11月11日 おばあちゃん家
目の前にあれだけ本がある環境は久しぶりだった。あれは、おそらく亡くなったおじいちゃんの本だろうか?図書館は、同級生がいる可能性があるし、本屋は、たくさんの人がいるので行けない。もっと、動ける範囲が広がればいいと思うけど、、、、。なかなか、外に出て行くことができていないから、目の前に本があることが不思議だった。
私は、手にとらず、ただただ、見つめていた。スマートフォンからは、maiの『輪廻天才』が流れてきた。maiの歌詞は、私の心にとてもささっていた。
今の自分には、こうした本に囲まれた落ちついた環境が合っている気がした。目の前にある本を見つめていると、右の方にアルバムが入っていることに気がついた。もしかしたら、、、、。私は、そっと立ち上がり、本の目の前までやってきた。私は、本棚からアルバムを取り出した。
取り出したアルバムには、埃がたくさんついていた。近くにあったティッシュを取り出し、アルバムの表面をふいた。ティッシュには、たくさんの埃がついていたから、新しいティッシュを取り出した。
アルバムを開いた1ページ目には、4.5歳頃の私と母が手を繋いでいる写真だった。写真の映っていた場所は、今、私たちが住んでいるところとは、全く違う。この写真は、どこだろうか?おそらく、お母さんが作ったアルバムだろうから、お母さんに聞かないとわからないだろうな。
今日は、久しぶりにおばあちゃんの家に来ていた。おばあちゃんの家までは、車で一時間。お母さんの車で一緒にやってきた。道中から、お母さんは、学校についていろいろ話をしてきた。学校の話をされるだろうなとは思っていたけど、されるとやっぱり嫌だった。学校のことを考えたくなかったけど、学校に行っていない以上、そうなるのは仕方がない。おばあちゃんの家に着くと、すぐに一人になれる書斎の部屋に入っていた。
私は、天を見ながら、昨日のことを考えていた。昨日、声をかけてきたのは、おそらく聖徳高校の人。聖徳高校であることは、制服で分かった。それでいて、私のことも知っているとなると、ごく少数の人に限られる。でも、できるだけ考えないように、今日、こうしておばあちゃんの家に来たのだった。
リビングから大きな音声のテレビが聞こえてきた。お母さんは、リビングでおばあちゃんと一緒にテレビを見ているみたいだった。おばあちゃんは、もう70歳だし、そろそろ調子が悪くなってもおかしくないように感じていた。