9 愛
愛について話す前に覚えておいてほしいことがあるんだ。
それは、この宇宙には動いていないものはひとつもないっていう事実なんだ。
えっ? 机の上の花瓶は動いていないよって?
地球が太陽の周りを回っているでしょ。
宇宙もすごい勢いで動いているんだ。
「この世に変わらないものなんかない」
動かないものもただ人間の目には止まって見えるだけなんだ。
でね? 言葉ってその動いてる物事が止まって見えるほんの一瞬を抜き取ったものなんだ。
心だって天気みたいに変わるでしょ?
愛だって同じなの。
愛ってね常に変動してるの。
だから愛の見た目はどんどん変わっていくことを始めに知っておいてほしいの。
愛は止まらないのに愛を表現する言葉は、止まって見えるほんの一瞬だけしか抜き取れない。
ん~、無理無理!
止まらないものが止まって見えるなんて間違いじゃん。
愛と一緒に動かなくちゃ愛が嘘になる。
なのに言葉は動かない。
無は無なんだ。A=A。言葉の真実は同じ言葉の繰り返しーーーー同語反復なんだ。言葉は止まっているんだ。止まってくれなきゃわからないんだ。なのに愛は止まらない。愛の言語化は不可能なんだ!
言葉は停止状態しか言えないのに、愛は止まらない。
愛を無理矢理言語化するとA=AではなくA=Bになってしまう。AはBではない、つまり愛を言葉にすると嘘をつき続けることになってしまう。
言葉はA=Aが正しいのに、愛はA=Bが正しいのよね~。
AをBにしないと愛ではない。
言葉とは入れ物で、愛はその中身なんだ。
愛のカタチを説明しようとすることは水の形を説明しようとすることと同じなんだ。
愛の形は入れ物の形になる。
愛には定まった形などないんだよ。
ゆえに愛は、その場その時その人という状況に合わせて自分のままで変わり続ける。
愛は言葉ではなく、その中身なんだ。
神もそうだけど、愛と言葉は本当に相性が悪い。相容れないと言っていいよね。
愛は状況に合わせて自分のままで変わり続ける。
自分とは、人間とは、言葉とは、愛という水を受けとるコップだ。
愛の真実を言葉のような形で追いかけてはダメなのさ。心という中身で追いかけなければ。
閑話休題。
それで肝心の愛ってなにかだけど、愛って善や神様の話で言った「ためになる物事を与える」ってことなの。
えっ? ためになる物事って具体的になになのって?
それが環境の状況やときと場所に加えて相手によって変わるんだよね~。
愛は状況に合わせて自分のままで変わり続けるんだ~。
自分にとってためになることでも相手によっては全然ためにならなかったりするんだよ。
例えば足をケガした人に風邪薬を飲ませても足は治らないでしょ?
それと同じだよ。
それにね、愛には順番があるの。
自分→相手→みんなと進み、みんなで完成するんだ。
不思議とこの順番を入れ換えることはできないんだよね~。
自分を愛さずに相手を愛することは、まるで家を建てるのに1階を建てずに空中に2階を建てようとするみたいなものなんだ。
愛は自分を起点に広がっていくんだよ。
自分が与えるの。
与えるときに自分に愛がなかったら与えることができないんだ~。
だから常に自分で自分に愛を与え続けてなければならないの。
誰かが愛を与えてくれるのを待ってたら自分の中に愛がない状態が続くの。
待ってる間は愛がない。愛は待たずに一緒に動くの。愛は待ってって言っても止まってくれない。
じっと見て耳を澄ませてよく聞いて動き回っていっぱい愛をーーーーためになる物事を自分に集めるんだ。そしてそれを分け与える。
なにがためになるんだろう。
観察して分析して理解して実行して、それで自分と相手ーーーーみんなが動き出したら成功。
行動するには勇気が必要で、勇気には愛が必要なんだ。まあ、本当は逆なんだけど。
愛があれば勇気が湧き、勇気があれば動かずにいられない。そして神様の端っこになって、宇宙を作り続けるんだよね。
みんなであーでもないこーでもないって言って宇宙をこねくりまわすんだ。とっても楽しい。
神様は人間に「一緒に遊ぼう」って誘ってるんだよ。ここで神様の言う遊びとは、心を満たすことだよ。愛で心を満たす。
愛は宇宙を作る。
宇宙の元は愛なんだ。
宇宙は神様だから神様は愛なんだよ。
だから宇宙で愛が最強!
自分が愛されていることを知っている人が最強なんだ。でもそれはなんでだろう?
えっ? なんでだろうねぇって?
わかんないよね~。
ところで、ばあば。なんで笑ってるの?