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11月6日 外出

 薬がなくなったこともあり、病院で診察を受け終わっていた。家から病院まで30分程度なのに、こんなに体力がなくなるなんて。私は、もうダメだな、、、、、。女性の話を聞くのですらしんどかった。


 女性「あれから、どうですか?」

 私 「いや、特に、、、、、、、」


 左からは、カーテン越しに日差しが出ていることがわかった。ここにきて、まだ2回目だが、この部屋は、シンプルで質素だ。まるで、ここにくる負のオーラを次々に吸い込んだ家具が捨てられたみたいな感じがした。


 女性「何も変わったことはないですか?」

 私 「はい」


 目の前には、なんかの絵が額縁に入ってかけられていた。


 女性「そうだったんですね。失礼しました」

 私 「いえ」


 こんなところに来て、何が変わるというのだろうか?今日は、病院で薬をもらって、そのままカウンセリングを受けていた。


 女性「では、お話の内容を変えましょうか」

 私 「‥‥‥」


 女性の話は、話半分しか聞いていなかった。


 女性「今日は、何されましたか?」

 私 「今日は、朝起きて病院に行ってここに来ました」


 そうだ。今日は、寒いのになんとかここまでこれたんだった。


 女性「そうなんですね。きちんと起きれました?」

 私 「いや、寝起きが悪くて」


 さっきまで入ってきた日差しが少しずつなくなってきた。


 女性「どんな感じですか?」

 私 「なんかぁ、、、、。こう、頭が痛くて起き上がらない感じです」


 どんな感じ?そんな簡単なものじゃない。


 女性「それは、しんどいですね。今は、大丈夫ですか?」

 私 「は、はい。なんとか大丈夫です」


 私の目の前にいる女性は、30代後半といったところだろうか?ショートカットで時折見せる笑顔は、何か吸い込まれるような気がしていた。


 女性「しんどいのに、どうしてここまでこれたんですか?」


 そんなのこの女性に説明しても仕方がないだろう。


 私 「薬がなくなって、外に出ないとってなったんで」

 女性「素晴らしいですね。それで出られるということができるなんて。なかなかできないですよ」


 この女性は、すぐ肯定的な声かけをしてくれる。これがカウンセリングなのかぁ。


 私 「そうですかね」

 女性「はい。絶対、そんなことできないですよ」


 私は、チラリとカウンセリングルームに置いてある時計を見た。

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