昇った時、戦いの女神ドゥルガーも生まれた。

 しかし、ドゥルガーもカーリーも大自在天(パールヴァティー)の化身(分身)と言う扱いであり、本体である大自在天妃(パールヴァティー)が死ぬと彼女達も消える事になる。




 真夜中だと言うのに目が覚めた。ふと時計を見ると、3時半丁度だった。


「またぁ?」


 また?と言うのは、この所ずっと同じ時間に目が覚めているからだ。いや、もっと幼い頃から毎日繰り返して来たはずだ。それに気が付いたのは、最近の事だ。

 今まではトイレに行きたくて、偶然に目が覚めるのだろうと思っていた。しかし、そうでは無い事に気が付いたのは、たまたま目に入った目覚まし時計だ。それからは、目が覚める度に時計を見る様にした。

 すると不思議な事に、いつも決まって3時半になると目が覚める事に気が付いたのだ。


「何なんだろう?前世からの因縁かしら?」


 そう思うと怖くなり、身慄(みぶる)いすると布団を(かぶ)って二度寝した。明日は早い。教師となって赴任する、最初の高校だ。気持ちが(たかぶ)って眠れないのだろうと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ